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マイコミ将棋BOOKS 早分かり 中飛車定跡ガイド |
[総合評価] A 難易度:★★★★ 図面:見開き4枚 内容:(質)A(量)A レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:B 上級〜有段向き |
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【著 者】 所司和晴 【推 薦】 渡辺明 | ||||
【出版社】 毎日コミュニケーションズ | ||||
発行:2011年6月 | ISBN:978-4-8399-3920-5 | |||
定価:1,470円(5%税込) | 224ページ/19cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||||||||||||||
【構成】 小川明久
◆内容紹介 |
【レビュー】 |
△ゴキゲン中飛車の定跡書。 「定跡伝道師」所司七段の新しい定跡書シリーズがスタートした。細分化された戦型を非常に細かく書いた「東大将棋ブックス」(2001〜2004)とは異なり、一つの戦型を1冊にまとめてある。かつての「定跡百科(○○ガイド)」(1988〜1991)に近い感じだ。 本書の特徴を箇条書きにしてみよう。 ・基礎的な内容はほとんどなし。ほとんどはプロ将棋がベース。 ・各章末に1p(図面4枚)のまとめがある。先に読んだ方がわかりやすいと思う。 ・分かれの局面図には、右図のような形勢マークがついている。これはチェスなどで用いられる万国共通の記号で、将棋本では「定跡百科」や「東大将棋ブックス」の後半の巻などで使われている。 ・現時点で本筋と考えられている変化を先に解説するのは「東大将棋ブックス」と同じ。多くの棋書では、逆に「登場順(歴史順)」や「基本→応用」の順で書かれているため、慣れるまではやや違和感がある。チャートで追えば問題ないだろう。 各章の内容をチャートを添えて紹介していこう。 第1章は、超速▲3七銀。「超速▲4六銀」と書かれることもある。星野三段が開発したとされ、プロ公式戦での初登場は2009年12月。それ以来、爆発的に流行している。 従来の▲3七銀型急戦は、▲7八玉まで囲ってから右銀を繰り出すものだが、超速では▲6八玉型のまま▲3七銀とするのが急所。超速を扱ったこれまでの棋書と異なる点は、▲4六銀に△3二銀▲7八玉の変化が本筋として書かれているところだ。 第2章は、角交換型。いわゆる「丸山ワクチン」で、その中でも角交換後に▲9六歩△9四歩の交換を入れてから▲7八銀とする「佐藤流」がメインとなっている。最近は「△2五桂の筋が登場したことで、角交換型は少なくなった」(p63)とのこと。皆の関心が超速に行っているのも大きいと思われる。 p68の遠山流の手順は、『遠山流中飛車持久戦ガイド』(遠山雄亮,MYCOM,2009.11)から更新されている。 第3章は、超急戦▲5八金型。△ゴキゲン中飛車の存亡に関わるテーマであるが、10年以上経ってもいまだに結論が出ていない。 2011年3月の▲渡辺vs△久保(棋王戦)で出た手など、最新変化も記載あり。佐藤新手△5四歩、GPS新手▲4四角はあっさりと触れているにとどまる。また、『遠山流中飛車急戦ガイド』(遠山雄亮,MYCOM,2010.07)で「▲7五角が消えた理由」として書かれた変化は、p102であっさり「後手不利」と書かれている。なお、遠山本では本書よりかなり先まで変化が書かれている。後手不利なら▲7五角は消えないはずだが、さてどちらが正しいのか? 第4章は、▲2四歩早突き型。△ゴキゲン中飛車の初期のころにはたまに指されていたが、現在はあまり指されていない。先手が飛先を逆襲され、守勢になるのが嫌われていると思われる。 第5章は▲7八金型。振飛車に対して、一見筋の悪そうな形だが、角交換時の8八銀にあらかじめヒモをつけておく意味があり、飛先の歩を交換しやすいという利点がある。 第6章は▲4八銀型。第1章の超速以外の形を扱う。急戦・持久戦のどちらにも変化できる融通性がある。最近は、右銀を5九〜6八と引き付ける穴熊が多く、ゴキゲン中飛車での相穴熊はだいたいこの形になっている。『遠山流中飛車持久戦ガイド』や『戸辺流現代振り飛車手筋集』(戸辺誠,MYCOM,2011.06)などと比較すべし。 第7章は▲2五歩保留型。▲2五歩と△3三角の交換をしないことで、後手の左銀の動きに制約を与える。つまり、5五のくらいを守るために左銀を繰り出すと、2二角が浮き駒になってしまうため、▲5六歩と反撃されてしまうのだ。本章は、少々古いが『中飛車道場 第二巻 ゴキゲン中飛車本格急戦』(所司和晴,MYCOM,2004)の第7章などと比較すべし。 「東大将棋ブックス」よりは圧縮されているとはいえ、丸暗記したり、隅から隅までマスターするというのはかなり大変だろう。辞書的な使い方をするのがオススメ。 こういう「ガイドブック」は、「今すぐ必要」というよりも、何年か経ってから確認するために、良い資料になるかと思う。最新・最前線の変化をフォローしている人にはやや物足りないのかもしれない。(2011Jul20) ※誤植・誤字等(第1版第1刷で確認) p11 ×「▲2四歩(第3章)、▲5八金右(第4章)」 ○「▲2四歩(第4章)、▲5八金右(第3章)」 (パルテノンさんご指摘thx!) p13 ×「▲5八金右の第4章なら」 ○「▲5八金右の第3章なら」 p68 ×「△5五歩に▲6七銀を用意している▲4八銀は…」 ○「△5五歩に▲6七銀を用意している。▲4八銀は…」 |