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■将棋「初段になれるかな」会議

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将棋「初段になれるかな」会議
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扶桑社新書
将棋「初段になれるかな」会議
[総合評価] A

難易度:★★☆

図面:見開き2枚くらい
内容:(質)A(量)B
レイアウト:A
解説:A
読みやすさ:A
中級向き

【著 者】 高野秀行 岡部敬史 さくらはな。
【出版社】 扶桑社
発行:2018年12月 ISBN:978-4-594-08126-3
定価:994円(8%税込) 175ページ/18cm


【本の内容】
第1章 常に「と金」を考えよ
〜級位者が覚えるべき10の格言〜
角の利きは3万回確認! /初心者には居飛車よりも振り飛車/戦型は、ひとつ覚えればいい?/「銀冠」がなぜ堅いか説明できますか?/序盤は飛車より角が役立つ?/級位者が覚えるべき10の格言 30p
第2章 自信のない「詰み」より「詰めろ」
〜覚えておきたい詰みの形〜
初段を目指す詰将棋の取り組み方/「頭金」と「腹金」で詰ませるイメージを持つ/「一手詰」は「三手取り」/「駒を取って詰ませる」と「一間竜」/「退路封鎖」は「捨て駒ブロック」/「あの自分の駒がいなくなれば……」/自信のない「詰み」より「詰めろ」/詰みだけでなく詰めろも正解 26p
第3章 「手筋」ってそもそも何?
〜初段になるためのテクニック集〜
「手筋」ってそもそも何?/次に厳しい「垂れ歩」/技を仕掛けるための「継ぎ歩」/大駒も直接狙える「連打の歩」/なぜ桂馬の両取りが「ふんどし」なのか/魔法のように詰む「継ぎ桂」/「角と桂」の攻め筋/美濃崩しでも使える「銀の割り打ち」/詰めろをかける攻め筋「腹銀」/腹銀は矢倉崩しに活躍/受け筋の「桂先の銀」/歩で銀を取る「銀ばさみ」 30p
第4章 意識したい
「良い形」と「どこから終盤?」
〜級位者の実戦譜より〜
駒がぶつかったからといって慌てない/桂の頭は弱いので銀とセット/なぜ位を取るのが良い形?/好形はどこまでいっても、好形/この1筋方面は、やらせちゃっていい/囲いが元に戻せるならば、戻す/勝率が変わる終盤の見極め 22p
第5章 差がないときは攻め急がない
〜級位者の「次の一手」〜
第1問「プロなら百人中百人が桂馬を跳ねる」/第2問「離れ駒に注目して手を作ろうと考えたのが素晴らしい」/第3問「角の狙いだけ防げば、こちらが大優勢」/第4問「あまり差がないときは、すぐに決着をつけようとしない」/第5問「仕掛けの筋に飛車を動かす」 24p
第6章 「強くなった気がする」
から始める棋譜並べ
棋譜並べは難しい?/棋譜並べでプロと同じことを再現できる/この局面で3三歩と指してみると、ちょっと強くなった気がします
棋譜1 中村太地王座 対 鈴木大介九段(順位戦B級2組)
棋譜2 飯塚祐紀七段 対 森下 卓九段(順位戦B級2組)
棋譜3 南 芳一九段 対 高野秀行六段(順位戦C級1組)
18p
第7章 なぜ「先手よし?」
〜プロに訊いてみたかったこと〜
馬と飛車の交換はどちらが得?/級位者と段位者の違いは?/実戦をひたすら指して強くなれる?/子どもの指し手が早いのは?/藤井聡太七段みたいにソフトを使いたい/定跡を覚えるのは意味あるの?/初段から先は?/駒落ち定跡は必要?/「手を読む」って?/マニアック戦法おじさん対策/戦術本の「先手よし」の基準は? 12p

◆内容紹介
初段ってどうやったらなれるの?級位者の悩みにプロ棋士が明朗回答

駒の動かし方はもちろん、穴熊や美濃囲いなど基本的な囲いもわかる。けど、決して強くはない、具体的には初段に届かない棋力の人に向けて作ったのが本書。指南役は「経堂こども将棋教室」を主宰し、指導力に定評のあるプロ棋士の高野秀行六段。将棋好きだけど決して強くない、ライターの岡部敬史と漫画家のさくらはな。の二人が、
悩める級位者の声を代弁して、「わかったふりはしない」を信条になんでも質問。聞けば聞くほどに、級位者ならではの強くなる考え方や戦い方があることがわかった。

盤面は3×3マスを見る、戦型は一つだけ覚えればいい、わかりやすい詰将棋を作るetc.

将棋というゲームに強くなる要素の一つひとつに踏み込み、プロとアマの対話形式で進む本書。悪手だらけの級位者の対局をプロが解説するという、前代未聞の試みも盛り込みつつ、読むだけで、楽しく、上達するヒントが満載。これまで身の丈に合った本に出会えなかった皆さんにとって「これならわかる」を目指した一冊です。


【レビュー】
級位者が初段を目指すための本。

本書での「級位者」は、以下のような人が該当する。
−ルールはOK。(駒の動かし方など)
−囲いも少し知っている。(美濃囲い、穴熊、矢倉など)
−戦型分類もなんとなく分かる。(振り飛車/居飛車、角換わりなど)
−ネット対戦もかなりやっている。(将棋ウォーズ、将棋クエストなど)
−棋譜の符号は理解できるが(▲7六歩など)、頭の中で局面を動かすのは無理
−新聞の観戦記や「将棋世界」は難しいと思う。


つまり、入門者や初学者ではなく、「少なくとも数ヶ月〜数年くらい将棋をやっているが、なかなか初段に到達しない」という人が対象だ。こういった人の場合、何かあと一押しがあったり、勉強法を正しい方向に向けてやったりすることで、案外短期間で初段になれる可能性が高い。

本書は、そのような「初段へのあとワンステップ」を解決しようとする本である。級位者には、級位者向けの格言・常識や、真似やすい棋士・戦型など、また級位者に向いた考え方、上達法があることを明らかにし、級位者がなるべく楽に強くなる方法を伝えようとしている。


〔本書の進行〕
基本的に「高野×岡部×さくら」の鼎談形式で話を進めていく。(テーマによっては高野×岡部の対談方式)

・高野=指南役で、プロ六段。将棋教室も主宰している。『これにて良し? 四間飛車VS急戦定跡再点検』『四間飛車がわかる本』などの好著がある。
 −棋士データベース-高野秀行
 −高野秀行六段のコラム一覧(日本将棋連盟-将棋コラム)
・岡部=級位者。ライター。将棋歴は実質2年、将棋ウォーズ3級、将棋クエスト4級。「将棋好きであるものの、決して強くない」。
 −ブログ「おかべたかしの編集記」
 −Twitter@okataco
 −Facebook 岡部敬史
・さくら=級位者。漫画家。5年半前にTV番組『アメトーーク!!』の特集「将棋楽しい芸人」を見て、突然将棋をやり始めた。将棋ウォーズ1級、将棋クエスト1級。ゴキゲン中飛車党。
 −ブログ「将棋好きに成りまして」
 −Twitter@kusattamarimo
 −pixiv「さくらはな。」

ときどき、さくらの「級位者あるあるマンガ」が挿入されている。(オビの「馬とは」もその一つ)

なお、あとがきマンガによれば、この「初段になれるかな 飲み会 会議」は8か月(!)にわたって開催され、さくらはちゃんと初段になったそうだ。


〔各章の内容(抜粋)〕

第1章 常に「と金」を考えよ 〜級位者が覚えるべき10の格言〜
・級位者がちゃんと見れるのは3x3マスくらい。
→「盤面が広く見られる」と強くなる。
・振り飛車は守りやすい。(序盤でミスしにくい)
・居飛車は攻めやすい。
⇒戦型は好みで一つ決める。
・鈴木大介、戸辺誠、村山慈明、飯塚祐紀は、級位者が参考にしやすい。
・格言は級位者に向いているものだけを覚えよう。
⇒オススメ格言10を解説。
・級位者は…
 −桂跳ねの失敗が多い。
 −馬が敵陣で立ち往生している。
 −龍が敵陣でウロウロする。
 −飛の価値が高い。(高すぎる、大事にしすぎる)
 −歩、と金の意識が低い。
「桂は使いこなすのが難しいので、無理に使おうとしなくてよい」「桂を使うなら、ポンポン跳ねずに最後に使う」と明言しているのは、級位者向けの本では珍しい。


第2章 自信のない「詰み」より「詰めろ」 〜覚えておきたい詰みの形〜
・詰将棋は毎日ちょっとずつやる。
・分からなければ解答を見ても良い。
⇒「リンゴの絵は描けても、ドラゴンフルーツの絵はちゃんと見たことがなければ描けない」というのはナルホドですね、刺さりますね…
・詰将棋の「○分で△級」はアテにならない
・基本的な詰みの形を知る
・超初心の頃は、詰みから玉を取るところまでやるべし。
→特に一間龍は、超初心者には分かりづらい。
・詰みがあれば龍も飛も捨ててよい。
・難解用語(または級位者が誤解しやすい用語)は、別の言葉に置き換えてみる。
 −「退路封鎖」 → 「捨て駒ブロック」
 −「邪魔駒消去」 → 「自駒消去」
偶然の詰みより、意図して詰めろを掛ける
→「長い詰みより短い必至」は他書でもときどき書かれている格言であるが、「意図して詰めろを掛ける」は初めて見たように思う。こちらの方が後ろめたさ(詰みがあるのに必至を掛けるのか、的な)がなくなっていますね。


第3章 「手筋」ってそもそも何? 〜初段になるためのテクニック集〜
「手筋」は確かに意味の分かりづらい将棋用語で、定義もハッキリしていない。わたしは「上手い駒の使い方で、汎用性がある(いろいろな局面で使える)もの」と認識している。

本書では「小さな投資で確実なリターンが見込めるテクニック」と定義して、級位者用の手筋を厳選して紹介する。

 垂れ歩/継ぎ歩/連打の歩/桂のふんどし/香の田楽刺し/継ぎ桂/角と桂のコンビ/銀の割り打ち/腹銀/桂先の銀/銀バサミ

駒の手筋を扱った棋書はこれまでにも結構出ているし、多少古くても役に立つので、本章で興味を持ったら、何冊か入手してみてください。手筋を意識すれば、必ず上達します。

第4章 意識したい「良い形」と「どこから終盤?」 〜級位者の実戦譜より〜
級位者同士の実戦譜をプロが解説。

・良い形を意識すること
・部分的に受け流して、より玉に近いところで戦う
・安い駒で高い駒を狙う
・できれば崩れた囲いを再生させる
「自分なりの詰将棋」を作る
⇒第2章の「意識して詰めろを掛ける」を言い換えた表現。これもとても良いですね。
・どこからが終盤か、自分なりの指標を持つ
⇒これも棋力に合わせた設定が大事。

第5章 差がないときは攻め急がない 〜級位者の「次の一手」〜
級位者の実戦で、プロ(高野)ならどう指すか、を解説。全部で5局面。

本章で取り上げた局面は、必ず正解があるような「次の一手」ではなく、「有望手はあるが、自重でOK」というようなものもあり、真の意味で実戦的で役立ちそうに思えた。「こんないい手がある」よりもよほどいいと思う。このテーマだけで一冊出せるんじゃないだろうか。

高野が答えていく中で、「級位者は攻め急ぎが多そうだ」ということも判明。(わたしも10秒将棋だとこんな感じになってる…反省。)

第6章 「強くなった気がする」から始める棋譜並べ
棋譜並べのススメ。級位者は「楽しむ」のを目的に並べるべし。級位者にオススメの3棋譜を掲載。

第7章 なぜ「先手よし?」 〜プロに訊いてみたかったこと〜
ここまでの章で触れられなかった質問アラカルト。

・馬と飛の交換はどちらが得?
・級位者と有段者の違いは?
・10秒将棋よりも10分切れ負けの方を推奨
・子どもの早指し
・ソフトの利用法
・定跡学習の意義
・初段になってからの勉強法
・二枚落ち定跡を推奨
・3手の読みは大事
・奇襲への心構え
・棋書の形勢判断について
⇒正しい形勢判断をマスターすることは、ステップアップ間違いなし。保証します。有段者向けの本を読むためにも、実戦の判断基準のためにもマストアイテムでしょう。しかし、形勢判断を扱った本はこれまでに数えるほどしか出ておらず、新刊書店の棚ではなかなか見つけられないので、古本を探しましょう。


〔総評〕
本書は、「初段まであと一歩(数歩?)の人が、初段まで到達するための本」である。

自分が実際にその立場だったとき、特に棋力アップを実感できた方法は、以下の通りだった。これらがちゃんとできるようになったとき、将棋倶楽部24で初段になっていたかと思う。

・詰将棋を解く(いまでも苦手ですが…1手・3手から始め、『5手詰ハンドブック』クラスはなんとか解けるようにする)
・駒の手筋を覚える(『歩の玉手箱』に感動した)
・囲い崩しの手筋を覚える(『佐藤康光の寄せの急所 囲いの急所』が効いた)
・正しい形勢判断(『これにて良し? 四間飛車VS急戦定跡再点検』が効いた)
・必至問題を解く(特に『寄せの手筋168』を周回した)
棋譜並べ(特に「将棋年鑑」で数をこなした)

本書には、これらのことがほぼそっくりそのまま(そしてさらに分かりやすい形で)載っており、「初段になるための方法」として個人的にも太鼓判を押せる内容である。

ページ数は一般的な棋書よりも少なめで、サラッと読めていくが、内容的には過不足なく、満足できる。

ただし、あくまでも「初段手前」の人が、引っ掛かっている部分を解消できるという本なので、対象棋力がハッキリと絞られており、入門者〜初級者クラスの人が読むのはちょっと違うのかな、と思います。有段者〜高段者が級位者に指導する参考として読むのはアリかも。自分に合っていそうかどうか、よく確認してください。(2019Jan06)


※誤字・誤植等(初版第1刷で確認):
p52 2行目の先頭 「さくら」がゴシック体になっていない。



【関連書籍】

[ジャンル] 
上達法
[シリーズ] 
[著者] 
高野秀行 岡部敬史 さくらはな。
[発行年] 
2018年

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