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最強将棋21 相振り飛車を指しこなす本(3) |
[総合評価] B 難易度:★★★☆ 見開き2問(天地逆) 内容:(質)A(量)B レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:A 上級〜有段向き |
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【著 者】 藤井猛 | ||||
【出版社】 浅川書房 | ||||
発行:2008年1月 | ISBN:978-4-86137-019-9 | |||
定価:1,365円(5%税込) | 224ページ/19cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||||||
・プロローグ「高矢倉と平矢倉、高美濃と平美濃」=4p
◆内容紹介 |
【レビュー】 |
相振飛車の次の一手問題集。 第1章〜第3章の△三間飛車vs▲向飛車という構図は、第1巻・第2巻と同じ。今回は矢倉囲いの攻略をメインにしているところが特徴。 ところで矢倉といっても、相振飛車の矢倉は1種類ではない。 左図の先手が「高矢倉」。相矢倉戦でもおなじみの普通の矢倉だが、最近の相振飛車戦では後手の「平矢倉」も頻出するため、区別する意味で「高矢倉」「平矢倉」という言葉が使われるようになった。左金と歩の位置が違うだけだが、争点や金銀の連携が違ってくるため、戦い方もまったく異なってくる。 同様に右図の「高美濃」と「平美濃」。こちらは通常の振飛車戦でおなじみだが、相振飛車戦でも似て非なる特徴を持つ。プロローグiiiページから引用すると、「高美濃の特徴は(1)十字飛車の筋がない (2)3筋の1歩交換を防いだので、後手から歩を使った牽制がない (3)二枚金より角交換に弱い」というわけ。つまり、囲いの堅さだけでなく、陣形としての総合的な力と、相手の陣形との兼ね合いで良し悪しが変わってくる。そこが相振飛車の面白さでもあり、難しさでもある。 話を元に戻すと、 第1章:▲二枚金△高矢倉:二枚金はすぐに囲えるが、進展性に乏しいため、攻めるしかない。戦い方が限定される。 第2章:▲高美濃△高矢倉:立体的な囲い(高矢倉)に対して立体的な囲い(高美濃)で対抗。先手はじっくりした戦いから作戦勝ちが狙える。 第3章:▲高美濃△平矢倉:後手が工夫して、争点を作らず低く構える。 さらに、第4章は、藤井の実戦から取材した3例について、実戦の手順と変化を解説。基本的には第2巻の第3章と同じ。内容は対△矢倉(高矢倉、平矢倉、四角矢倉)で、第1章〜第3章の内容に合致している。 第4章は△3三角戦法基礎編。後手番ながら角道を止めずに攻撃的に動けるので、一時は相振飛車戦のメインストリームだった(2008年6月発売の『相振り革命最先端』(杉本昌隆,MYCOM)によれば、すでに△3三角戦法は減少し始めたとのこと)。本書では先手が矢倉を目指す有力対策は扱わず、(1)後手が比較的穏やかに指す順 (2)△2四歩〜△2五歩とすばやく伸ばし、▲8八飛に対して速攻を仕掛ける(先手の対応によるが、あとから銀を繰り出して制圧)、という2つの例から、△3三角戦法の攻撃力を示している。 △3三角戦法の魅力を示すうえで面白い章だが、これを第4巻には持っていけなかったのだろうか。分けてしまうと第3巻がさらに薄くなり、第4巻が分厚くなってしまうというアンバランスさはあるにしても、△3三角戦法だけ見たい人も2冊買わないといけないというのはちょっと不満である。 Aにちょっと届かないBにしておく。(2009Mar14) ※本書は公式には224pということになっているが、最後のほうに白紙ページがあるので、実質的には209p+4p(プロローグ分)。 |
【他の方のレビュー】(外部リンク) ・棋書解説評価委員会 ・桐蔭学園高校将棋部 ・Amazon.co.jp: カスタマーレビュー ・ものぐさ将棋観戦ブログ |
【関連書籍】 |
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