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■将棋・ひと目の攻防

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将棋・ひと目の攻防(マイコミ将棋文庫SP)
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マイコミ将棋文庫SP
将棋・ひと目の攻防
[総合評価] A

難易度:★★★☆
  〜★★★★☆

見開き1問
内容:(質)A(量)A
レイアウト:A
解答の裏透け:B
解説:A-
有段向き

【編】 週刊将棋
【出版社】 毎日コミュニケーションズ
発行:2011年1月 ISBN:978-4-8399-3756-0
定価:1,050円(5%税込) 384ページ/16cm


【本の内容】
序章 問題の解き方=例題4問
第1章 級位者問題 39問(初級/上級位)
第2章 初段問題  40問
第3章 二段問題  41問
第4章 三段問題  60問

◆内容紹介
将棋の勝敗は、どちらが相手の玉を速く詰ますか、速度の勝負で決まります。そのような一手を争うスリリングな終盤こそ将棋の醍醐味ですが、その終盤で「一手負け」の局面を「一手勝ち」に逆転させる劇的な妙手が出現することがあります。それが「攻防手」と呼ばれるものです。本書では
週刊将棋掲載の「段・級位認定次の一手」から、そんな「詰めろ逃れの詰めろ」の妙手、妙手順を180問収録
解くにあたって自玉の詰み筋や、相手の応手などを読むことで、自然と終盤の力がアップするようになっています。
また、解説は「先手玉の詰み筋」、「正解に対する応手」、「正解以外では」の3パターンに分けて表記することで、より分かりやすくなっています。棋力に関わらず、逆転勝ちの快感を味わいながら、棋力アップにも是非役立ててください。


【レビュー】
「詰めろ逃れの詰めろ」に特化した次の一手問題集。

自玉に詰めろがかかったら、通常は受けなくてはならない。しかし敵の攻め駒が多い場合、いずれ受けなしになってしまう。普通は先に詰めろをかけた側が勝ちになるものだが、「攻め」と「受け」を同時にこなす攻防手が指せれば、勝敗は逆転する。

この「詰めろ逃れの詰めろ」は将棋の終盤の醍醐味であり、一流プロの対局では「詰めろ逃れの詰めろ」が何手も続くことすらある。次の一手問題でもたびたび登場するが、このテーマに絞った問題集というのはこれまであまりなかったと思う。(ただし高段向けの問題集はたいてい攻防の一手を問う問題である)

というわけで、本書は「詰めろ逃れの詰めろ」に特化しているが、例外もたまにある。たとえば、

 第14問 王手で敵の攻め駒を抜く
 第103問 詰めろ逃れで敵の攻めを切らす
 第108問 敵玉は受けのない二手スキ、相手が駒を渡さずに詰めろをかけることができない状態

などがある。

本書に出てくる「詰めろ逃れの詰めろ」の特徴は、以下の通り。(p6より)

●問題の特徴
(1) 相手玉に即詰みはない
(2) 自玉には詰めろがかかっている
(3) 受け一方の手では勝てない
⇒自玉の詰めろを外しながら、敵玉に迫る攻防の一着(手順)が必要

●頻出パターン4+α
(1) 自玉への利きを増やす
(2) 自玉に迫る相手の駒を取る
(3) 相手の持駒を使わせる
(4) 自玉の王手を逆王手にする → 角の陰に飛・香を設置してみよう。
(5) 敵の討ちたいところに打って詰み筋を消す
(6) 打歩詰めで凌ぐ → 二段コース以上ではときどき出てくる。大駒の不成も考えてみよう。

ほとんどの問題の出典(初出)は、1980年代後半の週刊将棋から。週刊将棋の創刊(1984年)からおよそ5年以内の問題が収録されている。ということは、その後20年分の問題がまだ残っているので、この本の評判しだいでは続編が出るかも?

問題部と解答部の構成は、次のようになっている。

問題部:
  (1)出題時のクラス
  (2)出題時の正解率
  (3)ヒント(50〜60字)
  (4)掲載号
  (5)選択肢はなし

解答部:
  (1)先手玉の詰み筋
  (2)正解に対する応手(数パターン)
  (3)正解以外では(1〜数パターン)

このうち、「先手玉の詰み筋」はいつもの週刊将棋系・次の一手問題集にはほとんど載っておらず、良い改良である。ただし、詰み筋の変化や、考え方についてはほとんど載っていない。この点は少し残念。

当時の出題時に選択肢やヒントがどうなっていたかは知らないが※1、現在と同じだとすると、

初歩クラス・上級位クラス・初段クラスは、掲載時よりも難易度がかなり上がっている
 ∵週刊将棋掲載時には選択肢(三択)が示されているが、本書では選択肢はなく、ヒントのみのため。

二段クラス・三段クラスは、掲載時よりも難易度はやや下がっている
 ∵週刊将棋掲載時には1行ヒント(10文字程度)だけだが、本書ではヒントが大幅増量しているため。

∴全体として、難易度はほぼ「二段クラス〜三段クラス」のレベルに圧縮されている


参考までに、各問のクラス・正解率を一覧にしてみた。○/×は、わたしの正解/不正解である。なお、初級・上級位・初段の問題は掲載時には三択だった(と思われる)ので、実際の難易度とは必ずしも一致しない。

解いてみた結果

最後のほうは難問ぞろいで、あまり正解できなかった…orz

第35問は上級位クラスでありながら、21手先まで(しかも一直線ではない)読む必要があり、三択なしでは相当難しいと思う。次の第36問は、第35問と同じ正解率なのに「ひと目」(ホントに一瞬!)だった。フシギ。

決まり手の駒また、決まり手(次の一手)にどの駒が使われたかをグラフにしてみた。角がとても多いことが分かるだろう。角は逆転に必要な駒なのだ。

実は、「詰めろ逃れの詰めろ」の問題を解くことには、「逆転勝ちを狙う」という表向きの効果とは別に、重要な「良い副作用」がある。それは、自玉の詰み筋をしっかり読むこと。それにより、普通は詰める側の問題としては出題されないような実戦的な詰み筋を読む練習になる。また、自玉・敵玉ともに「詰めろ」への感度が増す。さらに、詰めろを効果的に凌ぐ練習にもなっている。

問題数が180問と多めで、本体価格も安く、満足できたので評価はAとしているが、これは「実戦・次の一手問題集として良かった」という意味。これまでの「ひと目シリーズ」※2がちょうど良かったという人は注意が必要だ。難易度のケタが違っているし、実戦図の終盤問題なので、「覚えて役に立ちやすい手筋」はほとんどない。もちろん、「詰めろ逃れの詰めろ」特有の筋や、「ここが怪しい」という感覚は身に付くが、結局はほぼ純粋に「読みの力」が必要になってくる。

この本を「ひと目シリーズ」として出版してよかったのだろうか。(2011Jan28)

※1 ^ ご存知の方は棋書掲示板へお知らせいただけると助かります。m(_ _)m
※2 ^ これまでのひと目シリーズは次の5冊。
 『
将棋・ひと目の手筋』(2006.08) 当HPでの難易度は★2.0〜3.0。
 『
将棋・ひと目の定跡』(2007.07)      〃     ★1.5〜2.5。
 『
将棋・ひと目の端攻め』(2008.01)     〃     ★2.0〜3.0。
 『
将棋・ひと目の寄せ』(2008.07)      〃     ★1.5〜3.0。
 『
将棋・ひと目のさばき』(2010.01)     〃     ★1.5〜2.5。

※それにしても、「絶対詰まない」を「Z(ゼット)」もしくは「ゼ」とまで略す将棋界で、「詰めろ逃れの詰めろ」の略語がないのはなぜだろう。あるのかな?「詰めろ」を「ろ」と略すのは聞いたことがあるのだが。

※第106問と第107問は掲載順を間違えたっぽい。ここだけ正解率順になっていない。



【関連書籍】

[ジャンル] 
次の一手問題集
[シリーズ] 
マイコミ将棋文庫SP
[著者] 
週刊将棋
[発行年] 
2011年

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