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■新鋭振り飛車実戦集

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新鋭振り飛車実戦集
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新鋭振り飛車実戦集 [総合評価] C

難易度:★★★★

図面:見開き4枚
内容:(質)B(量)C
レイアウト:A
解説:A
読みやすさ:A
上級〜有段向き

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【著 者】 戸辺誠 遠山雄亮 長岡裕也 高ア一生
【出版社】 毎日コミュニケーションズ
発行:2008年2月 ISBN:978-4-8399-2769-1
定価:1,449円(5%税込) 224ページ/19cm


【本の内容】
第1章 戸辺誠四段 ・ゴキゲン中飛車の快勝譜―対加藤一二三九段戦(H19.08.22 第1回朝日杯)
 △ゴキゲン中飛車vs▲丸山ワクチン9六歩
  (研究1)「2筋の逆襲を目指す」基本図から▲5八金右の変化
  (研究2)「大決戦は歓迎」△3五同銀に▲3八飛△3二飛の変化
・石田流を巡る戦い―対広瀬章人五段戦(H19.05.22 第79期棋聖戦一次予選)
 ▲石田流vs△美濃囲い
  (研究1)「大流行の銀冠」△6五歩と仕掛けず持久戦を目指した場合
・先手中飛車の大熱戦―対飯塚祐紀六段戦(H19.03.20 第57期王将戦一次予選)
 ▲5筋位取り中飛車vs△7二飛型
  (研究1)「飛の引き場所」▲7八飛に△7四飛の変化
【コラム】ゴキゲン中飛車のすすめ
54p
第2章 遠山雄亮四段 ・玉頭位取りとの攻防―対木下浩一六段戦(H19.11.27 第66期C級2組順位戦)
 ▲三間飛車〜石田流vs△玉頭位取り
  (研究1)「いかに得してさばくか」▲8六飛に対する後手の変化
  (研究2)「4枚の攻めは切れない」寄せのポイント
・居飛車穴熊との戦い―対大野八一雄六段戦(H18.12.01 第20期竜王戦6組)
 △四間飛車5四銀型vs▲居飛車穴熊
  (研究1)「端攻めの攻防」△9七歩への対応
・記念すべき名人との初対戦―対森内俊之名人戦(H19.07.27 第15期銀河戦)
 △ゴキゲン中飛車vs▲丸山ワクチン9六歩
  (研究1)「遠山流について」△7二金の変化
  (研究2)「将棋は1手勝てばよい」▲5二角成に対して
【コラム】自戦記とブログ
54p
第3章 長岡裕也四段 ・3二銀型四間飛車対山田定跡―対児玉孝一七段戦(H19.11.27 第66期C級2組順位戦)
 △四間飛車vs▲山田流3五歩早仕掛け(△5四角型)
  (研究1)「手順前後による居飛車の変化手順」
・3二銀型四間飛車・角交換型―対伊藤能五段戦(H18.07.11 第19期竜王戦6組)
 △四間飛車vs▲3八飛(角交換型)
  (研究1)「有力な仕掛け」△6三金に▲3五歩
・3二銀型四間飛車対鷺宮定跡―対櫛田陽一六段戦(H18.06.02 第19期竜王戦6組)
 △四間飛車vs▲鷺宮定跡
  (研究1)「1筋の突き合いと鷺宮定跡」
【コラム】後手番の珍作戦
54p
第4章 高崎一生四段 ・会心の一局―対佐藤紳哉五段戦(H18.05.09 第78期棋聖戦一次予選)
 ▲四間飛車藤井システム
  (研究1)「先手十分の戦い」△6四銀の変化
・劣勢をはねかえす―対西尾明四段戦(H18.06.20 第65期C級2組順位戦)
 ▲四間飛車藤井システム
  (研究1)「後手の強襲」△7五歩〜△8六歩〜△4五歩の変化
  (研究2)「苦しい戦い」▲4四歩に△同銀の変化
・飛損の手順に踏み込む―対児玉孝一七段(H19.12.18 第66期C級2組順位戦)
 ▲四間飛車藤井システム
  (研究1)「端攻め開始」▲3五歩△同歩▲1三桂成の変化
  (研究2)「意外に難しい」▲1四歩△同歩▲4五銀などの変化
【コラム】四間飛車党の今
54p

◆内容紹介(MYCOMホームページより)
本書は新進気鋭の振り飛車党4人による自戦記集です。戦型は四間飛車、中飛車、三間飛車に加え、最近流行の角交換型向かい飛車を収録しています。序盤の変化や終盤のポイントについては「研究」と題して、深く詳しい解説をしています。
若手棋士がどのような考え方をして振り飛車を指しているのかが、よくわかる一冊となっています。


【レビュー】
若手振飛車党の自戦記集。

デビュー2〜3年のイキのいい若手振飛車党が1人あたり3局を自戦解説。1つの自戦記にはたいてい2つの「研究」コーナーが挿入され、序盤定跡の研究や詳しく検討しておきたい変化などを2〜4ページを使って詳しい解説がされている。

著者の紹介をしておこう。

戸辺誠(とべ・まこと)四段:(Wikipedia
 2006年10月四段昇段。初参加の竜王戦6組でいきなり優勝。先手では石田流が得意。
遠山雄亮(とおやま・ゆうすけ)四段:(Wikipedia
 2005年10月四段昇段。ゴキゲン中飛車の新丸山ワクチン対策「遠山流」で知られる。ブログでも活躍。
長岡裕也(ながおか・ゆうや)四段:
 2005年4月四段昇段。研究派で知られる。本書では△3二銀型四間飛車vs居飛車急戦を披露。
ア一生(たかざき・いっせい)四段:(Wikipedia
 2005年10月四段昇段。「高崎」と書かれることが多いが、「はしごたか」「たつさき」の組み合わせが正しい。(「」「ア」は機種依存文字)

「研究」は、本編よりわずかに小さいフォントサイズなのだが、網掛け枠などレイアウト上の工夫が足りないため、どこで本編に戻っているのかが分かりにくい(どこから「研究」に入ったかは分かりやすい)。前から順番に読む場合には支障がないだろうが、わたしは棋譜を最初に全部並べてから解説を読んだので、ちょっとやりにくかった。このあたりは少し残念、編集者が少し手間をかけることで改善できたと思う。

形式こそ違うが、以前あった「振り飛車党宣言」シリーズと似たコンセプトの本だと思えばよいだろう。「振り飛車党宣言」では定跡編と自戦記編で章が分かれているが、本書では自戦記の中に定跡研究解説や中終盤の研究を取り入れていると思えばよい。

内容紹介の通り、本書発売時点(2008年2月)ですでに対局から1年半以上経過したものもあり、「フレッシュな若手の研究を披露」という点に関しては、すでに鮮度が落ちているのではないかと思うが、その点はあまり気にせずに、数年後にタイトル争いをするかもしれない若手の戦いを素直に楽しめばよいと思う。

少し残念なのは、4人の文章にあまり個性が感じられないこと。唯一、高崎の文体に「○○は△△でどうか。」というクセがあるくらいか。編集者にかなり修正されてしまったのかもしれないが…。現代では棋譜だけを見ても指している棋士名を当てるのは難しいので、せめて文章にはもっと自分を表現してほしいと思う。

一つ一つの自戦記は普通に読み応えがあったし、研究も役に立ったのだが、量が少ないのとジャンルがバラバラなのを考慮するとBに近いCで止めておく。簡単な解説付きの棋譜を数譜ずつ追加してくれれば、もっと各棋士の棋風が分かってよかったかと思う。(2008May15)



【他の方のレビュー】(外部リンク)
将棋棋書ブログ
ものぐさ将棋観戦ブログ
歯科棋士なおの戯言〜将棋も結婚も我が人生〜
三軒茶屋 別館(後半部)
将棋チェスネット−千日亭
Amazon.co.jp: カスタマーレビュー




【関連書籍】
 『
新鋭居飛車実戦集
[ジャンル] 
自戦記
[シリーズ] マイコミ将棋ブックス
[著者] 
戸辺誠 遠山雄亮 長岡裕也 高ア一生
[発行年] 
2008年

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