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将棋の教科書 現代振り飛車 | [総合評価] B 難易度:★★★ 〜★★★☆ 図面:見開き3枚 内容:(質)A(量)B レイアウト:A 解説:A 読みやすさ: 中級〜上級向き |
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【著 者】 鈴木大介 | ||||
【出版社】 日本将棋連盟/発行 マイナビ/販売 | ||||
発行:2013年3月 | ISBN:978-4-8399-4638-8 | |||
定価:1,575円(5%税込) | 224ページ/19cm |
【本の内容】 | ||||||||||||
・【コラム】(1)対局の必需品<扇子>
(2)我が家の愛犬 (3)揮毫する言葉 |
【レビュー】 |
角交換系振り飛車の戦い方を解説した本。 角道を止める「ノーマル振飛車」は、振飛車の基本ではあるが、最近あまり人気がない。やはり、居飛車穴熊に対して勝ちにくいのが原因である。そこで、居飛車穴熊に組みにくくさせるため、いつでも角交換がある振飛車を採用するのが主流になっていて、「角交換OKの振飛車」を総称して“現代振飛車”と呼ぶ。 現代振飛車党は、先手番のとき、2手目△3四歩なら石田流、2手目△8四歩なら先手中飛車が主軸となる。後手番ではゴキゲン中飛車が基本だが、最近は2手目△3二飛や角交換四間飛車なども選択肢に挙がっている。 本書は、そういった現代振飛車の中でも、比較的分かりやすくて主導権をとりやすい3つの戦法(石田流、先手中飛車、角交換四間飛車)を解説した本である。 「将棋の教科書」シリーズ共通の特徴として、〔右図〕のような縦串・横串の構造がある。(〔右図〕は同シリーズ『将棋の教科書 振り飛車急戦』(鈴木大介,2012.09)のものだが、基本的な構造は同じ) 通常の本では、「戦法Aを序盤から終盤まで解説してから、戦法Bを序盤から終盤まで解説する」という構造を採る。 一方、本書では戦法をちゃんぽんにして、序盤・中盤・終盤の3つに章を分けている。序・中・終盤のそれぞれのステージでは考え方が似ているので、戦法で分けるよりもステージで分けた方が理解しやすいというわけだ。 本書の内容は、チャート化すると〔下図〕のようになる。。序・中・終盤で章が違うので、左端に色帯を付けてみた。なお、終盤編の指し手は一例であり、定跡ではないので、網掛けを施してある。 内容を以下に補足しておく。 〔石田流三間飛車〕 ・升田式石田流、対△棒金、対△居飛穴の3つ。 ・対△居飛穴では、角交換挑戦で戦う。他書では▲7七角〜▲7八金〜▲6五歩と角交換挑戦するパターンが多いが、本書では▲8八角のまま▲7八金〜▲6五歩としている。これはタイミングの違いもあり、本書は後手が一目散に穴熊に潜ったため成立するパターン。 『最新戦法 マル秘定跡ファイル』(村田顕弘,マイナビ,2012.02) △3二金〜△5三銀と警戒していたので、▲7七角〜▲7八金〜▲6五歩と角交換挑戦した。 『石田流の基本 【本組みと7七角型】』(戸辺誠,浅川書房,2012.02) △8四飛と警戒してから居飛穴に組んでいたので、▲7七角〜▲7八金〜▲6五歩だった 『久保の石田流』(久保利明,日本将棋連盟発行,MYCOM販売,2011.03)も同じ。 〔先手中飛車〕 ・角交換型(△6四銀で5筋歩交換は阻止)、5筋歩交換型(角交換はしない)の2つ。 ・プロ最前線の局面まで扱っている。 ・p68の▲6六歩が鈴木の研究手。過去の定跡書(下記参照)では、多少の手順前後はあるが、すべて▲1五歩だった。 『菅井ノート 先手編』(菅井竜也,マイナビ,2013.01)第6章p236 『ライバルに勝つ最新定跡』(村山慈明,MYCOM,2010.09)第3章 『遠山流中飛車持久戦ガイド』(遠山雄亮,MYCOM,2009.11)第2章 〔角交換振り飛車〕 ・△角交換四間飛車で、▲2五歩と突き越してきた場合の2筋逆襲と、▲2六歩保留の場合の△3四銀型の2つ。 ・後手番の戦法なので、「便宜上先後逆」の表示になっている。(角交換四間側が手前) 〔終盤戦〕 ・第3章の終盤戦では、居飛穴攻略の例を2つ解説している。 ・石田流や▲中飛車の囲いは平べったい片美濃(or本美濃)であることが多いので、ノーマル振飛車の居飛穴攻略(高美濃や銀冠で戦うことが多い)とは少し違ってくる。 ・プロの実戦をベースにしているので難しい点もあるが、ポイントとなる考え方をマスターしよう。 「大駒を切ってでも金銀を剥がす」 「王手のかかる形をできるだけキープする」 「玉頭の勢力争いに負けない」 「駒損しても手番を握る」 など シリーズの過去3冊と比べ、現在プロでも盛んに指されている将棋を扱っており、全体的な難易度もやや高め。また、角交換OKの振飛車は、序盤に難所があることも多いので、中級以上の方にオススメ。終盤編の大駒を切って居飛穴に絡みつく指し方は参考になるので、ちょっと難しいと思っても繰り返し読み込もう。(2013Jun25) |