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将棋連盟文庫 羽生の頭脳(4) 角換わり・ヒネリ飛車 |
[総合評価] A 難易度:★★★★ 図面:見開き4枚 内容:(質)A(量)A レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:A 上級〜有段向き |
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【著 者】 羽生善治 | ||||
【出版社】 毎日コミュニケーションズ | ||||
発行:2010年7月 | ISBN:978-4-8399-3637-2 | |||
定価:1,155円(5%税込) | 448ページ/16cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
◆内容紹介 |
【レビュー】 |
角換わり、相掛かりの定跡書。 ==(以下、しばらく『羽生の頭脳(1) 四間飛車破り(文庫版)』とほぼ同じです== 「羽生の頭脳」全10巻(1992〜1994)は、トップ棋士が書いた定跡書シリーズの金字塔である。代表的な戦型を網羅し、都合の良い変化を排除して公平に検討した。そのため、定跡が進化しても「基本は『羽生の頭脳』で覚えられる」とされ、異例のロングセラーを記録している。 本書は、シリーズの第7巻「角換わり最前線」と第8巻「最新のヒネリ飛車」を合本し、文庫化したものである。 基本的に内容はオリジナル版とまったく同じ。右図のように前半がオリジナル7巻、後半がオリジナル8巻の内容になっている。2冊をそのまま貼り合せたような構成になっていて、8巻部分の目次は本体の真ん中にある。 変化した点はわずかで、以下の2つくらい。 (1)文庫化に合わせてフォントサイズ、盤面図が小さくなっている (2)文庫化用のまえがきの追加 ==(ここまで)== 本書は、前半の角換わりと後半の相掛かりはまったく別物であり、特に関連性はない。 前半の角換わりは、いわゆる「純正角換わり」で、「一手損角換わり」ではない(オリジナル版出版当時は一手損角換わりはまだなかった)。大きく分けて、(1)▲棒銀、(2)角換わり腰掛銀、(3)△棒銀、の3戦型を扱っている。 このうち(2)角換わり腰掛銀は現代でもプロで指されているので、基本から知りたい人にはよい。現代では歩を突き捨てる順番がいろいろ工夫されたり、2筋交換後に▲2六飛と引く形が現れたりしており、本書の形は少し古いのだが、基本であることは間違いない。また、一手損角換わりを理解するには腰掛銀の知識がある程度必要なため、やはり必修である。 後半は相掛かり。タイトルではオリジナル版と同様に「ヒネリ飛車」と書かれているが、相掛かり全般を扱っている。ただし、現代の相掛かりは「▲引き飛車棒銀」が全盛で、本書の(1)ヒネリ飛車、(2)▲3七銀、(3)腰掛銀、はほぼ「消えた戦法」である。特にヒネリ飛車は、後手の囲いが工夫されたり、千日手含みの待機策が開発されるなど、先手にとって面白くない戦法となっているようだ。後半の内容は、引き飛車棒銀の基本となるようなことも少なく、残念ながら今では古典と思って鑑賞することになるだろう。そもそも、アマでは相掛かりの後手番を喜んで持つような人もほとんどいない。 純粋に本の内容だけを見ればAでよいのだが、現代将棋で実戦の勝率upを目指すなら必要性は薄い。純正角換わりの基礎と相掛かりの古典定跡を知りたい人か、文庫版を新刊でコンプリートしたい人なら買い。(2010Jul29) ※誤字・誤植等: p228〜p229の後半部分の目次が実際のページに対応していない。(2014May04追記,名無しさん情報thx!) p364 第5図 初版第3冊において、持ち駒が「▲なし △歩三」となっているそうです。「▲歩 △歩」(一枚ずつ)が正しいです。(2016Dec07追記,初級者さん情報thx!) なお、オリジナル版第7刷では、そのような誤りはありませんでした。 |