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■四間飛車破り【急戦編】

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四間飛車破り【急戦編】
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最強将棋21
四間飛車破り【急戦編】
[総合評価] S

難易度:★★★★☆

図面:見開き4〜5枚
内容:(質)S(量)S
レイアウト:A
解説:S
読みやすさ:A
有段〜高段者向き

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【著 者】 渡辺明
【出版社】 浅川書房
発行:2005年4月 ISBN:4-86137-009-4
定価:1,470円(5%税込) 270ページ/19cm


【本の内容】
第1章 4五歩早仕掛け ・渡辺明の結論
(1)素直に△5四歩 (2)角で取る後手の狙い (3)本筋の飛車切り
(4)先に△7四歩 (5)最強の玉頭銀 (6)玉頭銀を狙う (7)角頭を狙う
(8)手損戦法 (9)6八金型へ (10)最強の応手 (11)先手から角交換
(12)本線へ (13)銀引きはどうか (14)角で取ると
108p
第2章 4六銀左急戦 ・渡辺明の結論
(15)基本の手順 (16)2筋を突き捨てる (17)主流の6九金型
(18)やはり2筋を突き捨て (19)△3六歩の戦い (20)△3七歩の戦い
(21)最前線へ (22)最新形とその結論 (23)準急戦
(24)▲3七銀上はどうか (25)駒組みはどうか
72p
第3章 棒銀戦法 ・渡辺明の結論
(26)棒銀戦法 (27)△4五銀の戦い (28)△3三桂の戦い
(29)△4四歩の戦い (30)△4二飛の戦い (31)加藤流の戦い
(32)最新の棒銀対策 (33)最善の駒組み (34)6五歩型
(35)最新の▲3五歩 (36)駒組みはどうか (37)先に△4二角
80p

◆内容紹介(表紙見返し「著者からひとこと」より)
四間飛車に対しては急戦と居飛車穴熊がよく指されていますが、両方とも指せるようになれば、作戦の幅は大きく拡がり、勝率もグンとアップするはずです。振り飛車に対して急戦を挑めば安全勝ちは期待できませんので、本書では終盤の攻防にも踏み込んで深く解説しました。アマチュアの皆さんは、これでバッチリだと思います。


【レビュー】
△四間飛車vs▲急戦の定跡書。基本的には△4三銀型に対する居飛車急戦。

対四間飛車の急戦については数多くの棋書が出ている。最近だけでも、渡辺の師匠・所司六段の「四間飛車道場シリーズ」(急戦編は2001〜02)や、同じ最強将棋21シリーズの「四間飛車の急所シリーズ」(同じく2004〜2005)など、関係の深いところから出ているので、本書は非常に出しづらかったと思う。それでも出された本書は、かなり完成度の高いものとなっている。これがデビュー作とは思えないくらいだ。

まえがきにある「(振飛車側の)序盤のぎこちない動き」とは、早い△4三銀のこと。対急戦に強いのは△3二銀型である。それでも四間側が△4三銀と上がるのは、居飛穴を意識してのことだ。ならば急戦で破りましょうというのが本書の意図。△4三銀型に有効な3つの急戦策を、非常に詳しく解説している。

基本的に解説は1頁単位で区切られる(場合によっては2〜3頁)。頁の内容により、難度が[基本][上級][プロ級]と3段階で表示されているのが秀逸。

 [基本]:数多くの定跡書にも書かれている変化で、まさに“基本”。とはいえ、[基本]を全てマスターできているならアマ四段は確実。
 [上級]:古い定跡書には載っていないものの、ここ10年くらいで出てきた変化で、すでにプロ的には常識化しているもの。
 [プロ級]:最新の実戦で現れたものや、難解な変化を含んでいて研究課題となっているもの。

[プロ級]の頁では、ときには最終盤まで徹底的に突っ込んで渡辺の研究がビッシリ書かれている。また、渡辺自身や他のプロの実戦譜も豊富に紹介。『振り飛車ワールド』の指定局面戦の内容も取り入れている。なお、渡辺明ブログ2005.3.9の内容(渡辺vs千葉戦)が文章中に出てきたのにはビックリした(p91)。わたしが本書を手にしたのが4月下旬なので、本当に締め切りのギリギリまで、最新の内容について執筆されていたことは驚きだ。それでいて、誤字脱字がかなり少ないことには感服(2〜3ヶ所あった)。

オビに「抜群の歯切れよさ!」とあるように、「先手よし」「先手勝ち」などの結論は非常に明快。ただし、「プロ的な研究と大局観のもとで、先手良し」というレベルのものも多いので、その辺は自己判断で。研究熱心な人は、本書の“居飛車党感覚”と「四間飛車の急所シリーズ」の“振飛車党感覚”を比較してみると、より相乗効果が得られるだろう。

正直、それほど期待していなかっただけに(渡辺先生ゴメンナサイ)、すごくお得な買い物をした気分である。

なお、ほとんどの頁はちゃんとした解説だが、「おもしろ部」があったので、引用しておく。(170p)

『私の師匠が書いた定跡書を直前に読んで指定局面戦に臨んだ。「△8八銀には…(略)…で先手勝ち」と書いてある。その通り指したところ、△5一金引と本に書いてない手を指されて困った。なんでこんな決め手が書いていないのかと思い、終局後に「この手は載ってないですよ」と問い詰めたものの、上手くかわされてしまった。』

ちなみに渡辺は、竜王を奪取したときも「雑誌に好手と書いてあったのでこの手の善悪に疑いを持たなかった」と述べ、感想戦に参加した藤井九段をのけぞらせている(笑)。詳しくは『第十七期竜王決定七番勝負』の観戦記を参照。(2005May08)



【関連書籍】
 『
四間飛車破り 【居飛車穴熊編】
[ジャンル] 
四間飛車vs急戦
[シリーズ] 
最強将棋21
[著者] 
渡辺明
[発行年] 
2005年

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