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鷺宮定跡 〜歴史と最先端 |
[総合評価] B 難易度:★★★★ (第4章は★★★★☆) 図面:見開き4枚 内容:(質)A(量)A レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:B 上級〜有段者向き |
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【著 者】 青野照市 | ||||
【出版社】 毎日コミュニケーションズ | ||||
発行:2005年3月 | ISBN:4-8399-1698-5 | |||
定価:1,449円(5%税込) | 224ページ/19cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||
◆内容紹介(MYCOMホームページより) |
【レビュー】 |
△四間飛車vs▲居飛車急戦の定跡書。特に▲鷺宮定跡と▲左4六銀戦法を詳しく解説。 青野はこの戦型の第一人者であり、これまでにも『必勝!鷺宮定跡』(1986)『新・鷺宮定跡』(1997)『青野照市のノックアウト四間飛車』(2002)など、詳しい解説書をいくつも出している。 本書はその集大成、総集編というべき一冊。第1章〜第3章では上記3冊の内容をまとめてある。第4章は未解決の局面に対する研究で、少し難度が高め。研究家の人は、以下のように比較検討すべき本がたくさんある。 『振り飛車ワールド第二巻』/『振り飛車ワールド第三巻』(指定局面戦) 『四間飛車道場第三巻』/『四間飛車道場第六巻』 『四間飛車の急所(2)』/『四間飛車の急所(3)』 『四間飛車破り【急戦編】』など。 30年以上前の山田定跡から現在の鷺宮定跡・左4六銀戦法までの流れが書かれているので、まさに「歴史と最先端」の名がピッタリ。青野があとがきで書いているとおり、かなり「前後のつながりが良い本」になっている。ただし、各節で最初に本筋の手順を書いたあと、いきなり枝葉の変化の解説が続くので、今の局面がどこなのか混乱しやすい箇所もあった。また、前記3冊では▲四間飛車の場合も書かれていたが、本書では△四間飛車のみ。 第1章〜第3章は本筋付近の変化に絞られているので、『必勝!〜』や『新・〜』を読んだあとだとかなり物足りなく感じた。第3章までの内容について深い研究を知りたい人は、なんとしても前記2冊を読むべし。全体像を捉えたい人、歴史をなぞって頭をスッキリさせたい人、最新の課題を知りたい人は本書をどうぞ。(2005Dec29) ※ところで、この戦型では居飛車側が斜めのライン(/の向き)に角を打つことが多いが、どこに打つか迷いやすいもの。8八か、7七か、6六か…。本書では解説中に角の打ち場所について触れてあるのが親切で面白いと思った。 以下メモ。 ▲7七角(目標にならないときは、8八より玉が広い)(51p) ▲6六(角)なら後手から取られても▲同歩が好形ゆえ、…(142p) ここ(▲6六角)へ打つ弱点は、…△6四馬と引かれることである。この場合は▲7五角とぶつける手が△同馬と取られたときに△7六香のキズができるため、…(181p) ▲6六角(6四歩がない場合はここ)(198p) ※一般的には、鷺宮定跡は「△3二銀型に対し、▲3八飛と寄る攻撃法」と認知されていると思うが、青野本の場合は「△4三銀型に対する▲4六銀(左)」もセットで“広義の鷺宮定跡”となっている。 |