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マイコミ将棋BOOKS 戸辺流現代振り飛車手筋集 |
[総合評価] A 難易度:★★★☆ 〜★★★★ 図面:見開き4枚 内容:(質)A(量)A レイアウト:A- 解説:A 読みやすさ:A- 上級〜有段向き |
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【著 者】 戸辺誠 | ||||
【出版社】 毎日コミュニケーションズ | ||||
発行:2011年6月 | ISBN:978-4-8399-3919-9 | |||
定価:1,470円(5%税込) | 224ページ/19cm |
【本の内容】 | ||||||||||||
【協力】 君島俊介
・【コラム】ハチワンダイバーと私 |
【レビュー】 | ||
石田流、▲中飛車、△ゴキゲン中飛車の解説書。 現代の振飛車党は、先手で▲7六歩△3四歩なら▲石田流、先手で▲7六歩△8四歩なら▲中飛車、後手なら△ゴキゲン中飛車というパターンが非常に多い。そのパターンを持った振飛車党を「現代振飛車党」と呼ぶとすれば、戸辺は若手の現代振飛車党のトップランナーである。惜しくも挑戦には到らなかったが、王位戦リーグでの活躍は記憶に新しい。 本書は、現代振飛車の指し方の急所を序盤・中盤・終盤に分けて解説した本である。 構成は、どの章も「対談形式」を採っている。インタビューア(おそらく君島)が質問し、戸辺が回答・解説していくのが基本線。戸辺が逆に質問(というより問いかけ)をすることもあり、インタビューアは読者の目線で答える。 各章の内容を説明していこう。なお、第1章は定跡編なので先後はそのまま。第2章〜第3章はすべて振飛車を先手側にしている。ほとんどは振飛車側からの攻め筋の解説だが、居飛車側からの攻めなどのテーマもある。 第1章は序盤編。石田流、▲中飛車、△ゴキゲン中飛車で最近よく出る局面について、定跡を解説していく。 ●升田式石田流 戸辺は、新石田流(鈴木流、久保流など)の乱戦よりも、升田式石田流を推奨。p37の▲5六飛は初公開の秘策だ。 〔必修手筋〕 ・▲7七銀型から▲8六歩△同歩▲同飛の飛交換 ・△6三銀型でないときの戦い方 ・▲5一角の手筋 ・△6三金型は悪形 ・△8四飛型は隙がない ・端(9筋)の逆襲 〔考え方〕 ・8筋での飛交換後、△6九角の反撃に「(後手の)8筋に隙があれば▲7九金、そうでなければ▲9六角を考える」(p13) ・「押さえ込まれていると上ずっているは紙一重」(p26) ・「△8四飛型には▲6六角が左右に利く良い角打ち」(p35) ・「△5四歩を突くと5筋が争点になって仕掛けやすくなる」(p36) ●▲石田流vs△左美濃 本書発売直後の2011年6月26日の▲戸辺vs△久保戦(大和証券杯)で、「石田流vs左美濃」のテーマ図と同一局面が登場。p46の△5三歩まで解説通りに進んだ。 本書の解説では、▲同銀成△同金▲3三角成で先手良しだったが、戸辺は自ら▲8三歩△同歩▲5三銀成と手を変えた。▲8三歩の利かし以外は本書と同様に進み、戸辺も自信があったようだが、その後の久保の数手が素晴らしく、比較的あっさり凌いで後手が勝った。p46の局面の判断は、実戦の進行と比較して各自修正した方がよいだろう。 ●▲中飛車vs△居飛車穴熊 『楽しく勝つ!! 力戦振り飛車』(戸辺誠,MYCOM,2008)でも解説されたテーマ図だが、佐藤天彦新手により▲4五歩の速攻は不成立になっている。 〔考え方〕 ・「歩交換した▲5六銀型は振り飛車の理想形。駒のエネルギーが高い」(p52) ●▲中飛車 角交換型 2011年4月21日の▲戸辺vs△佐藤康光戦(銀河戦)で、p64〜p67の進行になった。 ●△ゴキゲン中飛車vs超速▲3七銀 戸辺は、超速決戦型では▲1八飛打を有力視している。超速については、現在盛んに指されているので、下記の棋書も参考にしてほしい。 ・『早分かり 中飛車定跡ガイド』(所司和晴,MYCOM,2011.06) 第1章 ・『豊島将之の定跡研究』(豊島将之,MYCOM,2011.01) 第1章 ・『ライバルに勝つ最新定跡』(村山慈明,MYCOM,2010.09) 第1章 ・『遠山流中飛車急戦ガイド』(遠山雄亮,MYCOM,2010.07) 第5章 ●△ゴキゲン中飛車vs▲4七銀急戦 〔考え方〕 ・「居飛車の駒が中央から離れた瞬間は、△5六歩と突くチャンス」(p90) ・「2手1組の手順は、1手目の瞬間は危険な場合が少なくありません」(p97) ※p125にも同様の記述あり ●△ゴキゲン中飛車vs▲居飛車穴熊 この戦型は『遠山流中飛車持久戦ガイド』(遠山雄亮,MYCOM,2009.11)第4章と比較すべし。
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