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■将棋囲い事典100+

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将棋囲い事典100+
zoom
マイナビムック 将棋世界Special
将棋囲い事典100+
基本形から最新形まで超収録
エルモ!新型雁木!羽生流右玉!
[総合評価]
S

難易度:★★☆

図面:見開き4〜8枚
内容:(質)A(量)S
レイアウト:A
解説:B+
読みやすさ:A
初級〜向き

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【著 者】 将棋世界編集部
【出版社】 日本将棋連盟/発行 マイナビ出版/販売
発行:2020年12月 ISBN:978-4-8399-7450-3
定価:1,760円(10%税込) 224ページ/cm


【本の内容】
●藤井聡太の囲い論―現代囲い考察― 【語り】二冠 藤井聡太
●戦型別囲いランキング
・振り飛車の囲い21
・対振り飛車の囲い27&穴熊の仲間たち
・相居飛車の囲い26&矢倉の仲間たち
・番外編 “KAKOI”NextGeneration―最新囲いエトセトラ
・番外編 夢とロマンにあふれる囲い
●ようこそ! “囲い”動物園
●講座
・振り飛車党の必修科目「美濃」「高美濃」「銀冠」講習会
・組み合わせいっぱい ビバ! 相振り囲い大研究
・これであなたもアナグマスター 穴熊を指しこなすコツ教えます
・手筋を学べ! 矢倉攻略大作戦
・“堅さは正義"から“広さは正義"に 右玉完全ガイド
・赤丸急上昇! 中住まい玉の急所を知ろう
・振り飛車はもっと自由に 指すぞ! 「振りミレ」「金立」「振りエルモ」
・駒組みシンプル、でも堅い 「エルモ囲い」で振り飛車撃破
・もうB級とは言わせない 「新型雁木」で行こう
・一手損角換わりの隠し玉 大胆不敵「羽生流右玉」
●コラム プロ棋士の名を冠した囲い、ほか
●アンケート プロ棋士50人に聞きました
●スペシャル対談 ミマグマ&アナグマン穴熊道を語る
●銀冠物語/玉頭位取り物語/流れ矢倉物語
●巻末ミニ特集 ヘンな囲い事典

※講座【「エルモ囲い」で振り飛車撃破】【「新型雁木」で行こう】【大胆不敵「羽生流右玉」】は、それぞれ『将棋世界』2020年6月号「エルモ囲いを指してみよう」、2017年11月号「自由自在、増田流雁木」、2020年8月号「強敵早繰り銀 最新撃退術」を再構成したものです

◆内容紹介
将棋には数えきれないほどの「囲い」があります。「囲い」とは王様を守る鎧のようなもの。重く堅い騎士のような重装備もあれば、防御力よりも機動力に優れた装備もあります。

初心者のうちは、堅い囲いが優秀で、薄い囲いはダメと、つい思ってしまいがちですが、必ずしもそうではなく、戦い方に合った囲いを選ぶことが重要。たくさんの種類の中から適切な囲いを選択することこそが、勝率を上げるのです。

本書は100を超える囲いを戦型別のランキング形式で発表。特にメジャーな囲いや流行の囲いは講座でも取り上げ、その特色を余すところなく紹介します。ほかにコラムやプロ棋士アンケートなど、多くの雑学も詰め込んだ、ボリューム満点の一冊です。


【レビュー】
将棋の囲いを特集したムック。

将棋には、玉を守る構えとして「囲い」がある。囲いには有名な「美濃囲い」や「矢倉囲い」、「穴熊」といったものから、マイナーなものや名も無きものまで、非常にたくさんの種類がある。

囲いには、それぞれに長所と短所があって、「これぞ万能」という囲いは存在しないが、囲いの種類や特徴を知っておくと、未知の局面に対応しやすく、棋力も上がっていく。

代表的な囲いの組み方や攻略法を教える本は割とたくさんあるが、ありとあらゆる「囲い」そのものに焦点を当てた本は、これまでだと『序盤戦!! 囲いと攻めの形』(1990)くらいだっただろうか。本書は約30年ぶりとなる「囲いに特化した本」となる。


各章の内容を、囲いの代表図を添えながら紹介していこう。


●藤井聡太の囲い論 −現代囲い考察− =18p
・囲いは戦法と切り離せない関係。
−矢倉は▲4六銀-3七桂ができなくなり、後手の急戦もあるため、矢倉囲いにしっかり囲う将棋は減っている。
−角換わり腰掛け銀は、▲5八金型から▲4八金-2九飛型に主流が移った。
−相掛かりは、歩交換を急がず、玉の位置も多様化。がっちり囲うことは少ない。
−横歩取りはもともと玉をがっちり囲わない。
−振り飛車(対抗形)は、今もしっかり囲い合う。美濃囲いと居飛穴はいまでも主流だが、振り飛車側が端攻めに重点を置いた駒組みが増えつつある。
・現代将棋では、囲いは戦いながら変化していく。また、囲いと攻め駒が融合している(はっきりした区別がない)。
・居玉の急戦が増えている。
・金冠が好形と考えられるようになった。
・囲いの堅さは相手の陣形とのバランスで決まる。



●戦型別囲いランキング 振り飛車の囲い21
・本書では、囲いを戦型別に分類し、各分類の中で独自のポイント制によってランキングを付けている。
−6項目のレーダーチャートによる合計点で順位が付けられている。
−項目は、「堅さ」「バランス」「囲いやすさ」「ビジュアル」「インパクト」「お勧め度」。点数は編集部の主観と思われる。
・上位の囲いは見開き2p。下位になるにしたがって、1p→0.5p→0.25pと減っていく。
・ページ数が多いときは、囲いの概要、長所・短所、ワンポイント、注意点などを具体例を交えて解説。
−ページ数が少ないときは、いずれかが省略される。
・囲いの名称は、本誌で(勝手に)命名されたものもある。
掲載p p数 囲いの名称 一例 ショートコメント その他
p26 2p 本美濃 ・金銀3枚の美濃囲い。
・「平美濃」とも。(高美濃などと区別して)
・▲4六歩or▲5六歩を突くことも多い。
 
p28 2p 高美濃 ・本美濃から▲4七金と上がる。
・右桂は跳ねても跳ねなくても「高美濃」。
 
p30 2p 振り飛車穴熊 ・「岩屋囲い」「ほら囲い」「奥美濃」とも。
(あまり聞いたことないが)
 
p32 1p 銀冠(振り飛車) ・「ぎんかんむり」と読むが、「ぎんかん」と言う人もいる。
・高美濃からの発展形。
・組み替える瞬間にバラバラになるので注意。
 
p33 1p 金立美濃 ・「きんたちみの」(たぶん)
・「大隅囲い」「大住囲い」とも。
・金無双のはじめの一歩であり、
耀龍四間飛車の序盤でも見られる。
本書で命名
p34 1p 片美濃 ・「かたみの」
・金銀2枚の美濃囲い。
 
p35 1p 振り飛車ミレニアム ・ミレニアムを振り飛車側で採用。
・▲2九玉型が角筋を避けており、右桂を攻めに使える。
 
p36 1p 木村美濃 ・木村義雄十四世名人が香落上手で得意にしていた。
・ただし木村著の名著『將棋大觀』(初出1928年)には載っていない。
コラムあり
(p37)
p38 1p ダイヤモンド美濃 ・本美濃に左銀(▲4七銀)を引き付けた形。
・金銀の形がダイヤモンド。
・高美濃に▲5八銀を付けた形は除外するらしい。
(※それもダイヤモンド美濃と呼ぶ人もいる)
 
p39 1p 早美濃 ・「早囲い」「3手囲い」「壁囲い」とも。
(※たぶん「早囲い」の方がやや一般的)
本書で命名
p40 0.5p 片銀冠 ・金銀2枚の銀冠。
・角交換振り飛車で頻出。
勝又清和が命名
コラムあり
(p56〜)
p40 0.5p 振り飛車金無双 ・耀龍四間飛車などで見られる。
・対居飛車穴熊で活躍。
・右桂の活用ができる、玉が角筋を避けている、端攻めしやすい。
・相振り飛車での金無双は別枠。
 
p41 0.5p ずれ美濃 ・早囲いからの発展形。
・片美濃より一路左にずれている。
・急戦向かい飛車などで活躍。
名称の認知度は低い
p41 0.5p 振り飛車エルモ ・エルモ囲いを振り飛車で採用。  
p42 0.5p 四枚美濃 ・金銀4枚の美濃囲い。
・パターンが多い。
本美濃+▲4六銀、高美濃+▲5八銀、高美濃+▲3七銀など。
・一例図は三間飛車真部流。
(おそらく、「四枚美濃」よりも「真部流」の方が通りが良い)
 
p42 0.5p 裾固め ・木村美濃に左金をくっつけた形。 本書で命名?
p43 0.5p 大山美濃 ・美濃囲いに左銀を▲3七銀まで引き付けた形。
・大山康晴十五世名人がよく採用していた。
・ヒネリ飛車で生じる「カブト美濃」とは区別されている。
名称の認知度は低い
コラムあり
(p43)
p44 0.5p 金美濃(振り飛車) ・▲3八金+▲4八銀の形。  
p44 0.5p 銀美濃 ・片美濃に左銀を▲5八銀とくっつけた形。
・立石流などで現れる。
名称の認知度は低い
p45 0.5p 美濃熊囲い ・美濃囲いから穴熊に潜り、左銀を▲2八銀まで引き付ける。
・「神吉流(居飛車)穴熊」の振り飛車版。
本書で命名?
p45 0.5p ちょんまげ美濃 ・美濃囲いで▲2六歩が突かれている形。
・陽動振り飛車で現れる。
 



●〔講座〕振り飛車党の必修科目「本美濃」「高美濃」「銀冠」講習会 =10p
美濃囲いの囲い方の手順、高美濃〜銀冠までの発展、基本的な崩し方、美濃崩しに対する受け方、マル秘テクニック(ギリギリで受ける高等手筋)など。


●銀冠物語(勝又清和七段) =2p
・角交換振り飛車での片銀冠を最初に指したのは山崎隆之。
・片銀冠で、死期の迫った真部一男が指そうとした幻の妙手△4二角。死去した真部の通夜の日に、その△4二角を全く知らなかった大内延介が指した話。


●〔講座〕組み合わせいっぱい ビバ!相振り囲い大研究 =4p
・相振り飛車で使われやすい美濃囲い、金無双、右矢倉、穴熊の特徴を解説。



●戦型別囲いランキング 対振り飛車の囲い27 &穴熊の仲間たち
掲載p p数 囲いの名称 一例 ショートコメント その他
p64 2p 居飛車穴熊 ・略称は「居飛穴」(いびあな)。
・対抗形は居飛車穴熊を中心に回っている。
 
p66 2p エルモ ・将棋ソフトelmoが好んだ囲い。
・そこそこ堅い。
・対振り飛車の急戦や、右四間飛車との組み合わせが見直されるようになった。
※かつて、対ツノ銀中飛車の▲4六金戦法で現れていた形。
cf.『羽生の頭脳 3 急戦、中飛車・三間飛車破り』(1992)p181〜など。
※『序盤戦!! 囲いと攻めの形』(1990)のp52にもすでに登場。
p182に特集記事
p68 2p ミレニアム ・▲8九玉型で固める。
・「トーチカ」「かまぼこ」「かまくら囲い」とも。
・2000年頃に藤井システム対策として指されたのが由来。
・2019年頃から再流行。左桂の攻撃力が認識された。
※「ミレニアム」と「トーチカ」は別物としている本もある。
固めてドカン!対四間飛車 ミレニアム&トーチカ戦法』(2020)など。
 
p70 1p 舟囲いDX ・舟囲いからの発展最終形。
・▲5七銀左戦法で頻出。様々な急戦策に派生する。
・昔(少なくとも1960年代)からあるが、決まった呼び名はなかった。
本書で命名
p71 1p 左美濃(対振り飛車) ・居飛車での▲8八玉型美濃囲い。
・天守閣美濃とは区別されている。
・昔からあるが、振り飛車からの急戦を警戒して、近年は急増。
 
p72 1p 銀冠(対振り飛車) ・左美濃からの発展形。  
p73 1p 糸谷流右玉 ・振り飛車に対して右玉に組む。
・牧野光則が奨励会時代に愛用、糸谷哲郎が独自の工夫で体系化。
・公式戦初登場は、2005年3月の飯島栄治らしい。
コラムあり
(p74)
p75 1p 舟囲い ・▲7八玉が舟に載っているような形から。
・他の囲いへ発展可能。
 
p76 1p 金盾囲い ・タテの二枚金が盾に見えるらしい。 本書で命名
p77 1p 箱入り娘 ・身が堅いが、手が付くと速い、というのが由来らしい。
・舟囲いから金を一つ寄る。
・飛を5筋に回る手がある。
・所司和晴の命名と思われる。cf.『四間飛車道場 第二巻 右4六銀』(2001)
・2019年から実戦例が急増。対▲中飛車に有効。
 
p78 0.5p 天守閣美濃 ・▲8七玉型の左美濃。
・「八幡美濃」「松浦玉」とも。
・公式戦初登場は、1960年10月の松浦卓造九段らしい。
・横からの攻めには、振り飛車の美濃囲いよりも強い。
・玉頭攻めに弱い。
・対天守閣美濃の藤井システムにより、ほぼ絶滅。
コラムあり
(p78)
p79 0.5p 大盾囲い ・金銀3枚の盾。
・対中飛車でよく現れる。
本書で命名
p79 0.5p 居飛車金美濃 ・居飛穴に潜ろうとしているが、1手で陣形を引き締め、このままでも戦えるようにしている。 本書で命名
p80 0.5p 端玉銀冠 ・銀冠で▲9八玉型。
・「米長玉」とも。
(ただし、▲9八玉型自体を米長玉と呼んだり、終盤で▲9八玉と寄る手筋を米長玉と呼ぶこともある)
・角筋を避けている。
コラムあり
(p80)
p81 0.5p 角道不突美濃 ・対▲中飛車で、後手番で使われる作戦での左美濃。
例:『振り飛車最前線 対中飛車 角道不突き左美濃』(2018)
・序盤で角道を突かず、△3一玉型の左美濃に構える。
・角道を良いタイミングで開けたり、△1三角と使ったり。
 
p81 0.5p ツノ銀囲い ・対5筋位取り中飛車で現れる形。
・銀の配置がツノ銀中飛車と同じことが由来と思われる。
本書で命名?
p82 0.5p 串カツ囲い ・▲9八玉型で居飛穴に似た形。
・命名は田中寅彦。cf.『超過激!トラトラ新戦法』(1999)
・「早咲玉」「端美濃囲い」とも。
・▲9八玉型が角筋を避けている。
 
p82 0.5p 文鎮囲い ・金銀玉が横に長い文鎮の様子から。
・命名は藤井猛だったはず。
・地下鉄飛車を狙っている。
 
p83 0.5p 高田流左玉 ・相振り飛車で玉を左側に囲う。
・相居飛車での右玉を左右反転させているイメージが由来。
・高田尚平が得意とした。cf.『高田流 新感覚振り飛車破り』(2000)
・組み方が特殊。
先に▲6七銀-▲5七銀を並べ、二段目を貫通させ、向かい飛車に振ってから、▲7八玉と移動させる。
・右側の守りは金1枚と桂にお任せ。
コラムあり
(p83)
p84 0.5p 5筋位取り ・5筋の位を取り、銀で5五歩を支える。
・支えの銀は、右銀バージョンと左銀バージョンがある。
・囲いというよりは、戦法名と陣形を指す。
・四間飛車側の対抗策が確立されており、ほぼ絶滅している。
 
p84 0.5p オリジナル雁木 ・対振り飛車の矢倉引き角作戦で現れる。
・本来はこの形を「雁木」というのが正しいらしい。
名称の認知度は低い
p85 0.5p 玉頭位取り ・振り飛車玉の玉頭に位を取って圧迫する。終盤の玉頭攻めに期待している。
・居飛穴が登場する前は、持久戦で活躍した。
・ノーマル振り飛車対策としては廃れたが、対立石流や角交換振り飛車などで現れる。
・有吉道夫の得意戦法。cf.『有吉八段自戦記 玉頭位取り戦法』(1976)
 
p85 0.5p トラック囲い ・トラックの由来は、玉が運転席、金銀が荷物?
・「セメント囲い」とも?
(※「かたつむり囲い」も聞いたことがあります)
名称の認知度は低い
コラムあり
(p86)
p87 0.5p 6筋位取り ・振り飛車側の囲いの進展性を奪う。
・居飛車の角道も通っている。
・▲6六歩にはたいてい△6四歩と突かれ、実現しにくい。
 
p87 0.5p 高矢倉 ・▲8七玉型の矢倉囲い。
・角筋を避けている。
・このままでは弱いので、別の形へ組み直すことが多い。
 
p88 0.5p ▲7八金型天守閣囲い ・玉の位置は天守閣美濃と同じ。金銀の形が異なる。
・花村元司が指している。
1991年出版の書籍に書かれているらしいが、書籍名は分からなかった。
名称の認知度は低い
p88 0.5p かんぴょう囲い ・端玉銀冠で、左香が▲9七香になっている形。
・端玉でも自分から端攻めができるのが売り。
・由来は不明。
名称の認知度は低い
p89 0.5p 四枚穴熊 ・居飛穴の番外編#1。
・ここまで組めたら居飛車必勝と言われていた。
・振り飛車側は四枚穴熊には組ませないような駒組みをする。
 
p89 0.5p ビッグ4 ・居飛穴の番外編#2。
・四枚穴熊からさらに発展させて強度を増した形。
・上部や端の弱点も強化されている。
 
p90 0.5p 片穴熊 ・居飛穴の番外編#3。
・金銀2枚の穴熊。
・4九金が自陣を広く守っており、3筋での戦いになると有効。
名称の認知度は低い
p90 0.5p 松尾流穴熊 ・居飛穴の番外編#4。
・右銀を7九まで引き付けた四枚穴熊。
・持久戦でこの形に組めたら勝率8割と言われたことがある。
・棋譜DBでは1979年12月に灘九段が指している。
・練習将棋で藤倉勇樹がよく指していたらしい。
コラムあり
(p91)
p92 0.5p 銀冠穴熊 ・居飛穴の番外編#5。
・銀冠から発展することができる。
・最初から銀冠穴熊を意識した作戦もある。cf.『堅陣で圧勝! 対振り銀冠穴熊』(2017)
 
p92 0.5p 居飛穴音無しの構え ・居飛穴の番外編#6。
・角道を開けずに銀冠穴熊に組む。
・『新版 奇襲大全』(1999)で世に知られた。
 
p93 0.5p 神吉流穴熊 ・居飛穴の番外編#7。
・左美濃に、右銀を引き付けて穴熊のフタとする。
・1号局は1984年1月。
・『穴熊ガイド』(1988)に紹介されている。
コラムあり
(p93)



●玉頭位取り物語 =2p
持久戦の主役を居飛穴に奪われた ⇒ 角交換振り飛車の対抗策として復活。
玉頭位取りの名局3局を紹介。(中原誠、渡辺明、藤井聡太)


●〔講座〕−これであなたもアナグマスター− 穴熊を指しこなすコツ教えます =8p
居飛車穴熊の組み方、堅さ・遠さを生かした攻め方・勝ち方、居飛穴の崩し方を解説。



●戦型別囲いランキング 相居飛車の囲い26&矢倉の仲間たち

 

掲載p p数 囲いの名称 一例 ショートコメント その他
p106 2p 金矢倉 ・単に矢倉といえばこの形。
・金銀3枚が密集しており、上部に強い。
・6七に金がいるのが金矢倉。
 
p108 2p 新型雁木 ・銀が6七と4七に配置される。
・「ツノ銀雁木」とも。
・相手の桂跳ねが銀に当たらない、左桂が活用しやすい、自陣に角の打ち込みが少ないなどの利点が認められた。
・対棒銀に、▲7七金!〜▲7八玉!という受け方がある。
p188に特集記事
p110 2p 中住まい ・▲5八玉と立った形。
・横歩取りや相掛かりなどで頻出。角換わり早繰り銀でも2018年頃から登場した。
・金銀(特に右側)の形はバリエーションがある。
▲3八銀-4九金型や、▲3八金-4八銀型などがメジャー。右辺を盛り上げて▲4七銀-4八金の形にするのもある。
どれも一長一短。
 
p112 1p 左美濃(相居飛車) ・矢倉左美濃急戦に使う。(通常は後手番側で現れる)
・対△雁木に棒銀や早繰り銀の急戦を仕掛ける時にも使う。
 
p113 1p ツノ銀型右玉 ・新型雁木から右玉に構える。  
p114 1p 土居矢倉 ・「▲6七金左型矢倉」とも。
・土居市太郎名誉名人が指した棋譜が残っている。「定山渓の一戦」が有名。
・コンピュータの影響で、近年見直された。cf.『▲6七金左型矢倉 徹底ガイド』(2019)
・バランス重視で、自陣の角の打ち込みが少ない。
コラムあり
(p116)
p115 1p 中原囲い ・中原誠十六世名人が▲相掛かりで採用した。
・横歩取り△8五飛戦法で大流行した。
・少なくとも昭和20年代には原型が見られたらしい。
コラムあり
(p116)
p117 1p イチゴ囲い ・相掛かりで現れる。
・『続 横歩取りは生きている 下巻』(1988)p466〜の「いちご囲い」急戦法では、下図が載っている。(※横歩取り▲勇気流でもかなり似た形が現れる)
名称の認知度は低い
p118 1p カブト囲い ・角換わりでよく現れる。
・7七銀がカブト。
名称の認知度は低い
p119 1p 金無双(相居飛車) ・新型雁木に対する急戦で現れる。
・△7七角成に▲同銀と取れる、角を引いて使うこともできる、などの利点がある。
 
p120 0.5p オールド雁木 ・三段目に銀が2枚並んだ形の雁木。
・新型雁木と区別するために「オールド雁木」と呼んでいる。
・「旧式雁木」「従来型雁木」などとも。
 
p120 0.5p カニ囲い ・二枚落ちの二歩突っ切り定跡に登場。
・「ダンスの歩」を解説するときにもよく見られる。
・▲7九玉-5九金型は「カニのほろ酔い囲い」などと呼ばれ、右四間飛車と相性が良い。cf.『野獣流攻める右四間』(2009)
 
p121 0.5p 銀冠(相居飛車) ・相掛かりの持久戦などで現れる。
・相居飛車では、玉を入城しないケースも多い。
 
p121 0.5p △4四銀型左美濃 ・昔からある左美濃急戦。
(※わたしはこれまでに見た記憶がない…)
・5筋に飛を転回できる。
 
p122 0.5p 桐山流中原囲い ・「△5二玉型中原囲い」とも。
・松尾歩が連採して注目されたが、桐山清澄が元祖らしい。
・新山ア流によって絶滅しかけた△8五飛戦法に新たな風を吹き込んだ。
コラムあり
(p122)
p123 0.5p 升田美濃 ・木村義雄の5筋交換型作戦に対抗するために、升田幸三が編み出した構え。
・1950年前後に指された。
名称の認知度は低い
p124 0.5p 角換わり右玉 ・角換わりでの右玉。
・主に後手番で登場。(※先手番では千日手を打開しにくい)
 
p124 0.5p 三段右玉 ・角換わりの△6二金-8一飛型で登場。
・薄いようで、つかみどころがない。
・このままで戦いを起こすことは少ない。
本書で命名
p125 0.5p 角換わり穴熊 ・旧型の角換わり腰掛け銀で登場。
・仕掛けの前に穴熊に潜っておくことで、強気の攻めが可能になる。
・これ以上固めると相手から先攻される。堅さより深さを利点とする。
 
p125 0.5p ボナンザ囲い ・将棋ソフト「Bonanza」が指していた囲い。
・角交換振り飛車に対してよく使われていたそうだ。
・変形例として、左銀が6六銀、右銀が5六銀となっている形を見たことがある。
 
p126 0.5p 雁木右玉 ・従来型雁木から右玉に組む。
・角を打ち込まれる隙はなく、上部に厚いが、玉は非常に薄い。
 
p126 0.5p カタ囲い ・ヒネリ飛車での後手の囲い。
・「ヒネリ飛車は先手必勝」説を打ち崩した囲い。
・「右金美濃」とか「居飛車金美濃」とは言わないらしい。
 
p127 0.5p 坊主美濃 ・ヒネリ飛車での先手の美濃囲い。
・ヒネリ飛車は相掛かりからの進展なので、2筋の歩は交換してあるため、玉頭の歩がない。
 
p127 0.5p カブト美濃 ・坊主美濃に左銀を▲3七銀引と引き付けた形。 名称の認知度は低い
p128 0.5p アヒル囲い ・金銀が踏ん張ったアヒルの足の形。
・「大阪囲い」とも。
 
p128 0.5p カギ囲い ・右側の金銀3枚が鉤(カギ)の形。
・角落ち上手で現れる。
※対右玉の地下鉄飛車でも似た形になりやすい。
名称の認知度は低い
p129 0.5p 天野矢倉 ・矢倉の番外編#1。
・天野宗歩が得意としたらしい。
・「片矢倉」「藤井矢倉」とも。
・金矢倉よりも角交換に強い。
コラムあり
(p129)
p130 0.5p 銀矢倉 ・矢倉の番外編#2。
・金矢倉の▲6七金が銀になれば銀矢倉。
・金銀の連結が良く、二枚銀が好形。
・組むのに手数がかかる。
・角換わり腰掛け銀▲6八玉-2九飛型で、持久戦模様になると現れる。
・本田奎は△5三銀〜△4二銀〜△4三銀という順で銀矢倉に組んだ。
 
p130 0.5p 銀立ち矢倉 ・矢倉の番外編#3。
・金矢倉から銀を一つ立った形。
・玉頭位取りでも現れるが、相居飛車では角が右辺にいることが多い。
・最初から狙うことは難しく、相手の動きに応じてこの形になる。
 
p131 0.5p 総矢倉 ・矢倉の番外編#4。
・金銀4枚が総出の矢倉。
 
p131 0.5p 菱矢倉 ・矢倉の番外編#5。
・金銀4枚が菱型の矢倉。
 
p132 0.5p へこみ矢倉 ・矢倉の番外編#6。
・角換わり、相振り飛車で現れやすい。
 
p132 0.5p 菊水矢倉 ・矢倉の番外編#7。
・▲8八銀型で、▲8九玉と囲う。
・高島一岐代九段の考案。
・「しゃがみ矢倉」とも。
・矢口理絵子が得意にしていたので「矢内矢倉」とも。
 
p133 0.5p 四角矢倉 ・矢倉の番外編#8。
・銀矢倉+▲6八金の形と、金矢倉+▲6八銀の形がある。
・「五つ星」とも。谷川浩司の著書が由来らしい。(なんだろう?)
 
p133 0.5p 流れ矢倉 ・矢倉の番外編#9。
・銀が5七銀へ流れた(?)形。
・急戦矢倉や右四間に対する受けの形として現れやすい。
別記事あり
(p138)
p134 0.5p 矢倉穴熊 ・矢倉の番外編#10。
・矢倉で仕掛けの前に穴熊に潜る形。
・角換わり穴熊と同様、遠さを生かして猛攻を仕掛けやすい。
 
p134 0.5p 富士見矢倉 ・矢倉の番外編#11。
・矢倉で5五の位を取り、▲5六銀と位を確保した形。
・金銀が富士山の形のよう?
名称の認知度は低い
p135 0.5p 隅矢倉 ・矢倉の番外編#12。
・矢倉の銀が端にいる形。
・△8五桂に備えて▲8六銀と上がり、△8五歩と突かれて▲9七銀と引くと出現する。
・菊水矢倉から変形する場合もあり。
名称の認知度は低い
p135 0.5p 矢倉右玉 ・矢倉の番外編#13。
・左辺に金銀2枚の矢倉を組み、右辺を右玉にする。
・▲6六銀〜▲5九飛の余地があり、通常の右玉よりも攻撃力が高い。
 
p136 0.5p 一文字矢倉 ・矢倉の番外編#14。
・三段目に金銀をズラリと並べる。
・角落ち上手で現れる。
 
p136 0.5p 金門矢倉 ・矢倉の番外編#15。
・▲4七銀型の矢倉戦で、後手が△6五歩と位を取ると現れる。
・2枚の金が門柱。
・60年以上前(1960年代?)に「将棋世界」で公募で名付けられたそうだ。
名称の認知度は低い
p137 0.5p 角矢倉 ・矢倉の番外編#16。
・筋違い角戦法で居飛車の作戦にしたときに現れる。
名称の認知度は低い
p137 0.5p 無責任矢倉 ・矢倉の番外編#17。
・左辺に矢倉城を作ったのに入城しないので「無責任」。
・急戦に対して、入城する方が危険な場合に現れる。
名称の認知度は低い


●流れ矢倉物語 =2p
・流れ矢倉(p133)は、矢倉中飛車や右四間飛車に対する受けの形。
・手損にならないよう、▲7七銀を決めない形が長らく主流だったが、△左美濃急戦の登場によって、5手目▲7七銀で飛先を早く伸ばす形が主流に。
・現在は、雁木模様で相手が急戦に来た時に、流れ矢倉にシフトするケースがある。


●〔講座〕手筋を学べ!矢倉攻略大作戦 =6p
金矢倉に対する攻め方講座。


●〔講座〕“堅さは正義”から"広さは正義"へ 右玉完全ガイド =6p
バランス重視の右玉は近年よく指されるようになっている。右玉の様々な形と、注意したい攻め、戦い方を解説する。
・角換わり右玉/ツノ銀型右玉/矢倉右玉/対振り右玉


●〔講座〕赤丸急上昇!中住まい玉の急所を知ろう =6p
中住まいのいろいろな形と、攻めの急所を解説。



●戦型別囲いランキング番外編 “KAKOI” NextGeneration 最新囲いエトセトラ
ここ1〜2年で指されるようになった囲いを簡単に紹介。
掲載p p数 囲いの名称 一例 ショートコメント その他
p160 0.3p エルモ囲い ・舟囲いより堅い。 p66に本記事
p160 0.3p いかだ囲い ・金銀の形が筏(いかだ)。
・対振り飛車の引き角戦法で現れた。
・飛に強い。▲2四歩△同歩▲同角に△2二飛が定番の対応だが、以下▲3三角成!△2八飛成…が成立する局面がある。
 
p161 0.3p 対振り金無双 ・対振り飛車の急戦で金無双が採用されることが出てきた。
cf.『AI時代の新手法!対振り飛車 金無双急戦』(2020)
 
p161 0.3p 離れ金無双 ・相振り飛車での金無双だが、金2枚が左にずれている。
・バランスが良く、▲8九飛型と相性が良い。特に角交換相振り飛車で登場する。
・一時は里見香奈が連採していた。
 
p162 0.3p 振り飛車ミレニアム ・玉が深く、角筋を避けており、右桂を攻めに使える。 p35に本記事
p176に特集記事
p162 0.3p 金立美濃 ・金無双の最小限の形。
・対抗形で使われるようになった。
・急戦ならこのまま戦い、持久戦なら変化させていく。
・右桂を攻めに使ったり、地下鉄飛車を狙うことも。
p33に本記事
p176に特集記事
p163 0.2p 振り飛車エルモ ・振り飛車側がエルモ囲いを採用。 p41に本記事
p176に特集記事
p163 0.3p 土居矢倉 ・6七金左型矢倉とも。 p114に本記事
p164 0.5p 角換わり羽生流右玉 ・△一手損角換わりvs▲早繰り銀で、後手の陣形として登場。
・羽生善治が近年連採している。
・右桂を攻めに使えて、桂を跳ねた後の▲3七玉がつかみどころがない。
・本書のサブタイトルに書かれているのに、本記事がない…
コラムあり
(p171)
p194に特集記事
p164 0.4p ▲7七金型雁木 ・通常の雁木から、相手の攻め(早繰り銀など)に合わせた受けの形。
・最初からこの形を目指すことはあまりない。
・従来は悪形とされていたが、桂が来ないなら好形という認識に変わってきた。
 
p165 0.3p 金冠 ・▲8七金型。
・矢倉から▲6八銀と引き、飛先交換をさせて▲8七金〜▲8六歩と組むケースが出てきた。
・相居飛車で上部に厚く、好形であると認識されつつある。
 



●ようこそ!“囲い”動物園
生き物の名前が付いた囲いを特集して紹介。動物のイラスト付き。
掲載p p数 囲いの名称 一例 ショートコメント その他
p166 0.5p アヒル囲い ・金銀がアヒルの足が踏ん張った形。
・大駒の打ち場所がない。
p128に本記事
p167 0.5p ヒラメ囲い ・金が地を這う形の美濃囲い。
・海底のヒラメに見立てている。
・香落ち上手で現れる。
 
p167 0.5p カタツムリ ・不定形。
・飛角金銀を自玉の近くに集めて戦うこと。
・最初から目指すことはなく、戦いながら駒が集まっていく。
 
p168 0.5p カニ囲い ・玉がカニの本体、2枚の金がハサミ。 p120に本記事
p168 0.5p 穴熊 ・玉が隅にこもる様子がアナグマ。
※本書には載っていないが、「雪隠囲い」(せっちん)とも。雪隠とは、昔のトイレのこと。雪隠が屋敷の隅にあったことから。
p30、p64、p89などに本記事
p169 0.5p 銀雲雀 ・対振り飛車の5筋位取りで、銀が5七銀→5六銀とスッと立った様子をヒバリに見立てて。  
p169 0.5p 雁木 ・「雁木」は、雁がナナメに飛んで飛ぶ様子が由来だそうな。 p84、p108、p120に本記事
p170 0.5p 銀象眼
金象眼
・銀2枚の隙間に玉が収まっているのが「銀象眼」。
・玉の下が金なら「金象眼」。
・「象眼」(ぞうがん)とは、金属や陶磁器に模様を刻んで、金銀宝玉を埋め込むこと。
・角落ち上手で現れる。
 
p170 0.5p カニ缶囲い ・カニ囲いから玉をさらに寄り、金でフタをすればカニ缶。  


●〔コラム〕駒落ち将棋の囲い 銀多伝&金多伝 =0.5p
二枚落ちの下手の構え。平手でもたまにこの形になると、棋譜中継のコメントに書かれる。

銀多伝(ぎんたでん)〔左図〕、金多伝(きんたでん)〔右図〕。



●プロ棋士50人に聞きました 棋士あるあるアンケート! =4p
棋士に聞いたアンケートを、各3位まで発表。少数意見もコメントあり。囲いに関係ない質問もある。
「○○(囲いの名前)といったら誰?」がいいですね。

(順位ありの設問) 最初に覚えた囲いは?/注目している戦法は?/注目している囲いは?/今後、挑戦してみたい戦法は?/好きな駒は?
(他の設問) 影響を受けた棋士は?/古今東西、誰と指してみたい?/○○といったら誰?(矢倉/美濃/穴熊/中原囲い/銀冠/エルモ囲い/雁木/居玉/入玉)

コメントにあった「無敵囲い」〔下図〕。「最強囲い」とも。実際は無敵でもないが、初心者には超強く見えるらしい。



●新時代の囲いを実戦でトライ!振り飛車はもっと自由に指すぞ!「振りミレ」「金立」「振りエルモ」 =6p
振り飛車の二大囲い「美濃囲い」と「穴熊」以外に、ここ2年くらい(2019年〜2020年頃)に出てきた振り飛車の新しい囲いにスポットを当てる。


●新時代の囲いを実戦でトライ!駒組みシンプルで、でも堅い「エルモ囲い」で振り飛車撃破 =6p
エルモ囲い急戦の講座。「将棋世界」2020年6月号の講座を再構成したもの。


新時代の囲いを実戦でトライ!もうB級とは言わせない!「新型雁木」で行こう =6p
新型雁木の講座。「将棋世界」2017年11月号の講座を再構成したもの。


●新時代の囲いを実戦でトライ!一手損角換わりの隠し玉 大胆不敵「羽生流右玉」 =6p
羽生流右玉の講座。「将棋世界」2020年8月号の講座を再構成したもの。



●戦型別囲いランキング番外編 夢とロマンにあふれる囲い
掲載p p数 囲いの名称 一例 ショートコメント その他
p200 0.4p 空中楼閣 ・「空中要塞」「天空の城」とも。
・金銀のスクラムで、玉を四段目まで押し上げていく。
・最初から狙うのは難しく、流れの中で盛り上げていくことになる。

・「灘流四段玉」「灘流空中楼閣」というのもある。(下図)
 
p201 0.3p あずまや囲い ・高田流変幻位取りの一局面。cf.『高田流 新感覚振り飛車破り
・居玉と2枚の居金、▲5七銀と▲7六銀が独特の構え。
・壊れかけたような屋根が付いているというのが由来。
(※ただし、この由来なら「あばらや」の方がマッチしているかも…)
名称の認知度は低い
p201 0.3p チョコレート囲い ・駒の塊が板チョコのように見えるのが由来。
・特に決まった形があるわけではなさそう。
・おいしくとろけるとかいう意味でもない。

・〔下図〕の形もチョコレート囲いの一例。「屋根裏矢倉」「王冠」とも。
名称の認知度は低い
p202 0.2p カタツムリ ・玉の周りに飛角金銀が密集している。
・決まった形はない。
p167に別記事あり
p202 0.2p 丸山の成香冠 ・1991年6月に、丸山忠久の実戦で実現した囲い。
・敵陣に作った成香を自陣まで引き付け、玉の冠とした。
 
p203 0.3p 康光の仁王立ち ・2012年の王将戦第1局で、佐藤康光が指した玉型。
・玉自らで5筋の中飛車を止めている。
 
p203 0.2p 無敵囲い ・初心者同士なら無敵。 p172に記載あり
p204 0.3p 居玉 ・場合によっては、居玉が予想以上の堅さを発揮することがある。  


●ミマグマ&アナグマン 穴熊道を語る =8p
アマの穴熊党レジェンド・美馬和夫と遠藤正樹の穴熊対談。

・両名とも棋書を書いている。
2018-09 奇襲の王様 筋違い角のすべて,武市三郎,美馬和夫,マイナビ出版
2007-10 とっておきの相穴熊,広瀬章人,遠藤正樹,MYCOM
1995-09 秘伝 穴熊王,美馬和夫,週刊将棋編,MYCOM

・穴熊を使い始めたキッカケ
・穴熊を指し続けた理由
・穴熊封じに対してどう指すか
・穴熊の長所と短所
−「近代将棋」誌の「アマ天狗参上」で美馬が作った穴熊が
 これ↓。

・穴熊ならではの格言
・穴熊の理想形
・穴熊の珍形
−遠藤は、振り飛車穴熊に囲った後、大熱戦の末、玉が脱出して右側に居飛車穴熊を再構築したことがある。
・AIは穴熊の評価が低いのはなぜか
・厳密にいえば穴熊は苦しい囲いなのか
・二人の穴熊の採用率
・穴熊を指してきて実生活で得したこと
・「穴熊」に替わる名称
・穴熊あるある
・少年少女に将棋を教える時に、穴熊を教えるならどのくらいのレベルからか
・穴熊に向いている性格・棋風
・穴熊の最大の魅力は逆転での勝利
・穴熊をマスターするには実戦がいちばん大事



●〔巻末ミニ特集〕変化無限、だから将棋は面白い!ヘンな囲い事典 =5p
プロ棋士同士が全力で戦った結果現れた、トンデモ囲いを紹介。
掲載p p数 囲いの名称 一例 ショートコメント その他
p215 0.3p 金のプレミアム ・金4枚を囲いに打ち付けた例を6つ紹介。
・「金の延べ棒」、「金の絨毯」、「金の塔」など。
狙ってできる囲いではない
p216 0.2p 飛車角囲い ・飛と角だけで囲いになってしまった例を2つ紹介。
・「飛車角美濃」、「飛車角銀冠」など。
・もちろん守りには不向き。
狙ってできる囲いではない
p216 0.2p 4連銀 ・銀4枚を囲いに打ち付けた例を4つ紹介。
・「シルバーリング」、「ウォール○○」など。
狙ってできる囲いではない
p216 0.1p 4連桂 ・桂4枚を囲いに打ち付けた例を2つ紹介。 狙ってできる囲いではない
p217 0.1p 4連香 ・香4枚を囲いに打ち付けた例を2つ紹介 狙ってできる囲いではない



〔総評〕
初心者のとき、将棋には「囲い」というものがあって、それぞれにいろいろな個性があることに感動した時期がある。そのころは、振り飛車で何も考えずに「本美濃」→「高美濃」→「銀冠」と囲えれば、それだけで満足だった(笑)。また、少し腕前が上がると、オリジナルの囲い(または囲い方)を考え始めたりした。「それは定跡にない」とか「愚形」とか言われたりもしたが、現在ではいろんな囲い方や構えが「それも一局」と認められるようになっており、「囲いマニア」(?)にとってはいい時代である。

ところで、メジャーな囲いや、囲い崩しを取り上げた本は、これまでにいくつもあるが、「囲い」そのものに焦点を当てた本はそれほど多くない。わたしの知る限りでは、『序盤戦!! 囲いと攻めの形』(1990)くらいで、囲いの数は亜種も含めて174種と多かったものの、全体のページ数は1/3ほどで、どちらかといえば、序盤の攻め形を作るまでの駒組みをテーマとした本だった。

本書は、ほぼ全てが「囲い」をテーマにしており、現時点で最強の「囲いブックス」といっていいだろう。掲載された囲いは、本レビューで図面化したものは129種になるが、相当古い文献・棋譜から最新のものまでを網羅しており、全ての囲いが載っているといえる。少なくとも、「あの囲いが載ってない」とは思わなかった。

今後10年、20年と時間が経過すれば、本書に載っていない囲いも出てくるかもしれない。それでも資料的価値は十分にあるだろう。また、本書の囲いをいろいろ眺めて、オリジナルの囲いを考えてみるのも楽しいに違いない。かつてのわたしのように。

(2021Jan29)


※誤字・誤植等(初版第1刷で確認):
p35 ×「振り飛車党の時期エース?」 ○「振り飛車党の次期エース?」
p38 ×「13位で紹介する四枚美濃…」 ○「15位で紹介する四枚美濃…」
p100中段 ×「居飛車穴熊崩し方を見ていこう」 ○「居飛車穴熊崩し方を見ていこう」
p209中段 ×「穴熊最強の構えはビック4…」 ○「穴熊最強の構えはビッグ4…」



【関連書籍】

[ジャンル] 仕掛け・囲い・序盤の手筋
[シリーズ] 
[著者] 将棋世界編集部
[発行年] 2020年

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