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■将棋は歩から 中巻

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将棋は歩から 中巻
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将棋は歩から 中巻 [総合評価] S

難易度:★★★
  〜★★★★

図面:見開き4枚
内容:(質)A(量)A
レイアウト:A
(横書き、2色刷)
解説:A
読みやすさ:B
中級〜有段向き

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【著 者】 加藤治郎
【出版社】 東京書店
発行:1970年5月 ISBN:
定価:480円 311ページ/18cm
(愛蔵版・函)
愛蔵版 将棋は歩から 中巻
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将棋タウンさんhtx!
愛蔵版 将棋は歩から 中巻 [総合評価] S

難易度:★★★
  〜★★★★

図面:見開き4枚
内容:(質)A(量)A
レイアウト:A
(横書き、2色刷)
解説:A
読みやすさ:B
中級〜有段向き

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【著 者】 加藤治郎
【出版社】 東京書店
発行:1982年7月 ISBN:
定価:2,400円 311ページ/22cm
H.C.・函入り
(通常版)
将棋は歩から 中巻
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将棋は歩から 中巻(再版) [総合評価] S

難易度:★★★
  〜★★★★

図面:見開き4枚
内容:(質)A(量)A
レイアウト:A
(横書き、2色刷)
解説:A
読みやすさ:B
中級〜有段向き

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【著 者】 加藤治郎
【出版社】 東京書店
発行:1992年10月 ISBN:4-88574-410-5
定価:1,400円 311ページ/18cm


【本の内容】
第1章 垂れ歩 〔1〕垂れ歩とは
〔2〕見本例と実戦例
〔3〕駒落ち編
96p
第2章 焦点の歩 〔1〕焦点の歩とは
〔2〕飛角の焦点の歩
〔3〕飛角以外の焦点の歩
62p
第3章 死角の歩 〔1〕死角の歩とは
〔2〕練習問題
〔3〕応用問題
〔4〕死角の歩定跡
20p
第4章 ダンスの歩 〔1〕ダンスの歩とは
〔2〕練習問題
〔3〕応用問題
〔4〕実戦編
24p
第5章 単打の歩 〔1〕単打の歩とは
〔2〕見本例
〔3〕実戦編
58p
第6章 合わせ歩 〔1〕合わせ歩とは
〔2〕見本例
〔3〕実戦編
22p
第7章 十字飛車の歩 〔1〕十字飛車の歩とは
〔2〕見本例
〔3〕実戦編
20p

◆内容紹介(「はじめに」より抜粋)
本巻は上巻に比べると、ぐーんとわかり易くなっているし、多分に興味もあるのではないかと思う。(中略)それは、本巻に登場する「垂れ歩」をはじめ、「焦点の歩」「単打の歩」は上巻の継ぎ歩とともに“歩の公式”中の大スター的存在であり、「ダンスの歩」、「死角の歩」、「合わせ歩」、「十字飛車の歩」は異色のタレント的存在だからである。
(中略)“将棋は歩から”の上、中、下3巻はそれぞれ独立した書である。中巻は上巻より易しいし、次の下巻は中巻よりもさらに易しくなる。また、上巻を読まなくとも中巻がわかるし、上、中巻を見なくとも下巻がのみこめる。


【レビュー】
歩の手筋を解説した本。全3巻の中巻。

この中巻には、「垂れ歩」「焦点の歩」「単打の歩(タタキの歩)」という、歩の使い方の中でもエース級の手筋が解説されている。また、「ダンスの歩」「合わせ歩」「十字飛車の歩」といった、初心者からみればまるでマジックのような手筋も掲載されている。

上巻は読み進めるのが大変だが、中巻は比較的サクサク読めるはず。即戦力になる手筋が多いし、難易度が (難)上巻>中巻>下巻(易) であることは著者も認めている。


■レイアウト
東京書店独特のレイアウトは上巻とほとんど同じだが、いくつか改善点があり、読みやすさが少しアップしている。

(1) 図の最終手が強調されている。(白黒反転)
(2) 図の盤上の駒の網掛けをなくし、駒を白くしている。(コントラストup)
(3) 図面横の棋譜が1行2手に変更され、先後が揃って読みやすくなった。
 〔上巻の棋譜表記〕
  ▲7六歩  △3四歩  ▲2六歩
  △4四歩  ▲2五歩  △3三角
 〔本書の棋譜表記〕
  ▲7六歩  △3四歩
  ▲2六歩  △4四歩
  ▲2五歩  △3三角


■各章の内容

第1章 垂れ歩
「次にと金を作るぞ」という歩。「歩を垂らす」などと使う。昔は「下げ歩」と呼ばれていたらしい。「垂れ歩」の方がいいよね。

実戦での出現率は非常に高く、「将棋は垂れ歩でと金を作るゲーム」といっても差し支えないくらい。それだけに多くのページが割かれ、本書の1/3を占める。

本書では歩の使用法を「直接歩」と「間接歩」に大別している。垂れ歩は間接歩なので、打った瞬間の厳しさは少ないが、ポテンシャルが高い。

また、垂れ歩の効用が10種類くらいに分類されて解説されている。他の歩の手筋本では、これほど細かく垂れ歩の効用を分析したものは見たことがない。効用を意識するだけでも実力upにつながるだろう。他書で歩の手筋をマスターした人も、「垂れ歩の効用10ヶ条」のためだけに本書を読んでも惜しくないと思う。


第2章 焦点の歩
複数の駒(歩以外)が利いているところへあえて放つ歩のこと。駒の利きを限定させる効果があり、決め手級になることも多い。

有名なのは〔右図〕で、▲3三歩が焦点の歩。(1)放置すれば飛銀両取り、(2)△同桂は▲3四飛で銀得、(3)△同飛は▲2二飛成で角得、(4)△同角は▲3四飛(銀得)or▲2一飛成(桂得+飛成)、 (5)△2三歩は▲3四飛で銀得、と大きな戦果を上げられる。一歩の価値の大きさ、歩が利くことの大切さがハッキリ分かる。

「焦点の歩」とは直接は関係ないが、本章p140欄外に出てくる「飛銀締め」という手筋の名前は知らなかった。

なお、本章はやたらと誤植が多い。


第3章 死角の歩
飛先突破を目指すとき、「単打の歩」や「連打の歩」(下巻参照)で飛先を止められることがある。これを防ぐため、あらかじめ「合わせ歩」(第6章)を打って、敵駒の死角(利きの裏側)へ飛を移動させる手筋を「死角の歩」という。

〔右図〕で、▲2三銀成で簡単に飛先突破できそうだが、歩が切れた瞬間に△2七歩▲同飛△2六歩▲同飛△2五歩と連打の歩で止められてしまう。これを避けるために、〔右図〕で▲2四歩△同歩▲同飛と、合わせ歩で飛を桂の死角に入れるのが正解。これで飛先突破は確定する。

プロの実戦や定跡での登場は少ない。これは死角の歩が使えない手筋だから……ではなく、死角の歩を使われたら飛先を突破されてしまうような局面を作らないからである。つまり、水面下の読みには必要な手筋といえる。本書の中では比較的使用頻度の低い手筋。


第4章 ダンスの歩
歩をたくさん使って金銀を踊らせる手筋。金が斜め下に戻れないのと、銀が真後ろに下がれないのを利用して駒得を狙う。

有名なのは〔右図〕。▲4三歩成△同金右▲4四歩△5三金▲5四歩△5二金▲4三歩成△同金左▲4四歩△3三金▲3四歩△3二金▲4三歩成△同金▲4四歩で、金得になる。相手の金にステップを踏ませているような感じが名前の由来。

〔右図〕のような持ち歩を5枚使う例はなかなか実戦で現れないが、持ち歩1〜2枚で桂が協力する「ミニダンスの歩」は頻出する。決まると超気持ちいい手筋。

歩の手筋の名前の中でも一番洒落ているとわたしは思っているが、本章冒頭では一読者からクレームがついたことも紹介されている。


第5章 単打の歩
相手の駒(歩以外)の前に歩を打って、「取り」をかけること。「タタキの歩」ともいう。「垂れ歩」(第1章)と並んで、実戦で非常に多く現れる。実際に駒を取るよりも、形を崩す目的で使われることが多い。

よくあるのが〔右図〕。終盤の入口で、▲2二歩と桂をタタくのが手筋。
(1)△同金なら壁金になって玉が狭くなる
(2)△3三桂なら▲2一歩成(無条件でと金作り)
(3)△3一玉なら▲2一歩成(桂得で玉が薄くなる)

駒取りなので手を抜きにくく、使い方次第で絶大な効果がある。逆の立場では、タタキの歩(王手以外)を手抜けないか、常に考えてみること。

「ここは一発タタくところでしょ」という使い方も多く、読みよりも大局観が要求されるケースがある。直接手でありながら、マスターしにくい手筋なので、実例をたくさん見るのが良い。幸い、本書では56pも解説がある。


第6章 合わせ歩
相手の歩の前に歩を打つこと。「単打の歩」とは区別される。味方の駒を進めるため、空間を開けるためなど、攻めに守りに様々な使い方がある。また、「死角の歩」、「十字飛車の歩」や「連打の歩」も合わせ歩の一種である。

〔左図〕が守りの合わせ歩。このままでは△8七銀と打ち込まれて壊滅するが、▲8七歩と合わせれば、△同歩成▲同金で形は崩れるものの、急場を凌げる。

〔右図〕は攻めの合わせ歩。▲5五歩△同歩▲4五歩△同歩▲5五銀△5四歩▲4四歩で、(1)△同銀なら▲5四銀、(2)△同金なら▲同銀△同銀▲5四飛、という要領で攻め駒を捌くことができる。


第7章 十字飛車の歩
飛を縦横に使うための合わせ歩。継ぎ歩の場合も多い。定跡では、原始中飛車の撃退や、角換わり早繰り銀での後手の反撃が有名(本章には載っていない)。プロの実戦では、横歩取りや相掛かり系の将棋に頻繁に現れる。



全3巻のなかで、中巻は「使える度」が一番高いといっていい。主に中盤〜終盤に現れる手筋なので、題材の古さも特にない。3巻コンプリートするのがつらい人でも、中巻だけは読破したい。(2011Dec22)

※誤字・誤植(1970年版で確認):
p50 ×「見落としていたのだ。こゑ    いたのだ。これは、」 ○「見落としていたのだ。これは、」
p50 「先入主」 → 「先入観」と同じ。間違いではない。司馬遼太郎の著書によく出てくるらしい。
p57 △「○(マル)筋」 ○「0(ゼロ)筋」
p112 ×「玉手に3八飛…」 ○「王手に3八飛…」
p113 ×「玉手飛車を喫してしまう」 ○「王手飛車を喫してしまう」
p121 27図 先手の持ち駒 ×「銀香歩歩」 ○「銀香香歩歩」
p125 ×「(11図)まで、後手の勝ち。」 ○「(32図)まで、後手の勝ち。」
p127 ×「仮に、後手3九歩なら」 ○「仮に、後手3九となら」
p136 ×「危機1発を脱した」 ○「危機一髪を脱した」
p150 ×「前例49図に酷似した…」 ○「前例70図に酷似した…」
p205 ×「5章香頭単打の歩(220ページ)に譲る。」 ○「5章香頭単打の歩(261ページ)に譲る。」
p230 ×「桐山5段苦戦となるが」 ○「桐山4段苦戦となるが」
p264 棋譜 ×「▲3三歩成」 ○「▲3三飛成」
p270 ×「第3章=176ページ」 ○「第3章=167ページ」
p284 ×「23図まで進み、」 ○「24図まで進み、」
p285 ×「24図は、先(勝)大山…」 ○「25図は、先(勝)大山…」



【関連書籍】
 『
将棋・歩の道場
 『
将棋は歩から 上巻
 『
将棋は歩から 下巻
 『
新 将棋は歩から
[ジャンル] 
駒の手筋
[シリーズ] 
[著者] 
加藤治郎
[発行年] 
1970年 1982年 1992年

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