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将棋の教科書 振り飛車急戦 | [総合評価] B 難易度:★★ 〜★★★ 図面:見開き3枚 内容:(質)A(量)B レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:A 初級〜中級向き |
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【著 者】 鈴木大介 | ||||
【出版社】 日本将棋連盟/発行 マイナビ/販売 | ||||
発行:2012年9月 | ISBN:978-4-8399-4454-4 | |||
定価:1,575円(5%税込) | 224ページ/19cm |
【本の内容】 | ||||||||||||
・【コラム】(1)将棋との出会い
(2)私の好きな手 (3)振り飛車の魅力 |
【レビュー】 |
四間飛車と三間飛車の対急戦の戦い方を解説した本。 現在のプロ界では、角道オープン系振飛車が大流行中である。ただ、振飛車の基本はやはり、角道クローズのノーマル振飛車。その中でも、堅い「本美濃囲い(金銀3枚)」で戦う四間飛車と三間飛車がノーマル振飛車の王道である。角道オープン系を指すにしても、まずは基本としてノーマル振飛車を覚えた方がよいだろう。 本書は、級位者向けに、四間飛車と三間飛車での勝ち方を指南する本である。 本書で特徴的なのは、〔右図〕のような縦串・横串の構造。 通常の本では、「四間飛車を序盤から終盤まで解説してから、三間飛車を序盤から終盤まで解説する」という構造を採る。 一方、本書では四間飛車・三間飛車をちゃんぽんにして、序盤・中盤・終盤の3つに章を分けている。序・中・終盤のそれぞれのステージでは考え方が似ているので、戦法で分けるよりもステージで分けた方が理解しやすいというわけだ。 本書の内容は、チャート化すると〔下図〕のようになる。序・中・終盤で章が違うので、左端に色帯を付けてみた。 内容を以下に補足しておく。 ・四間の棒銀対策は、一般的な▲5九角〜▲4八角から左金を出るのではなく、▲6五歩ポンで美濃囲いを残す指し方。 ・三間の超急戦対策は、先後どちらでも使える変化を推奨。 ・四間・三間ともに、なるべく美濃囲いを崩さない指し方を推奨。 ・押さえ込むより、積極的な指し方を推奨。 ・美濃囲いに対する△3六桂の厳しさを知るべし。 ・▲7七桂〜▲6五桂の「天使の跳躍」に美しさを感じよ。 本書で重視されているのは、振飛車の考え方や指し方のコツ。定跡を暗記するよりは、「相手が○○と来たら△△と対応する」といった公式や、相手が攻めてきそうなときの準備、中終盤での攻めか受けかの判断などが、級位者向けに分かりやすく書かれている。イメージとしては、創元社の本のような感じ。 現在ノーマル振飛車を指して、こういう急戦で来てくれる相手はどれくらいいるの?…という疑問はあるものの、ノーマル振飛車の入門用としてはまずまずの一冊だ。 ただ、似たコンセプトの本はいくつか出ている。本書のライバルとなるのは、以下のような本だろうか。 2003-01 ホントに勝てる振り飛車,先崎学,河出書房新社 2002-12 ホントに勝てる四間飛車,先崎学,河出書房新社 1980-10 振飛車戦法,桐山清澄,創元社 うーん、本書は特に新しい変化が出ているわけではないし、コストパフォーマンスではちょっと本書の方が不利かもしれない。 ※各見開きの左下に、鈴木大介の顔を描いたイラストがある。表情が4種類くらいあるようで、パラパラ漫画になっている…かと思ったが、別になってなかったorz |