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■新手ポカ妙手選 振り飛車編

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新手ポカ妙手選 振り飛車編
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マイナビ将棋文庫
新手ポカ妙手選 振り飛車編
[総合評価] B

難易度:★★★

見開き1問
内容:(質)A(量)A
レイアウト:A
解答の裏透け:A
解説:B
読みやすさ:A
中級〜向き

【著 者】 勝又清和
【出版社】 マイナビ
発行:2013年9月 ISBN:978-4-8399-4822-1
定価:1,155円(5%税込) 420ページ/16cm


【本の内容】
新手1号局の章 No.1〜No.18
【コラム】1号局の思い出など/早石田の歴史/ゴキゲン中飛車、礎の将棋/角交換四間飛車の話
18テーマ
新手その他の章 No.19〜No.32 14テーマ
珍手・珍形・ポカの章 珍手・珍形編 No.33〜38
ポカ編 No.39〜58(頓死、奇手なども)
26テーマ
妙手の章 中盤 No.59〜80
終盤 攻め No.81〜101
終盤 受け No.102〜128
終盤 寄せ No.129〜187
終盤 詰み No.188〜200
142テーマ

◆内容紹介
将棋世界の超人気付録「新手ポカ妙手選」12年分を全面的にリライトして文庫化!

「将棋に人生を懸けているプロ棋士の技や感動を、出来うる限り分かりやすく将棋ファンの方にお伝えする、それが僕の役割・ライフワークだと思っており、『新手ポカ妙手選』もそんな気持ちで続けています」(まえがきより)

1年に一度、その年に現れた新手、ポカ、妙手を選び、勝又六段が分かりやすく解説する「新手ポカ妙手選」この付録を毎年楽しみにしている読者の方も多いのではないでしょうか。
今回、その付録をなんと12年分まとめた書籍が完成しました。
書籍化にあたって、新手は「新手1号局」というテーマも込め、加筆・修正。また問題は、手筋もの・面白い手順やエピソード・感動的な手や手順など、読者の皆さんが読んで楽しめるもの、棋力向上につながるものが選ばれています。

心血を込めたプロの指し手を、勝又プロの丁寧で楽しい解説で堪能し、感嘆し、ときどき笑ってください。


【レビュー】
新手・ポカ・妙手の珍プレー・好プレー集。「将棋世界」誌の付録「新手ポカ妙手選」の12年分のうち、振飛車に関するものを撰集している。

「新手ポカ妙手選」は、「将棋世界」誌の人気付録。1年間に指された公式戦から、勝又がファンに伝えたいと思った手を39個ピックアップし、次の一手形式にまとめたもの。付録なので、ポケットサイズに仕上がっている。確か、2001年6月号の「2000年妙手ポカ選」から始まり、2003年4月号の「新手・ポカ・妙手選2002」から新手が紹介されるようになった。付録の月号は固定されていないが、おおむね3月号〜7月号のいずれかに付いてくる。


本書は「次の一手問題集」というわけではないが、基本的に次の一手形式で書かれている。プロの実戦からの出題なので、必ずしも最善手が答というわけではない。読み物というイメージで捉えるべし。特にポカ編は熟考しても仕方ないので、局面を把握して自分だったらどう指すかを少し考えたら、さっさと答を見よう。なお、答が裏透けで見えてしまわないように網掛けを施してあるのはGood。


また、本書は大きく分けて「新手編」「珍手・ポカ編」「妙手編」の3つに分かれている。



新手編は、早石田、ゴキゲン中飛車、角交換振飛車に絞られている。主だったところを以下に挙げておく。

〔早石田〕
鈴木新手7手目▲7四歩 2004/05/13 この手から石田流の大復活が始まった。
2手目△3二飛 2007/12/11 手番での升田式石田流ができるようになり、角交換振飛車とのミックスもあって、後手の作戦が広がった。これを防ぐために、初手を▲2六歩にする居飛車党が増加。
久保新手▲7五飛 2009/02/28  

〔ゴキゲン中飛車〕

新丸山ワクチン▲7八銀 2003/06/19 旧来の▲7八金を改良したもの。あまり書籍化されていないが、公式戦で約50局指されている。
新丸山ワクチン
・佐藤新手▲9六歩
2005/02/17 上の▲7八銀の前に9筋の歩突きを入れた改良型。△5五歩からの歩交換を牽制している。現在は丸山ワクチンといえばほとんどこれ。なお、後手は9筋を受けなければ5筋歩交換は可能(ゴキ中の本家・近藤は『ゴキゲン中飛車で行こう』(2013.08)で9筋受けずを推奨))
佐藤新手△1二飛 2005/07/21 佐藤康光の変則ぶりがMAXだったころに出た手。成立していることにみんなが驚いたが、あまり真似はされなかった。
対丸山ワクチン
・遠山流△7二金
2006/06/03 △7二金の1手で8三と6三を守り、5筋歩交換を目指している。
△2五桂ポン 2007/07/09 現在ではゴキ中戦だけにとどまらず、角交換系の振飛車戦では互いに常に意識すべき攻め筋となった。
超速 2009/12/25 現在の主流戦法。それまでのゴキ中戦を大きく塗り替えた。

〔角交換振飛車〕

発端 2003/11/13  
9筋連続突き 2005/11/18 この辺から、「手損より形」という考え方に大きくシフトしていった。
ダイレクト向飛車 2007/02/19 手損振飛車で手得しようという、やや矛盾した思想をはらみつつも、角交換系振飛車の「▲6五角問題」の発展に大きく貢献。


また、コラムで早石田・ゴキ中・角交換振飛車の歴史などを解説している。



ポカ編は、大ポカの失着や、二歩などの反則も紹介。

No.42(ポカ)は近藤の自戦記本(『ゴキゲン中飛車で行こう』(近藤正和,日本将棋連盟発行,マイナビ販売,2013.08))にもあったなぁ。本書の方が顛末が詳しく書かれている。

No.58の糸谷の反則は前代未聞で、取った駒を駒台に置いた上で、取る側の駒を違う升目に移動させたというもの。図面で表すのは難しいものだが、ぜひ見てほしい。(なお、糸谷は奨励会時代に取った駒を相手の駒台に置くという反則もやっているそうだ。どういう状況なのか想像できない(@_@;) )



妙手編は、プロの実戦で出た妙手を、要点を絞って解説。

妙手は、定跡書や実戦集ではたまにしか出てこず、次の一手問題集では頻出するものの、答が一つになるように局面が完璧に造られ過ぎているきらいがある。

この妙手編で出てくるのは、唯一の答ではないものの、実際にプロ公式戦で実現した「生きた」妙手たちである。



【総評】
本書に新手・ポカ・妙手が一堂に集められているのは、勝又の次の言葉に集約されている。

  「この手を素晴らしいと思っていただける将棋ファンを増やしたい。それが私の願いだ。」(p274)



だが、本書は全200テーマのボリュームにもかかわらず、少々物足りない。

個人的には、新手編にもっと重きを置いてほしかった。新手の勃興と隆盛、衰退はまさに将棋の戦法史そのものであるが、これらをちゃんと書き遺した本が非常に少ないのである。勝又の『消えた戦法の謎』(MYCOM,1995/2003)は数少ない例の一つで、文庫版では単行本からの8年間の流れまで補足してあり、後世まで遺しておきたい一冊だった。

本書にもそのレベルを期待していたのである。コラムでのフォローや、古くなった文章の修正など、ある程度のものに仕上がってはいるが、一問一答形式の枠内のためにさまざまなものが削られている。

「将棋世界」の定期購読をしていない人にとっては、コスパも高くて悪くない一冊だと思う。勝又のこれまでの本から感じられる「伝えたい」という思いに対して、わたしの期待が高すぎるのかもしれない。(2013Nov29)



【関連書籍】
 『
新手ポカ妙手選 居飛車編

[ジャンル] 
珍プレー・好プレー
[シリーズ] 
マイナビ将棋文庫
[著者] 
勝又清和
[発行年] 
2013年

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