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■早分かり 中飛車定跡ガイド

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早分かり 中飛車定跡ガイド
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マイコミ将棋BOOKS
早分かり 中飛車定跡ガイド
[総合評価] A

難易度:★★★★

図面:見開き4枚
内容:(質)A(量)A
レイアウト:A
解説:A
読みやすさ:B
上級〜有段向き

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【著 者】 所司和晴 【推 薦】 渡辺明
【出版社】 毎日コミュニケーションズ
発行:2011年6月 ISBN:978-4-8399-3920-5
定価:1,470円(5%税込) 224ページ/19cm


【本の内容】
【構成】 小川明久
第1章 超速▲3七銀 ・△3二銀型
・△3二金型
・△7一玉型での△4二銀
・△4二銀早上がり
42p
第2章 角交換型 ・向かい飛車型
・銀冠型
・△7二金型
・▲9七歩・7八銀型
・▲9七歩・8八銀型
32p
第3章 超急戦▲5八金右型 ・△9九馬に▲6六香
・▲1一龍に△8九馬
・△6二玉に▲7五角
・△8八角成に▲7七角
・急戦回避・△3二金
・超急戦回避・△6二玉
36p
第4章 ▲2四歩早突き型 ・▲7七桂型
・▲7七銀型
・△2二銀型
16p
第5章 ▲7八金型 ・△6二玉型
・△5五歩型
18p
第6章 ▲4八銀型 ・持久戦
・急戦▲3六歩型
・急戦▲4六歩型
36p
第7章 ▲2五歩保留型 ・△6四歩型
・△3二金型
・△3三角型
・△4二金型
・△3三角〜△4二銀型
・△5六歩早突き型
36p

◆内容紹介
定跡伝道師による中飛車定跡完全ガイドが完成!
現在プロ、アマ問わずもっとも人気のある戦法である中飛車。指す人が増えるに連れて、中飛車を指されて対策に困っている方も多いはず。

本書は中飛車側と対中飛車側のどちらにも肩入れすることなく、中立の立場で有力な指し方(=定跡)を解説した画期的な一冊。これから中飛車の指し方を覚えたい方も、中飛車を指されたときにどうすればいいか分からないという方も、この一冊で定跡をマスターできます。

解説では「超速▲3七銀」「角交換型」「超急戦▲5八金右型」「▲7八金型」「▲2五歩保留型」など、中飛車に関するあらゆる戦型を網羅。右ページにテーマとなる図を大きく掲載し、見開きでそのテーマについて解説しています。見やすく、気になる局面を探すのも簡単です。
また、参考図には、すべて先手優勢や後手有利などの形勢判断を表す記号が入っており、解説を読まなくても、局面を見るだけで形勢がひと目で分かるようになっています。

中飛車大流行の今、すべての将棋ファン必携の一冊です。


【レビュー】
△ゴキゲン中飛車の定跡書。

「定跡伝道師」所司七段の新しい定跡書シリーズがスタートした。細分化された戦型を非常に細かく書いた「東大将棋ブックス」(2001〜2004)とは異なり、一つの戦型を1冊にまとめてある。かつての「定跡百科(○○ガイド)」(1988〜1991)に近い感じだ。

本書の特徴を箇条書きにしてみよう。

・基礎的な内容はほとんどなし。ほとんどはプロ将棋がベース。
・各章末に1p(図面4枚)のまとめがある。先に読んだ方がわかりやすいと思う。
・分かれの局面図には、右図のような形勢マークがついている。これはチェスなどで用いられる万国共通の記号で、将棋本では「
定跡百科」や「東大将棋ブックス」の後半の巻などで使われている。
・現時点で本筋と考えられている変化を先に解説するのは「
東大将棋ブックス」と同じ。多くの棋書では、逆に「登場順(歴史順)」や「基本→応用」の順で書かれているため、慣れるまではやや違和感がある。チャートで追えば問題ないだろう。


各章の内容をチャートを添えて紹介していこう。

第1章は、超速▲3七銀。「超速▲4六銀」と書かれることもある。星野三段が開発したとされ、プロ公式戦での初登場は2009年12月。それ以来、爆発的に流行している。

従来の▲3七銀型急戦は、▲7八玉まで囲ってから右銀を繰り出すものだが、超速では▲6八玉型のまま▲3七銀とするのが急所。超速を扱ったこれまでの棋書と異なる点は、▲4六銀に△3二銀▲7八玉の変化が本筋として書かれているところだ。



第2章は、角交換型。いわゆる「丸山ワクチン」で、その中でも角交換後に▲9六歩△9四歩の交換を入れてから▲7八銀とする「佐藤流」がメインとなっている。最近は「△2五桂の筋が登場したことで、角交換型は少なくなった」(p63)とのこと。皆の関心が超速に行っているのも大きいと思われる。

p68の遠山流の手順は、『遠山流中飛車持久戦ガイド』(遠山雄亮,MYCOM,2009.11)から更新されている。



第3章は、超急戦▲5八金型。△ゴキゲン中飛車の存亡に関わるテーマであるが、10年以上経ってもいまだに結論が出ていない。

2011年3月の▲渡辺vs△久保(棋王戦)で出た手など、最新変化も記載あり。佐藤新手△5四歩、GPS新手▲4四角はあっさりと触れているにとどまる。また、『遠山流中飛車急戦ガイド』(遠山雄亮,MYCOM,2010.07)で「▲7五角が消えた理由」として書かれた変化は、p102であっさり「後手不利」と書かれている。なお、遠山本では本書よりかなり先まで変化が書かれている。後手不利なら▲7五角は消えないはずだが、さてどちらが正しいのか?



第4章は、▲2四歩早突き型。△ゴキゲン中飛車の初期のころにはたまに指されていたが、現在はあまり指されていない。先手が飛先を逆襲され、守勢になるのが嫌われていると思われる。



第5章は▲7八金型。振飛車に対して、一見筋の悪そうな形だが、角交換時の8八銀にあらかじめヒモをつけておく意味があり、飛先の歩を交換しやすいという利点がある。



第6章は▲4八銀型。第1章の超速以外の形を扱う。急戦・持久戦のどちらにも変化できる融通性がある。最近は、右銀を5九〜6八と引き付ける穴熊が多く、ゴキゲン中飛車での相穴熊はだいたいこの形になっている。『遠山流中飛車持久戦ガイド』や『戸辺流現代振り飛車手筋集』(戸辺誠,MYCOM,2011.06)などと比較すべし。



第7章は▲2五歩保留型。▲2五歩と△3三角の交換をしないことで、後手の左銀の動きに制約を与える。つまり、5五のくらいを守るために左銀を繰り出すと、2二角が浮き駒になってしまうため、▲5六歩と反撃されてしまうのだ。本章は、少々古いが『中飛車道場 第二巻 ゴキゲン中飛車本格急戦』(所司和晴,MYCOM,2004)の第7章などと比較すべし。




東大将棋ブックス」よりは圧縮されているとはいえ、丸暗記したり、隅から隅までマスターするというのはかなり大変だろう。辞書的な使い方をするのがオススメ。

こういう「ガイドブック」は、「今すぐ必要」というよりも、何年か経ってから確認するために、良い資料になるかと思う。最新・最前線の変化をフォローしている人にはやや物足りないのかもしれない。(2011Jul20)

※誤植・誤字等(第1版第1刷で確認)
p11 ×「▲2四歩(第3章)、▲5八金右(第4章)」 ○「▲2四歩(第4章)、▲5八金右(第3章)」 (パルテノンさんご指摘thx!)

p13 ×「▲5八金右の第4章なら」 ○「▲5八金右の第3章なら」
p68 ×「△5五歩に▲6七銀を用意している▲4八銀は…」 ○「△5五歩に▲6七銀を用意している。▲4八銀は…」



【関連書籍】

[ジャンル] 
中飛車
[シリーズ] 
マイコミ将棋BOOKS 早分かり定跡ガイド
[著者] 
所司和晴 渡辺明
[発行年] 
2011年

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