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最強将棋21 四間飛車穴熊の急所(2) 【相穴熊編】 |
[総合評価] S 難易度:★★★★☆ 図面:見開き4枚 内容:(質)A(量)A レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:A 有段向き |
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【著 者】 広瀬章人 | ||||
【出版社】 浅川書房 | ||||
発行:2012年6月 | ISBN:978-4-86137-036-6 | |||
定価:1,575円(5%税込) | 254ページ/19cm |
【本の内容】 | ||||||||||||
◆内容紹介 |
【レビュー】 |
四間飛車穴熊の定跡書。対銀冠穴熊と、相穴熊を解説。 大雑把ではあるが、穴熊が一般的になり始めた1980年代、振飛車穴熊は[A図]のような陣形で戦うことが多かった。1990年代は[B図]のようなイメージがある。ところが現代では、[C図]のような陣形が頻出している。 A図、B図、C図の違いは何だろうか?プロはどのように使い分けているのだろうか?それを教えてくれるのが本書である。 A図がダメな理由は、すでに前著『四間飛車穴熊の急所』(2011.04)で示された。本書では、B図とC図の使い分けを念頭に読み進めたい。 各章の内容をチャートを添えながら紹介していこう。 第1章は、vs銀冠穴熊。人によっては、通常の相穴熊よりもこちらの方が苦手かもしれない。居飛車が角筋を通したまま堅く囲われるし、何よりも銀冠穴熊が載っている棋書が少なく、急所が分からないかもしれない。そんな方は、ぜひ本章を読み込んでほしい。 銀冠穴熊は、銀冠に比べて玉頭の厚みはそのままに深さをゲット。半面、柔軟性には劣る。弱点は補強のできない3四の地点。振り飛車は、袖飛車からの一歩交換を原点に、とにかく弱点(3四)を狙う。逆に言えば、攻めるとすればそこしかない。 基本的な手筋として、銀交換してから▲4六銀(△6四銀)と設置する手がある。そこを気に留めつつ読んでいこう。逆に▲4六銀とセットした瞬間、居飛車はゆっくりできないので仕掛けてくる。カウンターの取り方をマスターしよう。 第2章は、相穴熊−ベーシック型。ベーシック型とは△4四銀型のことで、四枚穴熊を狙っている。単純に穴熊の組み合いとなると、左銀を3七まで持ってこれない振飛車が作戦負けになる。そこで、△1二香に▲5六銀と上がるのが急所で、居飛車の駒組みに制約を与える。居飛車は、△1一玉と引けるように備える手を模索することになる。 なお、冒頭のC図が出てくるのは本章で、先手番の5-4〜と後手番の6-1〜に登場する。これは、「囲いはとりあえず完成とし、優先度の低い手(さらに金を寄る、など)は後回しにする」という考え方であり、『最新戦法の話』(勝又清和,浅川書房,2007)で紹介された「現代将棋の基本思想」に基づいている。 第3章は、相穴熊−カウンター型。カウンター型とは△4四歩型のことで、四枚穴熊は狙えない代わりに、振飛車からの急戦が難しくなり、駒組みの安全度が高い。半面、4筋に争点ができているので、振り飛車は4筋(後手番では6筋)に飛を回って戦うことになる。居飛車は右銀を△4二銀(▲6八銀)と低く引き付けてカウンターを狙っていく。 本書は戦法の急所だけでなく、狙い・考え方なども明確に言語化されており、『現代四間飛車穴熊の思想』というタイトルでもいけそうな感じだった。後手番のフォローもできており、前著『四間飛車穴熊の急所』と併せて読めば、四間穴熊の理解は相当に深まると思う。 まえがきによれば、「(2012年6月より)一年ほど前には一度出来上がっていた」ものを「すべて書き直」したそうで、2011年夏の王位戦七番勝負など最新の将棋の内容も含まれている。書き直しただけのことはある、素晴らしい出来だった。将棋ファンであるならば、四間穴熊を指さなくても蔵書しておきたい1冊(というか2冊)である。(2012Sep20) ※誤字・誤植等(初版で確認): 見つかりませんでした。 |