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相振り飛車を指しこなす本(1) | [総合評価] A 難易度:★★★ 図面:見開き4枚 内容:(質)A(量)A レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:A 中級〜向き |
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【著 者】 藤井猛 | ||||
【出版社】 浅川書房 | ||||
発行:2007年6月 | ISBN:978-4-86137-017-5 | |||
定価:1,365円(5%税込) | 240ページ/19cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||||||
浅川書房HPの内容紹介 |
【レビュー】 |
相振飛車の次の一手問題集。 相振飛車は、近年プロで大流行。純粋振飛車党のスペシャリストたちだけでなく、A級の居飛車党まで参戦するようになって、新たな世界が広がった。これに伴い、相振飛車関連の本が増え、アマにも相振飛車ブームが来ている。 ところが、最新定跡を研究したものはいくつも出てきたが、相振飛車の基本的な指しこなし方を教える本がない。入門書や初級向け総合定跡書にも相振りが載っているものはほとんどない。いや、実は『相振り飛車にツヨくなれ』(小林健二,1988)という良書があったのだが、現在普通に入手できる相振り入門がないのである。そこで立ち上がったのが我らが(?)藤井猛である。 本書は、次の一手形式で相振飛車の基本的な指し方を解説。基本ということで、初期の飛車の配置は「▲向飛車vs△三間飛車」に限定されている。あとは、互いにどんな構え(囲い)を採るか、それによって戦い方がどう変わっていくかというところを、相振り独特の手筋などを交えながら解説していく。また、相振りは相手の囲いによって攻撃態勢を組み立てていくのも重要な要素なので、そのあたりの問題も多い。 なお、この手の次の一手本では、「便宜上先後逆」として、後手番の問題でも先後逆の図面にする場合が多いのだが、本書では「▲向飛車vs△三間飛車」の構図を崩さず、後手番の問題はそのままの向きで考えるようになっている。 第1章は二枚金vs二枚金。最初(16問まで)は「基本的な対抗形を構築する」、次(71問まで)に「端攻め中心の攻撃とB面攻撃(囲いと反対側の飛角を責める)」、最後は「序盤の常識、駒組みの注意点、中終盤でよく出る筋の確認」という構成。 二枚金は「金無双」という別名もあり、30年前はもっとも多かった形だ。最近では「二枚金は囲いとしてダメ」という考え方が広まり、プロ・アマともに採用率は激減している。しかし藤井は「二枚金から浮き飛車に構えての機動力には、相振り飛車のエッセンスがたくさん詰まっています。(中略)まずは二枚金を知りましょう。」(プロローグp3)というスタンス。わたしは古い棋譜(『力戦!相振飛車の戦い』(1983))から入ったタイプなので、この考え方は賛成。 第2章は▲矢倉。後手の囲いは、金無双未完成型(舟囲いのような形)、美濃、金無双に分かれる。 第3章は▲矢倉vs△穴熊。「(強い囲いで)矢倉崩しをするための穴熊」という位置づけで、基本的には第2章の矢倉崩しの続き。 第4章は穴熊攻略法。メインは端攻めで、▲8五桂のあと、「▲9四歩△同歩▲9三歩」か「▲9三桂成」かで解説を切り分けている。 個人的には、第4章が一番参考になった。筋は知っていたので問題自体はほとんど正解できた。が、攻め方が違っても同じ結果図になる可能性があることや、相手の持駒によって急ぐ攻め方と確実な攻め方を使い分けるというのは、これまであまり意識してこなかった。p216〜p217のまとめは必見! 単なる定跡手順ではなく、頻出の形や筋を重視しているのが良かった。これから相振飛車を指したいという人にはもちろん、すでに相振りをかなり指しこんでいる人にもオススメ。最初は「級位者向けで簡単なんだろうなぁ」と少しナメてかかってたのだが(藤井先生ゴメンナサイ)、今は第2巻が待ち遠しい。(2007Jul19) ※なお、「相振りは美濃囲いしか指さない!」という人には本書は不要。第2巻をお待ちください。また、「指しこな形式(※『四間飛車を指しこなす本(1)』などを参照)」が合わない人もいるかもしれない。諦めてください。 |
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