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■光速の終盤術

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光速の終盤術
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光速の終盤術 [総合評価] S

難易度:★★★★☆

図面:見開き4枚
内容:(質)S(量)A
レイアウト:A
解説:S
読みやすさ:B
有段者向き

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【著 者】 谷川浩司
【出版社】 日本将棋連盟
発行:1988年12月 ISBN:4-8197-0204-1
定価:2,000円 285ページ/22cm/H.C.
光速の終盤術(将棋連盟文庫)
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将棋連盟文庫
光速の終盤術
 

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【著 者】 谷川浩司
【発 行】 日本将棋連盟
【販 売】 毎日コミュニケーションズ
発行:2011年2月 ISBN:978-4-8399-3844-4
定価:1,155円(5%税込) 384ページ/16cm


【本の内容】
※ページ数はオリジナル版のものです。
第1章 直線と曲線 (1)終盤のテーマ (2)水面下の激戦 (3)相手玉との距離感
(4)入玉の心得 (5)直線の中の盲点 (6)後からの悪手
60p
第2章 終盤の岐路 (1)方針の岐れ道 (2)流れをつかむ (3)中盤に押し戻す
(4)発想の転換 (5)長考の主役
48p
第3章 勝つための終盤術 (1)条件を定める (2)終盤の基礎体力 (3)あきらめは禁物
(4)読みがすべて (5)必至よりも即詰み (6)争点の見極め
(7)終盤の視野
72p
第4章 逆転の終盤術 (1)終盤の座標 (2)不利な終盤の心得 (3)心理的な危機感
(4)駒損での考え方 (5)駒損の代償 (6)驚くべき順
(7)相手玉に近づく
74p

・参考棋譜(25局)=25p

◆内容紹介
“光速の寄せ”と呼ばれる谷川浩司名人の終盤のテクニックをあますことなく公開。自らの実戦25局を題材に、初めて終盤というジャンルに鋭くメスを入れた。初心者から有段者まで、強くなるための、そして勝つための寄せの秘術を満載。

◆内容紹介(文庫版)
本書は、谷川浩司九段が「光速」と称されるその比類なき終盤力を惜しげもなく披露した名著「光速の終盤術」を文庫化したものです。トップ棋士との終盤戦の一手一手を自ら徹底的に解説し、その深い読みを精緻に描き出しています。光速の寄せが炸裂するとき、谷川九段は何を、どう考えているのか。
具体的な手順はもちろんのこと、谷川九段による終盤戦における基本姿勢、考え方も随所に散りばめられた究極の終盤術指南書です。
詳しい解説と、今回の文庫化にあたり参考図を多数配したことで、棋力に関係なく、読んで面白くかつ大いに役立つ一冊となっております。
本書を読んで終盤力、そして勝率アップに大いに役立ててください。


【レビュー】
終盤限定・自戦記形式の実戦解説集。「将棋マガジン」誌に2年間連載された“光速の周辺”にさらに加筆したもの。

谷川の実戦を題材に、終盤の考え方を詳細に解説している。「本書では、勝ちを読みきった局面から、投了に至るまでの過程を、終盤戦だけに焦点を絞って解説していきたい」(8p)終盤は読みが最重要なので、どうしても解説が難しくなるが、本書では谷川の思考と読みを惜しげもなく徹底的に披露している(もっとも、文章に書かれていることの何倍も読んでいるはずだが)。『谷川浩司の戦いの絶対感覚』(2003)の“終盤の絶対感覚”だけを集めたもの、という感じか。

単なる読みの解説だけでなく、参考になる考え方が随所に記されているので、いくつかをメモしておく。

・「読みの筋をなるべく単純に、直線的なものにする、というのが優勢なときの終盤戦を乗り切る心得である。」(10p)
・「有利なときは直線、不利なときは曲線。」(16p)
・「受けなくてもいい局面で受けに回ったために、かえってより大きな危険に陥るということはよくある。駒があたっているからすぐ逃げる、というのではなく、もう一歩掘り下げた発想を持ち、その守る一手の代わりに間隙をついた攻めがないか、という疑問を常に頭の片隅に入れておいていただきたい。」(24p)
・「大切なのは、今自分が一局の中の大きな岐路に立っている、ということを判断する大局観である。それを見極めた上で、読みを掘り下げていくことが必要である。」(68p)
・「終盤を乗り越えるコツの一つは、まず与えられた局面におけるはっきりとした条件を設定すること。その条件の設定さえしっかりとしていれば、読みの筋を極端に簡略なものにできる。」(126p)
・「単純なトレーニングを数をこなしてしっかりとした基礎体力を身につける。終盤を乗り越えていくための最良のトレーニング方法は、やさしい詰め将棋を何題も解くこと。」(137p)
・「油断しない、あきらめない。将棋は人と人との戦いだからである。」(147p)
・「終盤戦は感覚で指してはいけない。(中略)少しでも多くの情報を集め、一歩でも深く読みの裏づけを取らなくてはいけない。」(153p)
・「優勢な側は単純化を、不利な側は複雑化を、というのは終盤戦における考え方の一つの基軸といえる。」(159p)

なお、タイトルは“光速の終盤術”だが、光速の寄せの将棋ばかりではなく、「光速を断念」(26p)することもある。なぜ断念して地味な展開に回ったのか(1-2)、なぜゆっくり受ける展開にしたのか(2-3)、その周辺の読みが詳細に記されている。

内容は非常に高度で難解だが、わたしでも十分ついていけるような丁寧な解説がうれしい。本文だけを追っていくと多少読みにくいので、巻末の棋譜を途中まで並べておいて、それから本文についていくと良い。

棋譜を並べるだけの価値は十分あるし、本文中にさまざまな示唆があって読み甲斐がある。実戦の終盤のみをここまで精緻に解説した本はほとんどないはず。感覚を吸収するために何度も並べたい一冊だ。(2004Sep10)



【関連書籍】

[ジャンル] 
終盤の手筋
[シリーズ] 
将棋連盟文庫
[著者] 
谷川浩司
[発行年] 
1988年 2011年

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