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羽生の頭脳 8 最新のヒネリ飛車 |
[総合評価] A 難易度:★★★★ 図面:見開き4枚 内容:(質)A(量)B レイアウト:A 解説:A 上級〜有段向き |
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【著 者】 羽生善治 | ||||
【出版社】 日本将棋連盟 | ||||
発行:1994年3月 | ISBN:4-8197-0317-X | |||
定価:971円 | 222ページ/19cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||
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【レビュー】 |
相掛かりの定跡書。 サブタイトルに「最新のヒネリ飛車」とあるが、目次の通り、普通の相掛かりも載っている。「相掛かりとヒネリ飛車」と書いてくれればいいのに(笑)。実際わたしは、この本をちゃんと手に取るまでは「「羽生の頭脳シリーズ」は相掛かり編はないのか…」と思っていたくらいである。 それはさておき。もともと相掛かりは、序盤に難所が多い上に、ハッキリしない戦いになりやすい。羽生自身も「実戦経験が少なく、研究課題が多い」としている。それでも本書は相掛かり戦法を比較的分かりやすく解説していると思う。少なくとも、相掛かり戦での考え方と呼吸は感じられる。 各章の内容を、チャートを添えて紹介していこう。 第1章はヒネリ飛車。「先手だけ歩を持って、石田流の理想形が作れる」ということで、一時は「先手必勝の定跡ができるならヒネリ飛車だろう」とまでいわれた戦法である。しかし、本書出版時にはすでに後手が玉を堅くして待つ手法が開発されている。本章では、序盤での▲1六歩と▲9六歩のわずかな違いが大きな違いとなるところに注意。 章末では5pだけ塚田スペシャルにも触れている。 第2章は▲3七銀戦法。▲3七銀型から▲3五歩△同歩▲4六銀と突っかけてから玉の整備に移るという、ちょっと変わった戦い方になる。現在(2011年)ではすっかり「消えた戦法」になっているものの、先手が主導権をとりやすい捌きは魅力的。 第3章は相掛かり腰掛け銀。1980年代まではよく指されていたが、本書の出版時点(1994)にはすでにほとんど「消えた戦法」となっており、腰掛け銀を詳しく解説した本は本書が最後になっている。 現在でも、相掛かり定跡書としては最新(注:2002/10時点)。これから相掛かりを本格的に指してみようという人は、とにかく本書からスタート(※)。ただし、五手爆弾や塚田スペシャルについてはさらっと流してあるので、他書で補う必要あり。(2002Oct22記,2011Mar29大幅改訂) ※2011年現在では、相掛かりは引き飛車棒銀が全盛なので、本書の戦型は先手が望んだときのみ現れる。相掛かり後手番はあらゆる戦型に対応する必要があるので、『最新の相掛かり戦法』(野月浩貴,日本将棋連盟発行,MYCOM販売,2010.02)で足りない部分を本書で補おう。 |