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パワーアップシリーズ 二枚落ち裏定跡 |
[総合評価] A 難易度:★★★☆ 図面:見開き4枚 内容:(質)A(量)A レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:A 上級〜有段向き |
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【著 者】 所司和晴 | ||||
【出版社】 日本将棋連盟 | ||||
発行:2005年9月 | ISBN:4-8197-0381-1 | |||
定価:1,365円(5%税込) | 206ページ/19cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||||||||||
◆内容紹介(日本将棋連盟HPより) |
【レビュー】 |
二枚落ちの“裏”定跡書。『【決定版】駒落ち定跡』に載っていない変化や形を解説。 「裏定跡」とは何だろう? 正確な定義は難しいが、わたしは次のように捉えている。 (1) 多くの定跡書に載っていてよく知られている変化が「本定跡」であり、あまり載っていないものが「裏定跡」。 (2) ちょっとした違いでありながら、本定跡と同じ指し方をすると下手が苦しくなる。 (3) 下手が正確に対応すれば、本定跡よりも上手が苦しくなる。 人によって違うと思うが、だいたいこんなところだろう。 本書ではそのような「裏定跡」を解説。「本定跡をだいたい知っている」&「ある程度の実戦経験がある」というのが前提なので、やや間口は狭い。ただし必要な人にとっては必読の書となる。 第1章/第2章/第4章は「二枚落ち三大定跡」の変化。裏定跡というよりは「裏変化」。やや守備偏重のものが多いが、違いを理解せずに本定跡風で行くと紛れやすい。 第3章/第5章/第6章は指し方そのものが定跡書に載っていなかったもので、まさに「裏定跡」。どちらも知識が少ないので、定跡型に飽き足りない人は採用してみるのも面白い。 第3章の「多伝殺し」は、渡辺明ブログ2005-10-09では「見たことがない上手の手」とあり、確かに定跡書ではわたしも見たことがない。ただし駒落ち実戦集『石垣流二枚落大血戦』の塚田正夫九段戦で、似た形が採用されている(本書とは後の展開が違う)。「必ず銀多伝をやってくる」という下手相手には、かなり有効な変化球になる。 第5章は上手がすばやく矢倉型にする指し方。二枚落ちでは上手が△2二銀-△3二金型を強要されることが多く、これが避けて序盤から突っ張るわけだ。定跡丸暗記の下手には有効だが、3四が弱点であることはすぐバレるので、あまり有力ではないと思う。定期指導将棋でなら1回くらいやってみてもいい。 第6章は右図のような布陣。『新・駒落革命』にも似たような思想の指し方があるが、本書のものもおそらく新定跡。二枚落ちで必須とされる「4筋の位」を取らず、代わりに▲3五歩-▲3六銀型を確保するというもの。この3六銀型が素晴らしい好形であり、平手でもぜひ目指したい形である。本書では、早い段階で仕掛けて「結論として、上手が秘術を尽くすと下手ハッキリせず。通常の4五歩位取り定跡の方が明快」となっているが、工夫次第で最有力定跡になりうると思う。たとえば、3六銀型を作ったら飛先を突くのは後回しにして、玉形をがっちり整備してから仕掛けるとか…。腰掛銀型と違って進展性が高く、上手を完封しながら戦えるのではないだろうか。 駒落ち本自体があまり売れないらしいのに、「裏」だけで一冊出せたのにはビックリ&感動。この調子で「飛落ち 完全版」のようなものもお願いします(笑)。ただ、本書の売れ行きがイマイチだと駒落ち定跡書の出版自体が難しくなっちゃうかな…。(2005Oct18) ※それにしても、なぜ表紙で玉将が迷路の中に…?と思ったら、オビにありました。「二枚落ちの迷路からあなたを救い出す!『【決定版】駒落ち定跡』の著者が贈る二枚落ちのナビゲーション」だそうです。 ※二枚落ちに詳しくなりたい人は『定跡なんかフッとばせ』『最強の駒落ち』も併せて読むと効果的。 ※【宣伝】銀多伝メインの方は、弊HPの中田章道六段との指導対局も参考にしてくださいね(笑)。 |
【関連書籍】 |
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