zoom |
将棋は歩から 下巻 | [総合評価] A 難易度:★★★ 〜★★★★ 図面:見開き4枚 内容:(質)A(量)A レイアウト:A (横書き、2色刷) 解説:A 読みやすさ:B 中級〜有段向き |
||
【著 者】 加藤治郎 | ||||
【出版社】 東京書店 | ||||
発行:1970年10月 | ISBN: | |||
定価:480円 | 302ページ/18cm |
(愛蔵版・函) zoom 将棋タウンさんhtx! |
愛蔵版 将棋は歩から 下巻 | [総合評価] A 難易度:★★★ 〜★★★★ 図面:見開き4枚 内容:(質)A(量)A レイアウト:A (横書き、2色刷) 解説:A 読みやすさ:B 中級〜有段向き |
||
【著 者】 加藤治郎 | ||||
【出版社】 東京書店 | ||||
発行:1982年7月 | ISBN: | |||
定価:2,400円 | 302ページ/22cm H.C.・函入り |
(通常版) zoom |
将棋は歩から 下巻(再版) | [総合評価] A 難易度:★★★ 〜★★★★ 図面:見開き4枚 内容:(質)A(量)A レイアウト:A (横書き、2色刷) 解説:A 読みやすさ:B 中級〜有段向き |
||
【著 者】 加藤治郎 | ||||
【出版社】 東京書店 | ||||
発行:1992年10月 | ISBN:4-88574-411-3 | |||
定価:1,400円 | 302ページ/18cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
【レビュー】 |
歩の手筋を解説した本。全3巻の下巻(最終巻)。 この下巻では、受けの性質が強い歩の手筋が多い。本書によれば、受けの歩を使えるようになると棋力が急上昇するとのこと。また、後半は初級者でも無意識のうちに使っているような「当たり前の歩」がいくつか出てくる。ただし、「当たり前」の中にも光る使い方があるので、無意識を「意識的」に変えることで、上達が見込める。 ■レイアウト 上巻・中巻から変更された点がいくつかある。 (1) 棋譜の駒が変更された。 〔上・中巻〕先手は黒い駒に白抜き文字、後手は白い駒に黒文字 〔下巻〕先手は白い駒に黒文字、後手は白い駒に黒文字で上下反転 (2) ページ右の欄外(コメント欄)が削除された。 (3) 盤面図が一回り大きくなった。 (4) 盤面のコントラストが逆になった。 〔上巻〕盤面がオレンジ、駒が薄いオレンジの網掛け 〔中巻〕盤面がオレンジ、駒が白色 〔下巻〕盤面が薄オレンジ、駒が濃いオレンジ(ベタ塗り) (5)一行の文字数がup。 〔中巻〕26字/行 〔下巻〕32字/行 ⇒欄外削除とともに、余裕のないレイアウトになり、特に見開きの中央部がかなり見づらくなった。中央部には、左ページでは図面番号が、右ページでは本文がある。結構しっかりした紙を使っているので、全開にして読むのは難しい。 (6)見開き右ページの斜行(印刷が斜め)がひどい。全編にわたって、トップとボトムで3〜4mmも右に傾いている。後半は見開き左ページも斜行しており、こちらは左に2〜3mm傾いている。 (※ひょっとしたら、わたしが持っている版だけかもしれない。「自分の持ってるのは大丈夫だよ」という方は、ぜひ 棋書掲示板 までお知らせくださいませm(_ _)m ) ■各章の内容 第1章 連打の歩 敵の駒を連続で叩いて打つ歩。飛、香を吊り上げることが多い。本章では、金・銀など複数の駒を交互に叩く場合や、断続的に叩く(いったん別の箇所を指す)場合も「連打の歩」に含まれている。歩を連続で捨てることで、手番を握る、スピードアップの役割を果たす。 第2章 成り捨ての歩 垂れ歩を成って取らせる歩。取らない場合は強力なと金が残るので、手を抜きにくい。 ・敵駒の位置を変えさせる ・自陣の歩の受けを用意する(二歩を回避) 第3章 控え歩(主に「防」の歩) 自陣(手前4段目〜2段目)に打つ間接歩(敵の駒に当てない)のこと。基本的には守りの歩だが、寄せに使う場合もある。なお、1段目に打つ場合は「底歩」(第5章)として区別されている。 ・飛交換を拒否して歩を謝る ・相手の好形を阻止する ・玉の脱出を阻止する ・突き歩詰めを狙う ・垂れ歩に対向して謝る ・次に跳ねようとしている桂の支え台を作る 第4章 中合いの歩(主に「防」の歩) 敵の飛・角・香の利きをさえぎるために、味方の駒の利きがないところに打つ歩のこと。 ・即詰め回避 (焦点の歩である場合も多い) ・「大駒は近づけて受けよ」 ← 使用頻度が高い 第5章 底歩(主に「防」の歩) 自陣の一番下の段に打つ歩のこと。特に敵の飛(龍)の横利きをさえぎる効果が高い。二歩を打ってしまうリスクに注意。 ・金底の歩 ・飛の底歩 ・何も利いていないところに打つ底歩 ・空間を埋める底歩 ・攻め駒の位置を変えさせる底歩 第6章 直射止めの歩(主に「防」の歩) 飛び道具(飛・角・香)の直射を止める歩のうち、味方の駒の利きに打つものをいう。(※中空に打つものは「中合いの歩」(第4章))オリジナルの『将棋は歩から スピード上達法』(加藤治郎,唯人社,1949)には登場しなかった。歩の使用法としては平凡すぎて名前がなかったらしいが、上級者ほど直射を止めるべきところは止めている。 第7章 面打の歩 敵の駒(歩以外)に当てて打つ歩。「単打の歩」(中巻第5章)と似ているが、味方の駒の利きに打つのが違う。 〔右図〕の▲3三歩が面打の歩。「焦点の歩」でもあるが、桂のヒモがついているので、面打の歩に分類される。△同桂なら▲同桂成△同銀▲4五桂△4二銀▲3三歩と面打の歩のおかわりが来る。 面打の歩も平凡すぎて、名前がなかった。ちなみに「めんだのふ」ではなく、「めんうちのふ」。中巻には読み方が書いてあったが、下巻には見当たらない。剣道でメンを打つというイメージらしい。 残念ながら「面打の歩」という名はあまり定着していないが、実戦では非常に多く出現する。 第8章 紐歩(主に「防」の歩) 味方の駒(玉と歩以外)の下に打って、連絡をつける歩。取られた後に取り返せるようにする。中盤では必須のテクニック。ただし、「手筋」と呼べるほど上手い感じはしない。 ・駒損を防ぐ ・飛交換を挑戦する下準備 これも新しく命名されたもの。「紐歩」という言い方はあまりされないが、「ヒモをつける」という表現は多く見られる。 第9章 歩切れの将棋 手筋ではなく、「歩切れ」がいかに苦しいかを解説したもの。歩切れという状態がどういうものかも定義してある。 第10章 端歩 端歩の突き合いの関係は、1筋で6種類、9筋で6種類で、組み合わせは36通りになる。また、端にはこれまで解説されてきたさまざまな歩の手筋が現れる。本章では、いろいろな端の攻防を解説していく。 ・章として分けられていないが、詰められた端を逆襲することを「突き上げの歩」と命名している。 ・端攻めのホームランバッターは桂。 ・後で歩が必要になりそうなときは、端を突き捨てる ・矢倉囲いの詰みと端歩の関係 ・美濃崩し ・端玉には端歩。駒を捨ててでも端へ追いつめて端歩を突けば、寄ることが多い。 本書は、解説・題材の難易度としては (難)中巻 ≧ 下巻(易) ではあるが、冒頭に書いたように「受け」と「当たり前」の手筋が多いので、どちらかといえばある程度上達した人向け。全3巻の読む順番は、中巻→下巻→上巻 が個人的なオススメである。 ※誤字・誤植等(1970年版で確認): 名著なんだけど……かなり多い(x_x;) p28 ×「ここで3二飛としていれば」 ○「ここで3二龍としていれば」 p58 ×「角の恐威を…」 ○「角の脅威を…」 p68 ×「2四同飛,同角…5九銀」がすべて先手の符号になっている p71 ×「日経棋戦)である°」 ○「日経棋戦)である。」 p88 ×「6六金,同角,3五金,同金,6六飛」 ○「6六金,同角,3五金,同銀,6六飛」 p102 ×「ドロンゲームには…」 ○「ドローゲームには…」 p109 5図 4三に謎の駒影 p134 47図 △8一香に橙色がない、▲8三歩には橙色不要 p134 ×「7二飛の王手か,8二歩成をねらう」 ○「7二飛の王手から,8二歩成をねらう」 p140 ×「7三金 同金 4六角」 ○「7三金 同玉 4六角」 p146 61図 5六に謎の駒影 p179 26図 △2四香を塗り忘れ p187 「後手の6八銀が大悪手」の先後表記が逆 p194 53図 ×「▲5四成銀が最終手のように塗られている」 → 最終手は△4五角 p216 10図 ▲7八玉が行方不明。影だけ残っている p220 ×「この種の面打の歩よ無数に…」 ○「この種の面打の歩は無数に…」 p224 3図 ▲5七銀を塗り忘れ p227 7図と8図が逆 p232 本文全体の印刷が二重になっている p246 9図 △6二角を塗り忘れ p257 ×「横網争奪戦」 ○「横綱争奪戦」 |