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新・鷺宮定跡 対振り飛車急戦法の最新版 |
[総合評価] A 難易度:★★★★☆ 図面:見開き4〜5枚 内容:(質)A(量)A レイアウト:B 解説:A 読みやすさ:B 有段者向き |
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【著 者】 青野照市 | ||||
【出版社】 日本将棋連盟 | ||||
発行:1997年3月 | ISBN:4-8197-0207-6 | |||
定価:2,200円 | 232ページ/22cm/H.C. |
【本の内容】 | ||||||||||||||||||||||||
・新鷺宮定跡次の一手=10問 |
【レビュー】 |
四間飛車vs居飛車急戦の定跡書。特に鷺宮定跡・左4六銀戦法を詳しく解説。 難攻不落とされていた「四間飛車▲7八銀・5六歩・4六歩型」は、前著『必勝!鷺宮定跡』(1986)によって攻略された。ここから四間飛車側の対急戦感覚は大きく変化し、「△1二香>△6四歩」の考え方が生まれ、従来の鷺宮定跡では仕掛けられてない形が増えてきた。それに対する解答が、本書『新・鷺宮定跡』である。 旧鷺宮定跡の考え方の基礎は、「▲6八金直と待機し、△5四歩・6四歩型を誘って仕掛ける」だった。しかし新鷺宮定跡では、「▲6九金型のまま仕掛け、四間側の待ち方を限定する」と変化している。 本書の内容は、大きく分けて以下の3つ。 (1)[鷺宮定跡] △3二銀型の攻略。 対△5四歩・△6四歩型の「旧鷺宮定跡」の復習と、△1二香型(【第1図】)に対する鷺宮定跡の研究。 (2)[左4六銀戦法・総交換決戦型] 【第2図】から ▲4六銀 △5四歩 ▲3五歩 △3二飛 ▲3四歩 △同銀 ▲2四歩 △同歩 ▲3八飛 で【第3図】。さらに △4五歩 ▲3三角成 △同飛 ▲8八角 以下、飛角銀の総交換から最終盤の詰みに至るまでを詳細に研究。 (3)[左4六銀戦法・△3六歩から青野新手▲3九飛] 【第2図】〜【第3図】から、 △3六歩 ▲同飛 △4五歩 ▲3三角成 △同飛 ▲5七銀引 △3五歩 ▲3九飛(青野新手) で【第4図】。この▲3九飛の発見により、▲6九金型急戦が有力な戦型になった。 オビや本文に曰く、「この“新・鷺宮定跡”とも言うべき▲3九飛の新手を実戦で最初に試したのは私だが、最初の“鷺宮定跡”も▲3九飛の新手でデビューしたのは、偶然とはいえ面白い一致である。」とあるが、鷺宮定跡の▲3九飛(【第5図】)は、「遠く9九香に紐をつけたもの」であり、新鷺宮定跡の▲3九飛(【第4図】)は、「△2五歩からと金を作られて飛に当たるのを未然に防いだもの」なので、内容的には全く異なる。ただ、一見働きの悪そうな3九飛の形に新しい価値を見出したのは立派な功績だと思う。 内容的には前著『必勝!鷺宮定跡』と遜色なく、素晴らしい。前著よりも終盤に踏み込んだ変化が多くなり、また内容も発展的になっているのでやや難度が上がっているが、解説はしっかりしているので分かりやすい。 |