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■変幻自在!! 窪田流3三角戦法

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変幻自在!! 窪田流3三角戦法
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マイコミ将棋ブックス
変幻自在!! 窪田流3三角戦法
[総合評価] A

難易度:★★★★

図面:見開き4枚
内容:(質)A(量)A
レイアウト:A
解説:A
読みやすさ:A
上級〜有段向き

【著 者】 窪田義行
【出版社】 毎日コミュニケーションズ
発行:2008年11月 ISBN:978-4-8399-3026-4
定価:1,470円(5%税込) 224ページ/19cm


【本の内容】
序章 4手目△3三角戦法
の狙い
  4p
第1章 角交換型
VS向かい飛車
初手から▲7六歩△3四歩▲2六歩△3三角▲同角成△同桂▲2五歩△2二飛▲6八玉△4二銀▲4八銀△6二玉から
・▲6五角には返し技△4五桂
(1)▲4六歩△7二玉
 ├1.▲4七銀△2五桂
 └2.▲4六歩△7二玉▲5八金右△2一飛▲4七銀△2五桂(▲4七銀が紐付き)
(2)▲5六歩
 ├1.△2五桂
 ├2.△7二玉▲3六歩(8三を先に守っておく)
 │ ├(a)△2五桂
 │ └(b)△5四歩▲7八玉△5二金左▲5八金右
 │   ├a.△2五桂
 │   └b.△9四歩〜美濃囲い
 │      ├α.△2一飛〜△2五桂
 │      └β.△6四歩〜持久戦
 └3.△2一飛▲3六歩(角の反撃筋を避けておく)
   ├(a)△2五桂
   ├(b)△7二玉▲7八玉△2五桂
   ├(c)△7二玉▲7八玉△5四歩〜以下美濃囲い
   │ ├a.△2五桂
   │ └b.△6四歩からさらに駒組み
   └(d)△7二金〜銀冠
54p
第2章 角交換型
VS四間飛車
初手から▲7六歩△3四歩▲2六歩△3三角▲同角成△同桂▲6八玉△3二金▲2五歩△4四歩▲4八銀△4五歩▲5六歩△4二飛▲5七銀△3五歩から
・△居飛車の展開について
・▲7七角(立石流対策)
(1)△6二玉▲2四歩△2二銀▲5八金右△7二玉
(2)△4三金(△3四金型を目指すが危険)
(3)△5二金(右金で△3四金型を目指す)
 ├1.▲7八銀△4三金右▲7九玉△3四金
 ├2.▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2六飛
 └3.▲3六歩△同歩▲2四歩
(4)△2二銀(△3四金型を目指す前にいったん2筋を厚くする)
 ├1.▲7八銀△4三金▲7九玉△3四金
 └2.▲3六歩△同歩▲2四歩
32p
第3章 角交換保留型
VS中飛車
初手から▲7六歩△3四歩▲2六歩△3三角▲4八銀△2二飛▲6八玉△4二銀▲7八玉△6二玉▲5六歩△5四歩▲5八金右△7二玉▲5七銀から
(1)△5三銀(積極策)〜△4四銀〜△5二飛
 ├1.▲7八金(固める)
 └2.▲4六歩(△4四銀の進出を止める)
(2)△5二金左(持久戦策)
 ├1.〜△5五歩▲同歩△同角
 │ ├(a)▲9九玉(穴熊を急ぐ)
 │ └(b)▲5六銀(すぐ反発)
 └2.△7四歩(待機策)
〔本文中には記載なし、第6章p212以下を参照〕
24p
第4章 角交換保留型
VS石田流
第3章基本図(▲5七銀まで)以下
△5三銀▲6六歩△6四歩▲6七金△8二玉▲7七角△7二銀▲8八玉△3五歩▲2五歩△3二飛▲1六歩△4二角▲2六飛△3四飛▲7八金△4四銀

(1)▲4六歩(△4五銀を防ぐ)
(2)▲4六銀(積極策)
 ├1.〜▲8八銀(離れ駒ができて危険)
 └2.〜▲6八角(離れ駒を作らない)
   ├(a)△4五銀(仕掛け)
   └(b)△7四歩(自重)
20p
第5章 角交換保留2五歩型
VS向かい飛車
初手から▲7六歩△3四歩▲2六歩△3三角▲2五歩△2二飛▲4八銀△4二銀▲6八玉△6二玉▲7八玉△5二金左▲5六歩△5四歩▲5七銀△7四歩▲5八金右△7二銀
(1)▲3六歩△5三銀
 ├1.▲3三角成
 ├2.▲4六銀
 └3.▲6六歩
   ├(a)〜△2四歩▲同歩△同飛(仕掛け)
   └(b)〜△6三金
     ├a.△4四銀
     └b.△4四歩
38p
第6章 実戦編 ・対北浜健介七段戦
・対真田圭一七段戦
・対達正光六段戦
46p

◆内容紹介(MYCOMホームページより)
本書は後手番の作戦として注目を浴びている、
4手目△3三角戦法を解説した本です。この戦法は相手の出方しだいでいろいろな戦型へと進展可能ですが、本書では振り飛車にする戦いを解説しました。
△3三角戦法の長所は、角道を通しているので居飛車穴熊に組まれにくく、また攻勢が取りやすいことです。自分のペースで戦いたい方にとって、ピッタリの作戦です。詳しい講座と自戦記を載せたので、急所をバッチリ押さえて実戦で試してください。


【レビュー】
4手目△3三角戦法(振飛車型)の戦法解説書。

変幻自在!! 窪田流3三角戦法初手から▲7六歩△3四歩▲2六歩△3三角と上がる。この時点で先手は「何をやってくる気だ?」と思うかもしれない。そのココロは、角道を止めないで振飛車に振ろうというのである。プロの場合、この欲張った(?)構想をとがめる意味で、多くの場合▲3三角成と角交換するが、角交換せずに駒組みを進めるのももちろん考えられるし、実戦例もある。

オビの「いきなりタダ捨て△2五桂 妖しさ満点 窪田ワールド!!」というコピーを見て、読む前は「本来は成立しないような奇襲の本か?」と思ってしまったが、そうではなかった。

まず、「タダ捨て△2五桂」とあるが、正確にはタダ捨てではない。「先手が歩切れ&歩を入手する見込みがないときに、△2五桂と飛先の歩を取る」ことで、

 (1)▲同飛なら△2四歩から飛先を伸ばす
 (2)桂を取らないなら△2四歩と支えておき、1歩得で先手の動きを待つ


というのが基本的な狙いとなる。これは近年のゴキゲン中飛車からの変化でも定番の仕掛けとなっており、妖しいわけでもない。ただし、(2)の場合にはすぐに厳しい狙いがあるわけではないので、それを「妖しい」と表現したのだと思う。その△2五桂の狙いがあるのは基本的に第1章の形のみで、△2五桂をいつ決行できるかが詳しく検討されている。その他の章では、角交換はするがすぐに▲2五歩とは伸ばさない形、しばらく角交換をしない形が解説されている。なお、この4手目△3三角戦法では居飛車で戦うこともできるが、本書では居飛車の展開は第2章の冒頭で少し触れられているだけにとどまり、基本的には後手は振飛車で戦っている。

言葉だけでは分かりづらいので、図面を使って各章の内容を説明していこう。

第1章 角交換型vs向かい飛車 【第1章 角交換型vs向かい飛車】

初手から▲7六歩△3四歩▲2六歩△3三角▲同角成△同桂▲2五歩△2二飛▲6八玉△4二銀▲4八銀△6二玉で【第1図】。

角交換後、すぐに▲2五歩と伸ばし、この戦法を真っ向から咎めにいく指し方。大して後手は△2二飛と回り、△2五桂のチャンスをうかがう。△2五桂の筋は、この形でほぼ唯一の攻め筋。本章では△2五桂のタイミングによる成否の違いを細かく検討していく。後手の都合のよい変化ばかりではなく、公平な視点で見ているのがよい。

なお、第1図に至るまでに角交換〜▲6五歩という基本的な急戦に対する対応は本章の冒頭で書かれている。


第2章 角交換型vs四間飛車 【第2章 角交換型vs四間飛車】

初手から▲7六歩△3四歩▲2六歩△3三角▲同角成△同桂▲6八玉△3二金▲2五歩△4四歩▲4八銀△4五歩▲5六歩△4二飛▲5七銀△3五歩▲7七角で【第2図】。

すぐに角交換をするのは第1章と同じだが、2筋を伸ばす前に▲6八玉と溜める。これで▲6五角に△4五桂の反撃筋がなくなるため(△5五角に▲7七桂で受かる)、△2二飛とはできない。そのため、後手は△3二金から立石流四間飛車を目指す。

立石流対策はいくつかあるが、基本的に△4四飛〜△3四飛が実現すれば後手の主張は通ったといえる。△4四飛を阻止する▲7七角が有力な対策の一つで、本章は【第2図】が実質的な基本図。

▲7七角に対し、窪田は「△3四金型が実現すれば後手が指しやすい」という大局観。△3四金を実現するために、いろいろな試行錯誤を重ねていく。

本章を通して読んだところ、この変化が後手にとって一番我慢のしどころとなっていると思う。△3四金型四間飛車という発想自体は『型破り振飛車の急所』(北村昌男,北辰堂,1975)などでも紹介されているが、この形での△3四金型は窪田流といえるだろう。この形が上手くいけば、△立石流の復権もありそうだ。

なお、本章の冒頭では後手が居飛車になる展開も少しだけ紹介されている。


第3章 角交換保留型vs中飛車 【第3章 角交換保留型vs中飛車】

初手から▲7六歩△3四歩▲2六歩△3三角▲4八銀△2二飛▲6八玉△4二銀▲7八玉△6二玉▲5六歩△5四歩▲5八金右△7二玉▲5七銀で【第3図】。

先手は堅く居飛車穴熊に囲いたいので、自ら角交換はせずに様子を見ている。後手もいったん向飛車に振り、様子を見る。章のタイトルは「中飛車」なので、「あれ?図面は間違いじゃないの?」と思った方もおられるだろうが、あとから中飛車に振り直して反撃する変化が出てくる。

本章では大きく分けると次の2つの策がある。
 (1)積極的に△5三銀〜△4四銀〜△5二飛から中央を攻める
 (2)△5二金左から持久戦策
我々アマには(1)の積極策がかなり有効だと思う。


第4章 角交換保留型vs石田流 【第4章 角交換保留型vs石田流】

【第3図】から△5三銀▲6六歩△6四歩▲6七金△8二玉▲7七角△7二銀▲8八玉△3五歩▲2五歩△3二飛▲1六歩△4二角▲2六飛△3四飛▲7八金△4四銀で【第4図】。

先手が居飛穴模様なのを見て、後手は石田流に組み替える。「居飛穴に石田流」は以前からある対策だが、本戦法では△4四歩と止めていないので、後手の左銀の進出が早い。先手は離れ駒を作らないように▲7八金としたが、ここから居飛穴に潜ろうとするとどうしても隙が生じる。また、隙が生じないように慎重に組もうとすると、先手の攻めがなくなる。

本章の指し方は一見攻撃的に見えるが、実は作戦勝ちを目指しているのでかなり高度な指し方だと思う。高段者や石田流の得意な人以外は、第3章の指し方を狙った方がいいかも。


第5章 角交換保留2五歩型vs向かい飛車 【第5章 角交換保留2五歩型vs向かい飛車】

初手から▲7六歩△3四歩▲2六歩△3三角▲2五歩△2二飛▲4八銀△4二銀▲6八玉△6二玉▲7八玉△5二金左▲5六歩△5四歩▲5七銀△7四歩▲5八金右△7二銀で【第5図】。

先手は居飛穴を目指しつつも、仕掛けを視野に入れて▲2五歩を早めに決める。そのまま互いに角をにらみ合ったまま、慎重に駒組みを進める。途中の△7四歩が奇異に移るが、△7二銀の瞬間に角交換〜▲8二角を警戒したもの。基本的には△7一玉型で戦う。

この後は、どのタイミングで△2四歩▲同歩△同歩の仕掛けができるかを検討。第1章と同様に、公平な視点にでの検討が好感度高し。


全体的に、どちらにも偏り過ぎない公平な視点がよかった。

この戦法は、2008年初めごろからA級棋士にも指され始め、まだまだ発展段階である。なので、最近出てきた▲7八金や▲9六歩などは載っていない。また、本書の発売とほぼ同時期に、週刊将棋で「対3三角戦法の決定版」が出たという記事もあったが、その後も指されているようなので戦法自体はつぶれていないようだ。

序盤の変化が多岐に渡る上、数少ない仕掛けのチャンスをうかがう将棋になるので、研究は結構大変かもしれない。しかし、角交換する・しないにかかわらず有力な居飛穴対策となりうるので、居飛穴に辟易している振飛車党が新境地を目指してもよいだろう。また、ゴキゲン中飛車にちょっと飽きちゃった人にもオススメ。

評価Aはやや甘めだが、全体的な印象はよかった。もしかして居飛車編もいつか出るかな…(2008Dec16)

※初版の誤植:
p75 (誤)▲5九飛 (正)▲5八飛
p116 (誤)▲同銀▲同玉ともに (正)▲同金▲同玉ともに
p124A図 (誤)▲4七歩・△4一金 (正)▲4六歩△5二金左

※▲9六歩…初手から▲7六歩△3四歩▲2六歩△3三角▲同角成△同桂▲2五歩△2二飛▲9六歩
もし△9四歩なら▲6五角△4五桂▲4八銀△5五角に▲9七香と逃げることができるので、▲6五角が成立するという意味。△は無理をせず、9筋を譲歩するのが無難。

※▲7八金……初手から▲7六歩△3四歩▲2六歩△3三角▲同角成△同桂▲7八金
もし△2二飛なら▲6五角△4五桂▲4八銀△5五角▲8八銀の意味。後手は第2章の指し方を目指すのが無難。


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【関連書籍】
 『
神出鬼没!! 窪田流3三角戦法 対居飛穴編』(2010.10)

[ジャンル] 
角交換振飛車
[シリーズ] マイコミ将棋ブックス
[著者] 
窪田義行
[発行年] 
2008年

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