相振り革命 3 | [総合評価] S 難易度:★★★★ 図面:見開き4枚 内容:(質)A(量)A レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:A 上級〜有段向き |
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【著 者】 杉本昌隆 | ||||
【出版社】 毎日コミュニケーションズ | ||||
発行:2005年5月 | ISBN:4-8399-1746-9 | |||
定価:1,449円(5%税込) | 256ページ/19cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
・【相振りワンポイント】左右逆の勧め/弟子との研究会より/棒金戦法/師弟関係とは/谷川九段との対戦 |
【レビュー】 |
相振飛車の定跡書。 相矢倉や横歩取り△8五飛に閉塞感が漂い始め、まだまだ定跡が未整備の相振飛車がプロでも流行している。振飛車党の棋士だけでなく、居飛車党のA級棋士も相振りを積極的に指すようになり、タイトル戦でも現れ始めた。同時に研究が加速し、相振りそのものの考え方が進歩したり、さまざまな作戦が登場している。 本書の各章は大別すると4種類に分かれる。 第1章「現代相振りの考え方」、第3章「端歩の考え方」は、文字通り「考え方の解説」。相振飛車は自力で作戦を構築していく部分が大きいので、必ず読んでおきたい。特に第3章は、端歩の利点と欠点、囲いと端歩との相性、囲い側が端歩を突ける形などについて書かれている。これらは研究が進んでもほぼ普遍の考え方なので、必見だ。 第2章「速攻矢倉崩し△3三角戦法」、第7章「山ア流銀冠」、は、ユニークな作戦の紹介。本筋かどうかは怪しいが、実戦的に面白そうな感じがする。 第4章「△3三角戦法対▲矢倉」は本書のメインテーマ。△3三角〜向飛車の構想に対し、先手が飛車を振る前に▲3七銀型を作って矢倉に組もうというもので、相振りでいま最もアツい戦型の研究を披露。後手がどんな囲いを選ぶかで大きく全体の流れが変わる。この章だけは、他の章よりも少し難度が高く感じた。 最後に第5章・第6章・第8章は、知らないと相当苦戦しそうな作戦の紹介と対策。第5章は▲新ゴキゲン中飛車への対策、第8章は△3三角戦法に対し先手が矢倉を目指したとき(第4章)、先手を居飛車に限定させるか、または相振飛車になった場合は作戦勝ちを目指せるという作戦だ。また第6章は相石田流の変化で、前著『新相振り革命』の続き。前著では“相三間飛車は地味な相金無双になりがち”が結論だったが、「戸部流」が発見されて互いに高美濃に組めることが分かった。 全体的に相振り感覚を重視した解説が前著よりも多くなり、最初の『相振り革命』に似た印象を受けた。実戦譜がないのがちょっと残念だが、これだけのボリュームであれば十分満足だ。 相振飛車は、囲い・飛車の位置・端歩の関係で戦型そのものが多岐にわたるため、当分は研究し尽くされることはないだろう。頼りになるのは正しい大局観と、経験と、正確な読みである。本書で最新の相振り感覚を会得していただきたい。(2007May05) |
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