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■速攻振り飛車大全

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速攻振り飛車大全
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将棋最強ブックス
速攻振り飛車大全
[総合評価] B

難易度:★★★☆

図面:見開き4枚
内容:(質)A(量)B
レイアウト:A
解説:A
読みやすさ:A
上級〜有段向き

【著 者】 鈴木大介
【出版社】 創元社
発行:2011年9月 ISBN:978-4-422-75135-1
定価:1,365円(5%税込) 224ページ/19cm


【本の内容】
第1章 速攻向かい飛車 A:馬作りを目指す▲2二角成
B:自然な▲6八銀
・復習問題=8問
62p
第2章 速攻三間飛車 A:穴熊を急ぐ△2二玉
B:△5三銀型を急ぐ△5四歩
・復習問題=8問
54p
第3章 速攻四間飛車 A:飛車先交換を急ぐ△8五歩
B:囲いを急ぐ△5四歩
・復習問題=8問
70p
第4章 速攻中飛車 A:飛車交換に応じる▲4二同飛成
B:飛車交換を避ける▲4三歩
・復習問題=8問
32p

◆内容紹介
従来「待ち」の戦法と思われていた振り飛車で、積極的に攻めたてて勝つという新しいタイプの振り飛車戦法書。居玉で決戦に持ち込み、猛攻によってそのまま一気に勝ちきる策を伝授する。角筋を止めた振り飛車あり、止めない振り飛車ありで戦法のレパートリーが広がり、攻めて勝つ醍醐味が堪能できる。構成は、向かい飛車、三間飛車、四間飛車、中飛車の4章立て。すべての振り飛車で速攻できる戦い方を解説した。


【レビュー】
自分から速攻できる振飛車の解説書。

従来、振飛車は「待ち」が基本のカウンター戦法だった。しかし、藤井システムから角交換系の振飛車など、最近では振飛車が自分から攻めることが多くなっている。

本書では、居玉や簡素な囲いで速攻する振飛車の作戦を4つ解説。場合によっては途中から囲いに入ったり、居飛車が最善の形で待った場合は駒組みでの作戦勝ちを狙うものもあるが、いずれも序盤で一気に優位に立てる可能性のある作戦である。

目次はどれも「速攻○○」となっていて、どんな戦法か分からない(笑)ので、各章の内容と戦法の特徴をチャートを沿えて紹介していこう。


第1章の「速攻向かい飛車」は、升田流向飛車のこと。角道を止めず、攻撃的な向飛車で、始祖はもちろん升田幸三。近年は『島ノート 振り飛車編』(島朗、講談社,2002)などで再ブレイク。新たな研究が加わり、先手中飛車とセットになることによって、先手番の有力戦法の一つとなっている。

本戦法は居飛車側も進化しており、8手目△6二銀とせずに△3四歩とできることが分かったため、従来型では先手が良くない。11手目に▲9六歩とするのが深謀遠慮の工夫で、本章のメイン。▲5三角から▲9七角成と引ける場所を作ったことで、馬を消される変化がなくなるのが大きい。なお、11手目▲9六歩は『高崎一生の最強向かい飛車』(ア一生,MYCOM,2010.03)でも少し解説されていたが、本書の方がその後の展開を幅広くカバーしている。



第2章の「速攻三間飛車」は、藤井システムの三間飛車バージョンのような戦型。普通の▲三間飛車から、居玉で△居飛穴に猛攻をかける。(1)居玉、(2)早めの▲1六歩、(3)左銀の攻撃参加、が大きな特徴。名前はまだない(と思う)が、いわゆる「中田功XP」とは別物だと思う。50年以上前からある「奇襲袖飛車」の対居飛穴バージョンのような感じだ。

なお、この戦型は二面性があり、後手の対応によって、一気に攻め潰す展開と、ジリジリ押し倒す展開に分かれる。「後手が穴熊を急げば速攻で」(p103)。穴熊を急がずに持久戦模様のときは、p102の▲4五歩がポイントになり、好機に真部流の形を作れれば先手良しだ。



第3章の「速攻四間飛車」は、立石流の新バージョン

従来型では、居飛車の「一段金(△6一金)+3筋・4筋位取り」(右図)が決定版ともいえる急所の構えで、振飛車がやや苦しい。一段金が角の打ち込みを防いでおり、玉頭位取りで圧迫され、終盤に斜めのラインで攻められやすい。「立石流は、持久戦、位の圧迫、コビン攻めに弱い。」(p138)

本章の新バージョンでは、居玉で▲2二角成と角交換する。「先手の主張は、(1)壁銀にさせる、(2)駒組みを限定する、(3)飛車を自由にする、という三点」(p139)で、普通に指せば先手が指しやすい。

ただし、有力な立石流対策として、〔下図〕から△3三角と自陣角を放つ手がある。▲6六飛とできず、理想形を阻まれた形だが、本章では形にこだわらず、左金を▲6七金〜▲7六金と立っていくのを推奨。美濃囲いはこの形と相性が悪いので、左玉風の駒組みをすることになる。本来の軽快な捌きからは程遠い展開なので、立石流使いは必読だ。なお、先後の違いはあるが、『変幻自在!! 窪田流3三角戦法』(窪田義行,MYCOM,2008)の第2章も参考にすると良い。



第4章の「速攻中飛車」は、矢倉流中飛車。後手番用の戦法だ。創元社の棋書としては珍しく、先後表記はそのままになっている。

角道を止めるノーマル中飛車から△6四銀と上がり、▲6六銀と対抗したときに、△4五歩〜△4二飛と薄くなった4筋に狙いを転じる。矢倉規広六段が連採したことで、その名が冠されている。なお、「矢倉中飛車」とは無関係なので注意。

本章の矢倉流中飛車は、美濃囲いが完成する前に動き、△4二飛▲4八飛の対抗に△2二飛とする。▲2八飛なら、また△4二飛として千日手。先手が千日手を嫌うなら、△2二飛に▲4六歩と仕掛けるが、互いの囲いが未完成なので激しい戦いになる。この戦法は、後手からかなり誘導しやすいので、感覚よりも知識が多いほうが有利だ。

本章の指し方は『中飛車道場 第四巻 6四銀・ツノ銀』(所司和晴,MYCOM,2004)の第1章第2節にも詳しく書かれているが、本章での枝先はいずれも新しい変化が出ているので、この戦法を指す人は必読。逆に、本章だけではかなり足りない部分もあるので、興味を持った人は『中飛車道場〜』を入手されたし。



戦型は全部で4つなので、タイトルの「大全」はちょっと誇張しすぎだと思うが、どれもなかなか面白い。「角交換振飛車は好きじゃないけど、振飛車から主導権を狙っていきたい」という人は、試してみる価値あり。(2011Sep30)



【関連書籍】

[ジャンル] 
振飛車総合
[シリーズ] 
将棋最強ブックス
[著者] 
鈴木大介
[発行年] 
2011年

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