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■神速!角換わり▲2五歩型 必勝ガイド

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神速!角換わり▲2五歩型 必勝ガイド
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マイナビ将棋BOOKS
神速!角換わり▲2五歩型 必勝ガイド
[総合評価] A

難易度:★★★★☆

図面:見開き4枚
内容:(質)A(量)A
レイアウト:A
解説:A
読みやすさ:B
有段〜高段者向き

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【著 者】 長岡裕也
【出版社】 マイナビ出版
発行:978-4-8399-6797-0 ISBN:978-4-8399-6797-0
定価:1,663円(8%税込) 214ページ/19cm


【本の内容】
第1章 先手急戦形 第1節 角換わりに進むまで
第2節 △7四歩型対急戦
第3節 △6四歩型対急戦
106p
第2章 腰掛け銀 第1節 先手▲4八金・▲2九飛型
第2節 先手▲5八金型
92p

◆内容紹介
角換わりにおいて、早めに▲2五歩を決め、▲7八金の一手を保留していち早く▲3六歩▲3七桂の攻撃型を作るのが最新の形です。

相手の出方によっては、いまやおなじみとなった▲4五桂からの速攻が炸裂し、早くも先手有利となります。

この「角換わり▲2五歩型」の攻撃を食い止めるためには後手は△5二金と上がるしかなく、先手だけ▲4八金・2九飛の好形に組むことができます。

本書ではプロ間においてもその深い研究が有名な長岡裕也五段が
「角換わり▲2五歩型」について徹底的に解説しています。

まずは駒組み。一手の緩みもない手順をその意味から説明します。そして先手の急戦が成立する形(後手の△7四歩、あるいは△6四歩型)とその手順を解説します。

さらに相手が持久戦志向で腰掛け銀になったときの変化も完全に網羅します。

これにて
「角換わり▲2五歩型」は角換わりにおける総合戦法となります。

本書で現代将棋の最先端に触れていただき、ぜひ実戦でその破壊力をお試しください。


【レビュー】
角換わり▲2五歩型の最新形を徹底解説した本。

2018年は、プロ公式戦で角換わりが大流行した。居飛車党同士の対戦では、横歩取りは青野流と勇気流の隆盛で後手が避ける傾向があり、さらに矢倉は後手急戦が研究されて先手が避けるようになって、自然と角換わりに戦型が集中するようになっている。

現在の角換わりで最も多く見かけるのは「▲4八金-2九飛型vs△6二金-8一飛型の先後同形」であるが、先手が右桂を早く跳ねて速攻を狙う形は、相腰掛け銀の駒組みに影響を与えるため、その成否は重要となる。

本書は、早い段階で▲2五歩と突き越し、先手が先攻を狙う形に限定して、角換わりの最先端を解説していく。


各章の内容を図面を添えて紹介していこう。(なお、チャートは最後にまとめて掲載する。超長いのでご注意ください。分かる範囲でプロ実戦例も添えてみました。)

第1章は、「先手急戦形」

(1) 角換わりに進むまで
現在では▲4八金(+2九飛)型が優秀と見られるようになり、右四間の含みがないため、飛を2筋で使うために▲2五歩を早く突き越すようになっている。また、後手の雁木への変化を封じるために、早く▲2五歩と突く意味もある。

よって、〔右図〕のような、▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩の相掛かり模様から▲7六歩として、角換わりを目指すオープニングが急増している。(ただしこの場合、後手が横歩取りを志向したら避けることは難しいが、2018年12月の出版時点では横歩取りの後手番が苦戦しているため、角換わりになりやすい)

左銀の上がり方は、▲8八銀・▲7八銀・▲6八銀の3つある。角交換になってしまえば同じだが、本書では▲7八銀を本線とする。

▲7八銀は、1手でスキが少なく、思い切った指し方(例えば飛車切り)が可能で、後手は角不換の早繰り銀などにはしづらい。(※ただし、2018年12月時点では、棋譜中継で最も多く見かけるのは▲6八銀である)

右銀の上がり方は▲3八銀・▲4八銀があるが、本書では▲4八銀に絞り、▲4八銀ならではの速攻を多く扱っていく。例えば、居玉でも将来△1五角の王手飛車がない、などの利点がある。

本書は〔右図〕基本図とし、第1章の大半は、「▲4八銀+居玉+▲7八金省略で、▲3五歩〜▲4五桂の仕掛け」をテーマとしている。後手が△7四歩か△6四歩かで仕掛けの成否も変わってくる。

この仕掛けを後手が警戒するなら、〔右図〕で△5二金と構えることになり、駒組みが制限される。例えば、好形とされる△6二金・8一飛型を手損なしで組めなくなる(ただし損得は微妙なところ)。この形は第2章で扱っていく。

(2) △7四歩型 対 急戦
後手の早繰り銀狙いに対し、先手がそれを許さない方針に絞って解説していく。(※実際のプロの実戦では、先手が仕掛けを見送っているケースも多い)

単に▲4五桂の仕掛けは、△4四銀なら有力だが、△2二銀で攻め切れない。

▲3五歩△同歩と3筋を突き捨ててから▲4五桂の仕掛けが有力。今度は△2二銀は攻めが続く。

△4四銀〜△2二歩だと先手の猛攻は無理攻めになるので、持久戦気味に移行する。後手としては、2二のスキは少ないが、▲2四角や▲1五角の筋には注意が必要となる。

全体としては、△7四歩型では先手良し。

(3) △6四歩型 対 急戦
△6四歩は△7四歩型よりスキは少ないが(例えば飛のコビンが空いていない)、それでも先手が仕掛ける手はある。

後手は△6四歩が速攻を意識した手ではないので、攻め合いではなく受けに回る。

やはり▲3五歩△同歩▲4五桂の仕掛けが有力で、△2二銀はギリギリ先手の攻めがつながりそう。

△4四銀もいろいろ攻めはあるが、一気には決まらず、いったん駒組みを進める展開となる。

総合的には先手が押し気味か。この仕掛けの成否は、第2章の腰掛け銀の駒組みにも影響を与える。


第2章は、「腰掛け銀」。第1章の仕掛けが成立するときに、先後の駒組みがどのように変化していくかを扱っており、非常にプロ的要素が高い話になっている。

(1) 先手▲4八金・▲2九飛型
第1章の「▲3五歩〜▲4五桂の仕掛け」を警戒するなら、後手は速めに△5二金と上がる〔右図〕ことになり、駒組みを制限される。例えば、スムーズに△6二金・8一飛型に組むことができない。

ただし、△5二金と▲6八玉の交換が入っても、△7四歩なら第1章と同様に、▲3五歩〜▲4五桂の仕掛けがある。

△6四歩なら軽い仕掛けは難しく、腰掛け銀模様に落ち着いていく。

後手は、一手損でも△6二金・8一飛型にして、千日手を狙うのが有力となる。

(2) 先手▲5八金型
後手に△5二金と指させてから▲5八金とするのが長岡の推奨手。〔右図〕から△8一飛でも△3一玉でも▲5八金と上がる。

▲5六銀△7三桂を決めさせたことに意味があり、従来▲有望とされていた形に持ち込める可能性が高くなる。

難解ではあるが、やや先手ペースになりやすいか。



〔総評〕
アマでも角換わりになりやすくなった現在、形を限定させてすばやく仕掛けられる本書の形は非常に有力で、得意戦法にしてみるにも面白い。

ただし、仕掛けてからはかなり難解で、技を駆使したり、飛を切っていく展開も多いため、しっかり研究できていないと綻びを生じやすい戦型でもある。

なお、後手がやや妥協してきたときには、通常の角換わり腰掛銀の知識と経験が必要となるため、ひと潰しにしてやろうと思っている人には不向き。激しい一方で、非常に玄人好みの戦型と言っていいだろう。

今年2018年9月の王座戦五番勝負でも本書の形が2局登場しているなど、今後はプロ公式戦の登場頻度が上がりそうな予感もある。最先端の将棋に感度の高い人は、ぜひ本書で急所を押さえておきたい。

また、さまざまな攻め手筋が登場するので、この戦型を指す機会がない人にとっても、攻めの教科書として面白いと思う。難解ではあるが、力は付きそうだ。

(2018Dec30)

※誤字・誤植等(初版第1刷で確認):
p9下段 ×?「もちろん▲2六歩▲4八金型にも利点はある」 ○「もちろん▲2六歩▲5八金型にも利点はある」
p33下段 ×「▲3四飛△2三歩▲3四飛」 ○「▲2四飛△2三歩▲3四飛」

〔チャート〕(第1章〜第3章を一括で。分かる範囲でプロ実戦例も添えてみました。)



【関連書籍】

[ジャンル] 
角換わり
[シリーズ] マイナビ将棋BOOKS
[著者] 
長岡裕也
[発行年] 
2018年

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