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■解いて役立つ5手詰200問(将棋連盟文庫)

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解いて役立つ5手詰200問(将棋連盟文庫)
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将棋連盟文庫
解いて役立つ5手詰200問
[総合評価] A

難易度:★★★
  〜★★★★

見開き1問
内容:(質)A(量)A
レイアウト:A
解答の裏透け:B-
解説:A
中級〜有段向き

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【著 者】 中田章道
【出版社】 日本将棋連盟/発行 マイナビ/販売
発行:2015年3月 ISBN:978-4-8399-5503-8
定価:1,231円 416ページ/16cm


【本の内容】
・5手詰=200問
第1章 2008年7月号〜2009年4月号=50問
第2章 2009年5月号〜2010年2月号=50問
第3章 2010年3月号〜2010年12月号=50問
第4章 2011年1月号〜2011年10月号=50問

◆内容紹介
詰将棋の醍醐味は捨て駒にあります。短編の5手でそれを表現するのは大変難しいが、自分なりに工夫したつもりです」(まえがきより)

将棋世界の人気連載
「実戦に役立つ5手7手詰」から5手詰の問題を200問厳選しました。連載にはなかった解説を加筆しているため、詰将棋に不慣れな方にもお勧めの一冊です。

詰将棋を楽しみたい方だけでなく、終盤力を鍛えたい方も、まずは1問解いてみてください。詰将棋は、楽しく解いて手筋が身に付く極上の教材です。また、上のステップを目指す方は、作意手順だけでなく変化や紛れに潜む妙手順を探してみるといいかもしれません。5手詰の裏側には、時に無限の世界が広がっています。

計算し尽くされた芸術的なパズルを、ぜひご堪能ください。


【レビュー】
5手詰め専門の詰将棋問題集。「将棋世界」誌の「実戦に役立つ5手7手詰」から、2008年7月号〜2011年10月号までに掲載された5手詰に、解説を追加して文庫化したもの。

まえがきには、「詰将棋の醍醐味は捨て駒にあります。短編の5手でそれを表現するのは大変難しいが、自分なりに工夫したつもりです」とある。これは、私の解釈では「5手詰では個性を出すのは難しいが、それなりに工夫した」と読み取れた。 

確かに5手詰は、詰め筋としてはほぼ出し尽くされた感があり、作品一つではなかなか個性は出ない。しかし、200問クラスの詰将棋問題集であれば、結構特徴が表れてくる。代表的な5手詰問題集を出版しているプロ棋士だと、次のような感じだ。

 ・浦野真彦
  
代表作=『5手詰ハンドブック』(2004)など、「X手詰ハンドブック」シリーズ
  盤上の駒は10枚以内で、右上5x5にコンパクトにまとめるように意識。
  手筋を駆使した爽やかな解後感。

 ・森信雄
  
代表作=『なめたらあかん三手五手』(2003)など。1手詰の本も多数。最近だと『逃れ将棋』も好評。
  飛角の大転回や、逆に香をちょっとだけ動かすなど、盤いっぱいの動きとわずかな動きの対比が得意。
  不安定感のある詰め上がりが多い。

 ・高橋道雄
  
代表作=『5手詰将棋』(2009)など。
  矢倉や美濃囲いなど、囲いの原型をとどめたものや、囲いが崩れたと思わせる形にこだわりあり。
  攻め方の駒が多めで、実戦的な詰み上がりが多い。

それに対して、本書の特徴は、以下のようになる。

 (1) 入玉形がかなり多い。
  六段目〜九段目に玉がいる問題数を数えると、200問中77問(38.5%)が入玉形。入玉直前の六段玉が大半。

 (2) 盤上に大駒が多い。
  盤上に大駒が3枚いる問題数は87問(43.5%)、4枚いる問題数は18問(9%)で、併せて105問(52.5%)。(入玉形との重複あり)

 (3) 打歩詰め打開はほどほど。
  打歩詰め打開が絡む問題は10問(5%)。
  ただし、初形で打歩詰めになっている問題よりも、平凡に攻めると打歩詰めになるのを回避していく問題の方が多い。

上記の特徴に加え、割とコンパクトな手筋モノもときどき挿入されるので、さまざまな展開を考えることになる。メインの料理はなかなかの「こってり味」ながら、ときどき「さっぱり味」のお口直しが来るので、飽きにくいかと思う。




各章での問題数をカウントしてみたので、参考にしてください。難易度も添えてみました。(入玉形・盤上大駒数・打歩詰めが複合している場合は各々カウントしています)
  第1章
(50問)
第2章
(50問)
第3章
(50問)
第4章
(50問)
入玉形 30 15 17 15
盤上大駒3枚 24 15 23 25
盤上大駒4枚 7 5 3 3
打歩詰め関係 4 3 1 2
難易度☆1 4 0 3 3
 〃 ☆2 13 7 14 13
 〃 ☆3 18 32 11 18
 〃 ☆4 12 10 17 12
 〃 ☆5 3 1 5 4

入玉形に苦手感がある人は、難易度が☆3近くに固まっている第2章から始めてみるとよい。クセのある問題も比較的少なめだ。慣れてきたら他の章にも挑戦しよう。第1章は、6割が入玉形なので、最後に回しても良いだろう。



レイアウトは、最近の将棋連盟文庫の問題集系と共通の仕様。

見開き一問一答で、左ページ中央にドーンと問題図、下段に一行ヒントと難易度表示(5段階)がある。解答は図面2枚で、解答図と、途中図・参考図など。正解の解説と、変化、紛れが細かく網羅されている。裏透け対策はやはり施されていないので、問題図の左上は極力見ないようにしよう。



5手詰には慣れていて、歯ごたえのある5手詰を求めている人にはオススメ。5手詰初心者にはちょっとシンドイと思うので、浦野や高橋から始めることをオススメする。(2015Apr14)

※誤字・誤植等(初版第1刷で確認):
p22解答図 ▲2四飛は不要。(飛・竜が併せて3枚になってしまっている)



【関連書籍】

[ジャンル] 
詰将棋
[シリーズ] 
将棋連盟文庫
[著者] 
中田章道
[発行年] 
2015年

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