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羽生の頭脳 9 激戦!横歩取り |
[総合評価] A 難易度:★★★★ 図面:見開き4枚 内容:(質)A(量)A レイアウト:A 解説:A 上級〜有段向き |
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【著 者】 羽生善治 | ||||
【出版社】 日本将棋連盟 | ||||
発行:1994年8月 | ISBN:4-8197-0320-X | |||
定価:971円 | 222ページ/19cm |
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羽生の頭脳 10 最新の横歩取り |
[総合評価] B 難易度:★★★★ 図面:見開き4枚 内容:(質)A(量)A レイアウト:A 解説:A 上級〜有段向き |
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【著 者】 羽生善治 | ||||
【出版社】 日本将棋連盟 | ||||
発行:1994年12月 | ISBN:4-8197-0321-8 | |||
定価:971円 | 222ページ/19cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||||||
◆9:激戦!横歩取り
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◆10:最新の横歩取り
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【レビュー】 |
横歩取りの総合定跡書。 1998年から△8五飛戦法が大流行したため、本書の指し方はやや亜流になっているが、どれも大事な変化が満載。章によってずいぶん古くなってしまったものもあるが、解説の分かりやすさという点では一級品の定跡書である。羽生自身が「横歩取りはもっとも好きな戦型」と言っており、かなり気合を入れて書かれたのだろう。 各章の内容をざっと紹介していこう。 〔9巻〕 ・第1章 【△2三歩】 (2011Feb28改訂) 横歩取りの中では、唯一先手のみが飛車先交換をする形。いま(2002年現在)でも本書が最新。第1部の「飛車切り定跡」の森新手▲1六歩や、第2部の「飛角交換定跡」の▲2七角など、先手にとって有力な変化が多く、最近はプロではあまり指されていない。 ・第2章 【相横歩取り】 (2011Feb28改訂) 『横歩取り道場 第二巻 相横歩取り』(所司和晴,MYCOM,2002.09)の方が明らかに詳しいが、本書の方が読みやすい。127p〜131pの変化は北浜新手(94年)によって覆されている。『新手年鑑Vol.T』(島朗,MYCOM,1995.08)や『新手年鑑Vol.U』(勝又清和,MYCOM,,1996.08)など参照。『横歩取り道場』では53〜54pに記載。 〔10巻〕 ・第1章 【△4五角】 (2011Mar03改訂) 相横歩取りと並び、非常に激しい展開になる戦法で、基本的に収まることがない。一時期、将棋専門誌などでアマ・プロ入り乱れての検討が行われたが、プロではすでに「後手無理筋、正確に対応すれば先手良し」の結論が出ており、実戦にはほとんど現れなくなった。実際、本章でも分岐先の結論はほとんどが「先手良し」である。 そのため、本章の内容も従来の棋書から更新された部分はあまりない。入手できるなら『横歩取りガイド』(週刊将棋編,所司和晴協力,MYCOM,1988.07)や『横歩取りガイドII』(所司和晴,週刊将棋編,MYCOM,1990.09)の方が詳しい。また、2002年には△4五角戦法の専門書として『横歩取り道場 第三巻 4五角戦法』(所司和晴,MYCOM,2002.11)が出版されている。 ・第2章 【△3三桂】 (2011Mar03改訂) △3三桂に@▲2四飛とA▲8七歩は超急戦になるので、一読の価値あり。持久戦は、横歩取りの中でもっとも焦点のハッキリしない戦いになるので、「こういうのが一例」くらいで読んでおくと良い。 ・第3章 【△3三角】 (2011Mar04改訂) 第1部は出版(1994年)の20年以上前からある△5二玉型(内藤流)、第2部は△4一玉型の中原流。中原流は1994年度初めごろから中原誠が多用したそうで、本書出版時には最新のホヤホヤ状態だ。中原囲いの優秀性は、のちの1999年ごろから流行し始める△8五飛戦法の土台にもなっている。 △3三角はもともとが持久戦系の戦型なので、定跡として使うのは難しい。△8五飛の登場により、序盤の手順も変わったため、狙いと雰囲気をつかむつもりで読むのが吉。 本書に書かれている変化は、いずれ「横歩取り道場」シリーズで最新の変化が詳解されると思う(追記:△2三歩以外は「横歩取り道場」シリーズが刊行されています)。ただ本書は解説が分かりやすいので、「道場」の予習として読んでおくと良い。(2002Nov05,2010Mar04改訂) |