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書名 | 著者 | 発行 | 備考 |
永世竜王への軌跡 | 渡辺明 | '09.7 | |
プロへの道 | 深浦康市 | '09.5 | |
私は歩である この一手こうだ | 好田隆 | '09.1 | |
関西新鋭棋士実戦集 | 豊島・糸谷・ 村田智 |
'08.7 | |
新鋭居飛車実戦集 | 西尾・大平・ 村中 |
'08.5 | |
新鋭振り飛車実戦集 | 戸辺・遠山・ 長岡・高崎 |
'08.3 | |
新 谷川浩司全集 4 平成十五年度版 | 谷川浩司 | '05.4 | 平成15年度版 |
鈴木大介の振り飛車自由自在 | 鈴木大介 | '05.2 | |
田村流けんか殺法 | 田村康介 | '04.11 | |
注釈 康光戦記 | 佐藤康光 | '04.8 | |
新 谷川浩司全集 3 平成十四年度版 | 谷川浩司 | '04.7 | 平成14年度版 |
米長の将棋 6 奇襲戦法 | 米長邦雄 | '04.6 | 1981年の文庫版 |
米長の将棋 5 棒銀・腰掛銀 | 米長邦雄 | '04.5 | 1981年の文庫版 |
米長の将棋 4 ひねり飛車・横歩取り | 米長邦雄 | '04.4 | 1980年の文庫版 |
米長の将棋 3 矢倉戦法 | 米長邦雄 | '04.3 | 1980年の文庫版 |
米長の将棋 2 居飛車対振飛車(下) | 米長邦雄 | '04.2 | 1980年の文庫版 |
米長の将棋 1 居飛車対振飛車(上) | 米長邦雄 | '04.1 | 1980年の文庫版 |
新 谷川浩司全集 2 | 谷川浩司 | '04.1 | 平成13年度版 |
羽生善治 好機の視点 | 羽生善治 | '03.8 | |
新 谷川浩司全集 1 | 谷川浩司 | '03.6 | 平成12年度版 |
森下の対振り飛車熱戦譜 | 森下卓 | '02.11 | |
谷川浩司全集 平成十一年度版 | 谷川浩司 | '01.12 | |
先ちゃんの順位戦泣き笑い熱局集 | 先崎学 | '00.8 | |
実戦の振り飛車破り | 郷田真隆 | '00.8 | |
谷川浩司全集 平成十年度版 | 谷川浩司 | '00.6 | |
攻める振り飛車 四間飛車穴熊&力戦振り飛車 | 鈴木大介 | '00.4 |
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永世竜王への軌跡 |
渡辺明 毎日コミュニケーションズ ISBN:978-4-8399-3236-7 2009年7月 \1,890(5%税込) 320p/21cm |
[総合評価] |
難易度:★★★★ 図面:見開き4枚 内容:(質)A(量)A レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:A 上級〜向き |
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◆内容紹介 |
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渡辺明・初代永世竜王の自戦記本。 渡辺は、第17期竜王戦で森内を破って初戴冠を果たしたあと、5期連続で竜王を防衛して、史上初の「永世竜王」になった。本書は、第17期竜王戦の予選から第21期竜王戦七番勝負までのすべての将棋を渡辺本人の解説付きで収録し、特に渡辺が印象に残っている10局を自戦記として記したものである。 渡辺の自戦記本は初めてだが、『頭脳勝負 将棋の世界』(渡辺明,筑摩書房,2007)に載っている自戦記が相当面白かったので、本書も期待していた。そして、その期待は裏切られなかった。 本人は『谷川浩司全集』をかなり意識して書いたそうだが、いくつかの工夫やネタ満載など、一部は『谷川浩司全集』を上回っている。 ・各所にちりばめられた「おやつネタ」 ・封じ手に関する心理的なやり取り ・指しているときの心情 ・(一部ではあるが)思考の逡巡も含めた読みの公開 etc. 自戦記編、棋譜解説編、および「ネタ」について、例を挙げて紹介していこう。……レビューの続きを読む(2009Oct21) |
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プロへの道 |
深浦康市 日本将棋連盟/発行 毎日コミュニケーションズ/販売 ISBN:978-4-8399-3264-0 2009年5月 \1,575(5%税込) 224p/19cm |
[総合評価] |
難易度:★★★★ 図面:見開き3〜5枚 内容:(質)A(量)A レイアウト:A 解説:B 読みやすさ:B+ 上級〜有段向き |
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プロローグ −目標としていた先輩に勝つ− 憧れの名人との対局 −谷川名人との飛車落ち戦− 師への恩返し −天命か、師匠との決戦− 新たなるスタート プロの厳しさ −昇級どころか降級か− 成長のとき −ひたすら技術を追求するとき− 新しい目標へ −とてつもなく長い時間− ・【コラム】思い出のワンシーン(1)〜(7) ・【参考棋譜】56局 ◆内容紹介 「九州にタイトルを持って帰る」王位戦でそう公言した深浦康市は、フルセットの激闘の末、羽生善治からタイトルを奪取。見事約束を実現。昨年も羽生を退けて王位を防衛しました。 本書は、長崎県佐世保市に育った深浦がどのようにプロ棋士となっていったかを解き明かしたものです。深浦の子どものときからの指導者が、プロになる厳しさと大変さ、そしてそれを実現していった深浦の様子を克明に記しています。 また、奨励会での熱戦譜など、深浦少年の棋譜を約60局収録。そのうち奨励会三段リーグの棋譜が40数局。プロを目指す者たちの棋譜には、トッププロ同士の戦いにも負けない熱い思いがぎっしりと詰まっています。プロ棋士を目指す子どもや、その指導者の方はもちろん、プロの片鱗に触れたい将棋ファンにも必読の書と言えましょう。 |
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深浦康市(現・九段)の修業時代を解説した本。 プロ棋士になるためには、通常は奨励会に入会し、勝ち星を重ねて昇段し、三段リーグを勝ち抜いて四段に昇段する必要がある。これまで、奨励会での苦闘を描いた作品は数多く存在するものの、現役のトップ棋士がどのように奨励会を潜り抜けてきたかを詳細に書いた本はあまりなかった。 本書は、深浦の奨励会入会から四段昇段までを詳しく解説した本である。……レビューの続きを読む(2016Mar20) |
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私は歩である この一手こうだ |
好田隆 神戸新聞総合出版センター ISBN:978-4-343-00502-1 2009年1月 \1,260(5%税込) 192p/21cm |
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藤井清明(小野)昭和46年1月2日 青木潤(兵庫)昭和51年5月23日 北田敏文(志方)昭和52年2月20日 香田啓輔(志方)昭和54年5月27日 仮屋克郎(九州)昭和54年6月23〜24日 大西秀雄(西脇)昭和54年9月9日 高木範彦(東京)昭和56年10月23日 高野真一(九州)昭和56年10月23日 船江文明(志方)昭和58年1月20日 高尾克博(東海)昭和59年9月22日 〔ほか〕 ◆内容紹介 アマチュア四段を取得している著者が、これまで経験してきた将棋対局の勝負どころを、50問の問題形式にして披露(棋譜付き)、解説を加えます。 ◆著者略歴(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) 兵庫県印南郡志方町生まれ。昭和47年、米田郵便局採用。平成17年3月、明石郵便局第二集配営業課長を最後に、郵政を退職。昭和58年第4回西日本職域団体対抗将棋大会A級準優勝。平成3年第20回全国支部対抗団体戦西日本大会ベスト8。昭和55年より高砂市(教育委員会)小・中学生将棋大会審判。同62年より日本将棋連盟高砂支部大会審判、継続中。現在、将棋四段。日本将棋連盟高砂支部副支部長。公認将棋コーチ。兵庫県加古川市在住 |
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マイコミ将棋BOOKS 関西新鋭棋士実戦集 |
豊島将之 糸谷哲郎 村田智弘 毎日コミュニケーションズ ISBN:978-4-8399-2906-0 2008年7月 \1,449(5%税込) 224p/19cm |
[総合評価] |
難易度:★★★★ 〜★★★★☆ 図面:見開き4枚 内容:(質)A(量)C レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:A 上級〜有段向き |
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◆内容紹介(MYCOMホームページより) |
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関西若手棋士の自戦記集。 先行して発売された『新鋭振り飛車実戦集』(MYCOM,2008.02)では、デビュー2〜3年の若手4人×各3局だったが、本書ではデビューも年齢もバラバラの若手3人×各4局となっている。そのため、各棋士の棋風やイメージは、少しとらえやすくなっている。 また、「研究」コーナーは、『〜振り飛車〜』では1局につき2つが基本だったが、本書では完全に各棋士の「おまかせ」になっているようである。例えば、豊島は1局目と2局目で序盤から終盤まで各4回の研究コーナーを設けているが、糸谷の1局目と2局目は各1回だけである。 著者の紹介をしておこう。……レビューの続きを読む(2012Aug24) |
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マイコミ将棋BOOKS 新鋭居飛車実戦集 |
西尾明 大平武洋 村中秀史 毎日コミュニケーションズ ISBN:978-4-8399-2860-5 2008年5月 \1,449(5%税込) 224p/19cm |
[総合評価] |
難易度:★★★★ 図面:見開き4枚 内容:(質)A(量)C レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:A 上級〜有段向き |
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・【コラム】最近の傾向(西尾明)/大きく指す(大平武洋)/私と矢倉(村中秀史) |
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居飛車党の若手棋士の自戦記集。 先行して発売された『新鋭振り飛車実戦集』(MYCOM,2008.02)、後発の『関西新鋭棋士実戦集』(2008.07)と併せ、「若手棋士自戦記集」三部作の中巻にあたる一冊。本書は居飛車党3人のオムニバス形式で、1人あたり4局、計12局の自戦記になっている。 自戦記に挟む形で、著者が気になる局面をより詳しく検討する「研究」コーナーは、本書でも健在。1局につき1〜2回挿入されており、各棋士の「おまかせ」ながら、他の2冊に比べて統一感が取れている。 著者の紹介をしておこう。……レビューの続きを読む(2013Sep09) |
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マイコミ将棋BOOKS 新鋭振り飛車実戦集 |
戸辺誠 遠山雄亮 長岡裕也 高ア一生 毎日コミュニケーションズ ISBN:978-4-8399-2769-1 2008年2月 \1,449(5%税込) 224p/19cm |
[総合評価] |
難易度:★★★★ 図面:見開き4枚 内容:(質)B(量)C レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:A 上級〜有段向き |
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※詳しい内容紹介は個別ページを参照
◆内容紹介(MYCOMホームページより) |
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若手振飛車党の自戦記集。 デビュー2〜3年のイキのいい若手振飛車党が1人あたり3局を自戦解説。1つの自戦記にはたいてい2つの「研究」コーナーが挿入され、序盤定跡の研究や詳しく検討しておきたい変化などを2〜4ページを使って詳しい解説がされている。 著者の紹介をしておこう。……レビューの続きを読む(2008May15) |
新
谷川浩司全集 4 平成十五年度版 王位防衛に加えて棋王奪取!! ─勝率7割を超えた竜驤虎視の一年─ |
谷川浩司 毎日コミュニケーションズ ISBN:4-8399-1693-4 2005年5月 \1,785(5%税込) 288p/19cm/H.C. |
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・巻頭インタビュー |
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NHK将棋シリーズ 鈴木大介の 振り飛車自由自在 |
鈴木大介 日本放送出版協会 ISBN:4-14-016130-2 2005年2月 \1,050(5%税込) 222p/19cm |
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◆内容紹介 |
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新プロの将棋シリーズ(3) 田村流けんか殺法 |
田村康介 毎日コミュニケーションズ ISBN:4-8399-1637-3 2004年11月 \1,449(5%税込) 256p/19cm |
[総合評価] |
難易度:★★★☆ 図面:見開き4枚 内容:(質)B(量)B レイアウト:A 解説:B 読みやすさ:B 上級〜有段向き |
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・田村流上達コラム |
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田村康介の自戦解説。週刊将棋に連載された「田村流けんか殺法」に、第2章を追加したもの。 田村五段は早見え・早指しの実戦派。ゴキゲン中飛車が得意だが、他の戦型も指すこなすし、序盤から隙があればガンガン咎めに行くタイプだ。乱戦も大歓迎で、本書でも「えっ、そんな手あるの?」という手があちこちに登場する。必ずしも最善手ではない場合もあるが、非常に実戦的で勢いのある将棋である。 ・「劣勢のときは真面目な手を指すより投げやりな手を指す方がいい場合もあります。」(222p) ・「多少悪いときは悪い手を指した方が逆転のチャンスが多いような気がします」(223p) こういう解説が多い。「わたしには合わないタイプだな」と思いました(笑)。 収録棋譜は15局。ただ、序盤や終盤が割愛されているものもある。単行本化のときに補完してほしかった。また、レイアウトはいまいち。部分的に棋譜がかなり長かったり、解説と図面が飛んでいたりと、ちょっと読みにい。 「将棋は気合だ!」と思う方は、一読の価値はあると思う。わたしは食アタリを起こしました。(2005Feb25) |
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最強将棋21 注釈 康光戦記 |
佐藤康光 浅川書房 ISBN:4-86137-005-1 2004年7月 \1,575(5%税込) 272p/19cm |
[総合評価] |
難易度:★★★★☆ 図面:見開き4〜5枚 内容:(質)A(量)B レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:B 上級〜有段向き |
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自戦記=14局、各章末に注釈とインタビュー多数
◆内容紹介(まえがきより) ⇒浅川書房HPの紹介 |
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佐藤康光の自戦記集。 佐藤の自戦記といえば、『康光流現代矢倉』シリーズ(日本将棋連盟,1997,全3巻)や『康光流四間飛車破り』(同,1999)などがあるが、これらは戦法解説の傾向が強かった。また『佐藤康光の戦いの絶対感覚』(河出書房新社,2000)もあるが、こちらは佐藤の実戦を題材に大局観や読みを解説したものだった。というわけで、佐藤の純粋な“自戦記集”というのは本書が初めてである。 本書の自戦記は、将棋世界誌に一度連載されたものから、佐藤が面白い将棋だと思ったものを抜粋し、大幅に書き直している。わたしは現物を見ていないのだが、将棋世界誌の佐藤の自戦記はかなり難解だったらしく、逆にほとんど反応がなかったことを佐藤は気にしている。それで、本書では本文をほぼ全面的に書き直したそうだ。 それでも単行本の自戦記としては非常にレベルの高い仕上がりになっている。これに“注釈”を加えたことで、少しだが難度が下がっている。 本書のウリである“注釈”は、各局の最後に1〜2ページ、インタビューと補足解説で構成。この「インタビュー」が面白い試みで、今までの自戦記集にはあまりなかったものである。一つ一つは断片的だが、インタビューアが佐藤の言を引き出してくれるので、非常に読み応えがある。その一端を紹介すると、 ・「私は読み筋が合う人がいないんですよ。」(62p) ・「実は、私が(トッププロの中で)一番筋が悪いんですよ」(146p) ・「居飛車党にとっては、(三間飛車は)四間飛車より指しやすそうに見えるんです。」(194p) ・「新聞も七紙取っていて、もちろん将棋欄が目的です」(212p)(←凄…。棋書ミニ投票PetitPollのQ12、全紙取ってる1名様は佐藤棋聖だったのかぁ(違)) ・「(最近の将棋は研究中心で)知識知識といいますが、自分で考えた知識でないといけません」(212p) ・「わたしはアホですか?」(214p)(←え) どうです、読みたくなったでしょう。(笑) ただ、もう一方の“注釈”である「補足解説」は、できれば本文と同一ページ内でやってくれる方が良かった。ページを何度もめくり返す必要があるので、読みにくくなっている。スペースの事情などがあるだろうが、次に同様の自戦記を出版するときには、ぜひとも一考していただきたい。 全14局とちょっと物足りないのと、次回への期待を込めて、あえて激辛のB。(2004Nov05) |
新
谷川浩司全集 3 平成14年度版 通算1000勝達成! さらなる飛翔へ |
谷川浩司 毎日コミュニケーションズ ISBN:4-8399-1534-2 2004年7月 \1,785 264p/19cm/H.C. |
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◆平成14年(2002年)度 谷川の主な成績 |
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小学館文庫 羽生善治 好機の視点 |
羽生善治 小学館 ISBN:4-09-405751-X 2003年8月 \476 215p/16cm |
[総合評価] |
難易度:★★★★ 図面:見開き1〜2枚 内容:(質)B(量)A レイアウト:B 解説:B 読みやすさ:B 上級〜有段向き |
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※詳しい内容は個別ページを参照 (1)ロンドン対局 (2)振り飛車の系譜 (3)コピー将棋 (4)見たこともない展開 (5)阪田流向かい飛車 (6)勝負勘の維持 (7)薄氷を踏む勝利 (8)臆病風 (9)チェスのエンドゲーム (10)スーパー四間vsイビアナ (11)優れた新手 (12)好手が潜む (13)時代は巡る (14)宗歩に学ぶ (15)結論が出ない不安 (16)桂の破壊力と意外性 (17)初めて尽くしの名人戦 (18)持久戦調の金と銀 (19)苦手相手の演じた“趣向” (20)谷川先生の振り飛車 (21)ひねり飛車の工夫 (22)飛先交換腰掛け銀 (23)切れ筋を絶つ (24)矢倉模様の出だしから (25)カニカニ銀対策 (26)“手抜き”の最善手 (27)難解な戦い (28)神様のいたずら (29)名人戦特集 ◆内容紹介 本書は、1992年から95年にかけて行われた対局について、羽生善治名人自ら印象的シーンを取り上げ感想を加えたものである。稀代の天才棋士が、谷川浩司(現王位)、佐藤康光(現棋聖)、中原誠永世十段、米長邦雄永世棋聖ほか、宿命のライバルたちと繰り広げた若き日の激闘の軌跡―。 |
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羽生の20代前半の頃の自戦解説書。「将棋マガジン」誌に掲載された「ハブの眼」をまとめたもの。(読む前は、よくある口述筆記系のエッセイ集かと思っていました) 期間は1992年9月〜1995年5月。羽生のタイトルが二冠から六冠へと順調に増えていった時期だ。まえがきでは「今、振り返ってみると恥ずかしい部分も多く、封印してしまいたい気持ちです。まず、将棋の内容が若いというか、粗い印象があります。いろいろな作戦・戦法を試している意味もあったのですが、無謀に近い棋譜も数多く見受けられます。」とある。しかし棋界制覇へ邁進していたことは確かであり、もっとも羽生が恐ろしかった時期である。なお、「2手目△6二銀」や「2手目△3二金」など、確かにいろいろな作戦が登場する。 印象的だったのが、「優れた一手の新手は百手の研究より優る」(88p)という言葉。相掛かり▲3七銀戦法に対し、後手の谷川が△6三銀とせずに△8八角成としたのが、手損だが低い構えのまま局面を収めて秀逸、というのを表現したもの。大きな新手一つで既存の定跡がガラリと変わってしまう。ここ数年でも、横歩取り△8五飛・ゴキゲン中飛車・一手損角換わり・角交換振飛車など、さまざまな新発想が出てきているだけに、すごく実感できる言葉だ。 各回の構成は次の通り。最初に時節の挨拶や小ネタを振ったあと、3局のハイライトを4図面で解説し、感想を加える。月によっては2局のときもある。 文庫版のため字が小さく、図面も飛んでいるので若干読みにくい。また、棋譜(総譜)がないのがかなりの残念ポイント。しかしトッププロがナマの感想を書いているのは結構貴重。初出から10年以上経過しているためかなり鮮度が落ちているが、通勤のお供で一読する価値は十分あり。値段も安いし。 なお、なぜタイトルが「好機の視点」なのかはさっぱり分かりませんでした…。(2005Nov18) |
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新
谷川浩司全集 1 |
谷川浩司 毎日コミュニケーションズ ISBN:4-8399-1075-8 2003年6月 \1,500 272p/19cm/H.C. |
[総合評価] |
難易度:★★★★ 図面:見開き6枚(自戦記編) 内容:(質)A(量)S レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:A 上級〜有段向き |
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◆平成12年(2000年)度 谷川の主な成績 |
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谷川浩司の年度別・個人自戦記集の平成12年度版。 従来のスタイルを一新し、版型と装丁をコストダウンした分、定価が半額になってお買い得になった。内容・構成は従来版とほとんど同じだが、写真類はほとんど削除されている(自戦記編の先頭に一枚あるだけ)。 平成12年度の谷川は絶好調。勝ち数51は、例年なら間違いなく1位だ。ただ、この年度は羽生がこれを上回る絶好調(89局68勝21敗、勝率.764)。谷川も羽生にだけはとことんやられ、羽生との3度のタイトル戦はいずれも辛酸を舐めた。谷川本人も「対羽生戦残念譜集の極みのようになってしまった」(まえがきより)と語っている。 本書の平成12年度版で多い戦型は、横歩取り角交換型(谷川後手)、横歩取り△8五飛vs▲6八玉型(谷川先手)、△四間飛車(谷川後手)、角換わり相腰掛銀(谷川先手)。 個人的には今回のモデルチェンジは歓迎。トップ棋士の80局弱もの棋譜が、解説付きで1500円ならかなりお得だ。『森下の矢倉』『森下の四間飛車破り』と比較しても、コストパフォーマンスは優るとも劣らない。版型が少し小さくなったので、カバンの中にも入れやすく、通勤通学時にも読みやすい大きさになった。評価はAとしたが、限りなくSに近い。従来版(平成11年度版まで)よりわずかに高めの評価をしています。 ただし、今までの谷川全集を揃えていた人には痛い限り。背表紙のデザインも大きさも違うので本棚に並べたときパッとしないし、なにより何年度版なのか分からない。せめて表紙&背表紙に○年度版って書いておいてくれれば良かったのになぁ…。数年分たまれば慣れるかな?(2003Aug20) |
森下の対振り飛車熱戦譜 |
森下卓 毎日コミュニケーションズ ISBN:4-8399-0594-0 2002年11月 \2,000 272p/21cm/H.C. |
[総合評価] |
難易度:★★★★☆ 図面:見開き6枚 内容:(質)A(量)B レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:A 上級〜有段向き |
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自戦記=20局 (対戦相手:藤井=7局、久保=5局、鈴木大=3局、小倉=2局、中村=2局、三浦=1局) ◆内容紹介(MYCOMホームページより) 現代振り飛車との最先端の濃密な戦い。純粋な居飛車党であり、手厚い指し回しは棋界随一を誇る森下卓八段が、対振り飛車実戦譜をまとめ、『森下の四間飛車破り』以来6年ぶりに実戦集として上梓しました。現代の代表的な振り飛車の使い手といえば藤井猛九段、久保利明七段、鈴木大介七段の三人。本書は特にこの三人を大きく取り扱いました。タイプの異なる振り飛車党に、様々な対策で立ち向かう森下八段の居飛車での戦いの軌跡を、森下八段が自ら書き下ろし、全20局を全編自戦記で綴った内容の濃い一冊です。 |
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森下の対振飛車自戦記。 『森下の四間飛車破り』(1996)は、森下の対四間飛車全棋譜が収められていたが、本書では“藤井システム誕生以降”の対振飛車に限定されている。さらにA級振飛車党三銃士の藤井・久保・鈴木大との対局に、特にスポットを当てて解説している。この3人は純粋振飛車党の中でも特に強く、しかも3人とも棋風も大局観も全然違うのだから面白い。 今回も森下ならではの丁寧な自戦記がいい感じである。特に目立つのは冒頭3局の「四間飛車藤井システムvs飛先不突き(or保留)袖飛車」と、まんなかあたりの「四間穴熊vs銀冠」。前者は比較的新しい指し方で、有力ながら試行錯誤中の様子。後者は前著で圧倒的勝率を誇った銀冠なのだが、森下の考え方がハッキリと変化した様子が綴られている。 ただ、『森下の四間飛車破り』と比べて、やはり量的に見劣りする。森下は、藤井システムの登場前後では対振飛車の考え方が全く変わり、藤井システム以前の将棋はあまり価値がないと見ているようだが、あえて対振飛車全棋譜(四間飛車以外)を収録してほしかった。または、藤井システム以後の、四間飛車を含む対振飛車全棋譜でも良かった。非常に惜しいが、あえてBとさせていただく。(2003Oct28) |
谷川浩司全集 平成十一年度版 |
谷川浩司 毎日コミュニケーションズ ISBN:4-8399-0460-X 2001年12月 \3,000 335p/22cm/H.C. |
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◆内容紹介(MYCOMホームページより) 将棋界唯一の年度版個人全集。「自戦記編」と「棋譜解説編」の2部構成で平成11年度の全対局を収録しました。前年に名人と竜王を失い無冠に転落した谷川九段でしたが、そのまま屈することなく名人挑戦権を獲得。佐藤康光名人とのリターンマッチは、フルセットの激闘。惜しくも復位は果たせなかったものの、郷田真隆からは棋聖を奪取し無冠返上。持ち前の復活力を発揮した平成11年度でした。トップクラスで戦い続ける「光速流」の魅力を、本書であますところなく鑑賞できます。 |
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先ちゃんの 順位戦泣き笑い熱局集 |
先崎学 日本将棋連盟 ISBN:4-8197-0255-6 2000年8月 \1,500 239p/21cm |
[総合評価] |
難易度:★★★☆ 図面:見開き4枚 内容:(質)S(量)B レイアウト:A 解説:S 中級〜有段向き |
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天才(天才肌?)・先崎八段の、楽しく面白い自戦記。面白い、といっても爆笑系の面白さではなく、文章力に引き込まれてしまう面白さだ。そしてときどきクスッと笑わせてくれる。 先崎は最近の若手では珍しい、破天荒タイプの棋士である。その性格が災いしてか、羽生のライバルと目されながらもC2で8年も苦しんでいる。その後はブレイクしたのか、駆け上がるようにA級に昇った。そんな先崎だから、自戦記にもとても人間味が感じられる。 本文には心情面がたくさん書かれているが、棋譜の解説もしっかりしている。ただし、序盤の細かい判断はだいたいはしょっている。もともと先崎は変な序盤が好きだし(初手▲3六歩が有名)、本文中にも「悪くならなければ、序盤なんて、どうやっても同じようなものだ」(105p)と書いてあるくらいだ。(この言葉から、どんな将棋を指すのかだいたい分かる) 順位戦のB1以下はあまり注目されないし、棋譜も埋もれるものが多い(一部が将棋年鑑に載るくらい)。しかし棋士にとってはもっとも負けられない棋戦である。そんな中で、本書は「棋士にとっての順位戦」を知ることができる、案外貴重な一冊である。 実はこの本は図書館で借りたのであるが、こんなに面白いのならば買っておけば良かった。何度も並べるタイプの実戦集ではないので、さすがに今から買う気はしない(笑)。 |
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実戦の振り飛車破り |
郷田真隆 日本将棋連盟 ISBN:4-8197-0362-5 2000年8月 \1,200 229p/19cm |
[総合評価] |
難易度:★★★☆ 図面:見開き4枚 内容:(質)B(量)B レイアウト:A 解説:B 読みやすさ:A 上級〜有段向き |
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郷田の四段時代から八段になるまでの、対振飛車戦から21局を撰集した自戦記。郷田八段の初著作である。当時大流行の居飛車穴熊はあまりやらず、急戦中心になっている。 郷田で対振飛車急戦と言えば、なんといっても「対四間飛車早仕掛け△2四同角型での郷田新手▲9五歩(2000/4/10竜王戦1組)」が思い出されるが、残念ながら棋譜・自戦記は本書には収録されてなかった(この時点でかなりガッカリ…)。郷田新手そのものは、なぜか第3章(向飛車編)の途中で1pだけ紹介されていた。 解説は平易で読みやすい。初段〜三段くらいの方にはちょうど良さそう。反面、棋譜を並べていて「この手の意味は?」と思いそうなところに全く触れてなかったり、記述がチグハグな部分があったりするのが気になった。それほど多い訳ではないけれど。(たとえば、31pで「〜になるのが自慢だ」と言っておきながら(形勢良さそうですよね)、32pで「結論から言えば、第4図は居飛車が喜んで飛び込む順ではなかった」(えっ、不利なの?)って、どっちやねん!) 良くも悪くも「フツーの自戦記集」という印象だった。Bに少し届かないCということで。(2003Sep18) |
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谷川浩司全集 平成十年度版 |
谷川浩司 毎日コミュニケーションズ ISBN:4-8399-0323-9 2000年6月 \3,000 319p/22cm/H.C. |
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◆内容紹介 名人・竜王と相次ぐ失冠、無冠からの新たな挑戦が始まる。苦悩の年に一条の光、名人奪回に名乗り。現役トップ棋士の年度版個人全集第十弾。 |
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[実戦教室] 攻める振り飛車 四間飛車穴熊&力戦振り飛車 |
鈴木大介 日本将棋連盟 ISBN:4-8197-0361-7 2000年4月 \1,200 223p/19cm |
[総合評価] |
難易度:★★★☆ 図面:見開き4枚 内容:(質)A(量)C レイアウト:A 解説:B 読みやすさ:A 中級〜上級向き |
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※各局の冒頭に「実戦次の一手」付き
・【ミニコラム】私の将棋上達法 |
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鈴木大介の自戦解説集。 鈴木八段(当時は五段→六段)は四間飛車穴熊と力戦振飛車と得意とする純粋振飛車党で、それらの定跡書も出している。本書は竜王に挑戦した1999年度前後の将棋から、四間穴熊・ゴキゲン中飛車・石田流に絞って10局を解説している。 各章の冒頭では基本定跡を簡単に解説。各局の最初にトピックスとなる局面を挙げ、鈴木が指した次の手を考えた後、初手から投了までの解説に入る。解説は上級〜二段くらい向け。全体的にさっぱりして分かりやすい解説である一方、悪手を指したときにそれに代わる手が書かれてないのが残念なところ。 鈴木はやや悪い局面から逆転するイメージがある。本書でももちろん逆転した将棋も解説されているが、逆に良くなったところから徹底的に受け潰す指し方のほうが印象に残った。 数が少なかったので評価を低めにしたが、この戦型の自戦記はあまりないので、並べる価値はある。(2007Feb18) ※鈴木は後年『石田流新定跡』(2005)で居玉での速攻を著わしているが、本書の基本定跡解説(第2章)では、まだ「(居玉で▲7四歩は)やや無理」(p123,p188)としている。 |
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