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最強将棋21 注釈 康光戦記 |
[総合評価] B 難易度:★★★★☆ 図面:見開き4〜5枚 内容:(質)A(量)B レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:B 上級〜有段向き |
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【著 者】 佐藤康光 | ||||
【出版社】 浅川書房 | ||||
発行:2004年7月 | ISBN:4-86137-005-1 | |||
定価:1,575円(5%税込) | 272ページ/19cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
自戦記=14局、各章末に注釈とインタビュー多数
◆内容紹介(まえがきより) ⇒浅川書房HPの紹介 |
【レビュー】 |
佐藤康光の自戦記集。 佐藤の自戦記といえば、『康光流現代矢倉』シリーズ(日本将棋連盟,1997,全3巻)や『康光流四間飛車破り』(同,1999)などがあるが、これらは戦法解説の傾向が強かった。また『佐藤康光の戦いの絶対感覚』(河出書房新社,2000)もあるが、こちらは佐藤の実戦を題材に大局観や読みを解説したものだった。というわけで、佐藤の純粋な“自戦記集”というのは本書が初めてである。 本書の自戦記は、将棋世界誌に一度連載されたものから、佐藤が面白い将棋だと思ったものを抜粋し、大幅に書き直している。わたしは現物を見ていないのだが、将棋世界誌の佐藤の自戦記はかなり難解だったらしく、逆にほとんど反応がなかったことを佐藤は気にしている。それで、本書では本文をほぼ全面的に書き直したそうだ。 それでも単行本の自戦記としては非常にレベルの高い仕上がりになっている。これに“注釈”を加えたことで、少しだが難度が下がっている。 本書のウリである“注釈”は、各局の最後に1〜2ページ、インタビューと補足解説で構成。この「インタビュー」が面白い試みで、今までの自戦記集にはあまりなかったものである。一つ一つは断片的だが、インタビューアが佐藤の言を引き出してくれるので、非常に読み応えがある。その一端を紹介すると、 ・「私は読み筋が合う人がいないんですよ。」(62p) ・「実は、私が(トッププロの中で)一番筋が悪いんですよ」(146p) ・「居飛車党にとっては、(三間飛車は)四間飛車より指しやすそうに見えるんです。」(194p) ・「新聞も七紙取っていて、もちろん将棋欄が目的です」(212p)(←凄…。棋書ミニ投票PetitPollのQ12、全紙取ってる1名様は佐藤棋聖だったのかぁ(違)) ・「(最近の将棋は研究中心で)知識知識といいますが、自分で考えた知識でないといけません」(212p) ・「わたしはアホですか?」(214p)(←え) どうです、読みたくなったでしょう。(笑) ただ、もう一方の“注釈”である「補足解説」は、できれば本文と同一ページ内でやってくれる方が良かった。ページを何度もめくり返す必要があるので、読みにくくなっている。スペースの事情などがあるだろうが、次に同様の自戦記を出版するときには、ぜひとも一考していただきたい。 全14局とちょっと物足りないのと、次回への期待を込めて、あえて激辛のB。(2004Nov05) |