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■新・アマ将棋日本一になる法

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新・アマ将棋日本一になる法
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新・アマ将棋日本一になる法 [総合評価] C

難易度:−
(棋譜部は★★★★)

図面:随時
内容:(質)B(量)A
レイアウト:A
解説:B
読みやすさ:A
初級〜高段者向き

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【監 修】 宮崎国夫
【出版社】 木本書店
発行:2008年8月 ISBN:978-4-905689-05-8
定価:2,310円(5%税込) 389ページ/19cm


【本の内容】
天野高志さん−極限状態で将棋を渇望した半生
遠藤正樹さん−豊富な練習量を支える情熱と仲間達
清水上徹さん−プロ公式戦予選選突破をねらう
田尻隆司さん−湧き上がる情熱で生涯トップに
早咲誠和さん−将棋モードでは隔絶した集中生活
山田敦幹さん−楽しさに執念を加え爆発させる
山田洋次さん−大会は普段の勉強法を試すとき
渡辺俊雄さん−気負わない自分らしい一手を
強豪列伝1・平畑善介−史上最強のアマ名人
強豪列伝2・大田学−最後の真剣師
強豪列伝3・小池重明−伝説の真剣師

◆内容紹介
現在の全国タイトルを席巻するアマ日本一各氏が、将棋との出会い、日頃の修練や昇段時期、大会での戦い方、お奨めの勉強方法・心構えなどを、これから強くなりたい人のために心を込めて全力で記した、熱い応援メッセージ。


【レビュー】
アマタイトル経験者が語る、上達法の本。『(秘)初公開!アマ将棋日本一になる法』(1986)以来、約22年ぶりの続編。

前作では文字通り「日本一(アマ棋戦で優勝)になるための勉強法」がメインで書かれていたが、本書ではそれだけでなく、「初心者から有段者まで」「有段者から県代表まで」「県代表から日本一まで」の3つにテーマが分けられている。ほかに、「オススメ本の紹介」「スランプ脱出法」「伝説の真剣師・小池重明についてどう思うか」など、幅広いテーマについて、現代のアマ日本一経験者8人から寄稿を受けている。そのため、幅広い棋力の層に対応している。

質問項目は以下の通り。

◆一問一答
・将棋を覚えた年齢、きっかけは?
・最初に覚えた戦法は?
・最初に読んだ将棋の本は?
・影響を受けた思い出の本は?
・お勧めの本は?
・好きな駒は?
・好きな囲い・玉型は?
・得意戦法・不得意戦法は?
・好きな戦法・嫌いな戦法は?
・好きなプロ棋士は?
・好きなアマ棋士は?
・ライバルは?
・好きな将棋の格言は?
・座右の銘は?
・自分の棋風は何派?
・縁起の担ぎ方は?
・何手先まで読むか、何手先まで読むべきか?
・将棋以外の趣味は?

◆自分の経験してきた勉強法(上達法)
・初心者〜有段者
・有段者〜県代表
・県代表〜日本一
◆お勧めの勉強法

※ここから先は、フォーマットどおりに答えている人もいれば、散文形式の人もいる。また、すべての質問に答えているわけではない。
◆将棋の魅力
◆将棋を指すこと、勝つことの意義
◆将棋を覚えて得したこと
◆アマ日本一になってよかったこと
◆大会の心構え
◆アマ日本一決勝戦を迎えた心境
◆スランプ脱出法
◆対プロ戦の心構え
◆今後の目標
◆伝説の真剣師・小池重明をどう思うか
◆仕事と将棋に関して
◆将棋に勝つにはどうしたらいいのか?

◆思い出の一局



各氏の意見をざっくりまとめておこう。

【オススメ本】
(1)天野:『将棋大観』
(2)遠藤:『大山・中原 激闘123番』,「戦いの絶対感覚シリーズ」,『先ちゃんの順位戦泣き笑い熱局集
(3)清水上:「羽生の頭脳」(全10巻),「最前線シリーズ
(4)田尻:「米長の将棋」(全6巻),『将棋は歩から』(全3巻),「羽生の頭脳」(全10巻)
(5)早咲:「将棋年鑑」(各年度),『光速の終盤術』,『読みの技法』,『角換わり腰掛け銀研究
(6)山田敦:(特に言及なし)
(7)山田洋:『決断力』,「羽生の頭脳」(全10巻)
(8)渡辺:『光速の終盤術』,『最前線物語(2)

【初心者から有段者までの勉強法】
(1)天野:(棋力別の上達法なし)
(2)遠藤:自分より少し強い友人に恵まれて、なんとか追いつこうとした。棋譜並べ、できれば短編実戦形の詰将棋
(3)清水上:道場で駒落ち定跡、自宅では詰将棋
(4)田尻:定跡書や「将棋世界」を読み、使えそうな戦法は繰り返し並べ、有段者相手に試す。感想戦で修正してもらう。
(5)早咲:対局数をこなす。またいろいろな対戦相手をこなす。
(6)山田敦:実戦を指し続ける。
(7)山田洋:自分よりちょっと強い人と指す/易しい詰将棋を解く/得意な戦型を見つける/ライバルを作る
(8)渡辺:良い先生に教わる。できれば道場でいろんな人と指す。

【有段者から県代表までの勉強法】
(1)天野:(棋力別の上達法なし)
(2)遠藤:強豪の将棋を観戦する。自分を覚えてもらうため、会ったことのある人には必ず自分から挨拶する。自分が日本一練習していると思えるくらい取り組む。
(3)清水上:自分より強い相手との実戦と感想戦/ひとつの戦型を追求
(4)田尻:平日は学校で愛好会仲間と研究、土日に有段者に挑戦。その後、棋譜並べ中心に切り替えた。
(5)早咲:若い人は覚えてから最短で自分が強くなれる方法を探すべき。
(6)山田敦:アマ強豪との研究会で揉まれた。
(7)山田洋:棋譜並べ/詰将棋(7手〜15手を毎日5問)/どんなに負けても常に上を向く
(8)渡辺:挑戦し続けること。あるひとつの局面を見る⇒それについて考える⇒実戦で試す、の繰り返し

【県代表から日本一までの勉強法】
(1)天野:(棋力別の上達法ではなく)「極限まで将棋を渇望し、将棋のことばかり考える」(幼少〜中学生で、親の転勤に伴って「田舎→都会→田舎」という環境の激変が彼を苦しめ、拒食症と不登校の極限状態だったという。しかしこれはオススメできないと本人談)/「棋譜をつける習慣(できれば頭の中で)」/「頭の中に盤面を設置(=脳内将棋盤)」/アマ日本一になりたければ、大きな犠牲を払う覚悟で/今も続けている勉強法は駒落ち(上手)
(2)遠藤:社会人なら毎日棋譜並べがオススメ。若くて時間があれば『大山康晴全集』、時間が少なければ『竜王羽生善治』。/将棋は強くなろうとした分だけ、確実に強くなれる/大会には積極的に出て経験を積む/負けてもすぐ帰らず、強い人の将棋を見ていく/∴自分の信じる方法を続けることが大事
(3)清水上:精神力・集中力・大局観を鍛える/道場での実戦と棋譜並べ
(4)田尻:以前(県代表まで)と同じ。とにかく棋譜並べと、自分より強い人との実戦の反復/強くなるための環境に身を置く
(5)早咲:実力+情報+分析能力が非常に大事。
(6)山田敦:必至問題をたくさん解く/いろいろやるべきことをやって、最後は天に運を任せると開き直る/〔棋力共通〕2ランク上の人と指しまくる
(7)山田洋:強い人の将棋を見る/強くなろうと思う意思を持つ/強くなっているという自信を持つ/それらを継続する。
(8)渡辺:(県代表までと同じ)

スランプ脱出法については、何も書いてない人もいるが、遠藤は「弱いから=将棋の勉強が足りないから」、山田洋は「(スランプに陥るのは)それだけ将棋に打ち込んだ証拠」と異なった見方をしているのが面白い。また、ネット将棋をオススメしている人は誰もいなかったのも興味深い(※ただし、もっと若い層にはほとんどネット将棋だけで強くなった人もいる)。


なお、(9)平畑善介 (10)大田学は前作からの再録。平畑の文中の「天野宗歩について」は『棋聖天野宗歩手合集』(内藤國雄,木本書店,1992)からの抜粋を再構成したもの。

また(11)小池重明については『小池重明実戦集』(宮崎国夫,木本書店,1998)からの抜粋。小池の列伝、というか武勇伝について書かれた内容で、上達法とはまったく無関係の話。どうして収録されているのかよく分からないが、小池の話をせずに日本一を語っても意味がないということだろうか?

(9)(10)(11)は話としては面白かったが、3人とも真剣師なので、前述の8人と比べて異質で、別の本を読んでいるようだった。正直言って、この「真剣師パート」約100pはカットして出版したほうが良かったと思う。

アマ日本一8人の話を比較しながら読んで、自分に合いそうな勉強法を探るのには非常に有用。しかし、果たしてこの価格(2,310円)に見合うほどのものか?前作が780円で出ているだけに、余計そう思う。各人の自戦記にかなりのページが割いてあるのも疑問符。

せっかくの良質な筋肉の上に、無駄な脂肪をいっぱいつけちゃったという印象だ。余分なものを削ぎ落としてスリム化し、1000円前後で出してくれたら、前作同様にAだったのになぁ。(2009Feb25)

※個人的なお役立ちメモ:
天野「角落(下手矢倉)では▲4六角を狙いたい。△4四歩に位負けしないようにとノータイムで▲4六歩を突く下手が多い。玉の囲いは飛先よりも優先する。」


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【関連書籍】
 『
アマ将棋日本一になる法
[ジャンル] 
上達法
[シリーズ] 
[著者] 
宮崎国夫
[発行年] 
2008年

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