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スーパー将棋講座 決定版 石田流新定跡 |
[総合評価] B 難易度:★★★☆ 図面:見開き4枚 内容:(質)A(量)B レイアウト:A 解説:B 読みやすさ:A 上級〜向き |
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【著 者】 鈴木大介 | ||||
【出版社】 創元社 | ||||
発行:2005年1月 | ISBN:4-422-75097-6 | |||
定価:1,260円(5%税込) | 222ページ/19cm |
【本の内容】 | ||||||||||||
◆内容紹介(創元社HPより) |
【レビュー】 |
▲石田流の定跡書。 ▲石田流は、最近までは次のようなスタンスだった。 石田流本組に組めれば十分(※棒金という天敵はあるが) →たいていの場合は、▲6六歩と角道を止めて本組を目指せるが、 →しかし△8四歩〜△8五歩と連続して突かれると、▲6六歩とは指せない →∴石田流は素人向け戦法(約40年前) →升田式石田流の登場。角道を止めず、飛車先も受けずに駒組みを進める →先手面白い戦法だが、手詰まりになる可能性が高い。角交換しているので7八金が動けず、持ち歩がないので手造りしづらいのが原因 →∴プロではマイナーな戦法だった(2004年ごろまで) それが、鈴木新手が現れ、8筋を連続で突かれても、速攻で存分に戦えることが分かった。また棒金対策もできた。かくして、▲石田流はA級で何局も指されるほどの戦法になったのである。 その「鈴木新手」を解説しているのが第1章。[右図]で、▲4八玉〜▲3八玉と囲っていくのが升田式だが、鈴木式は▲7四歩。この手自体は昔からあるのだが、無理筋とされていた。しかし△7四同歩 ▲同飛 △8八角成 ▲同銀 △6五角に▲5六角!で戦える、というもの。序盤わずか7手目の開戦なので、同一型になることは多い。第1章はかなり網羅的に書かれているので、大いに参考になるはずだ。 ※鈴木は2006年の棋聖戦で「先手なら早石田で戦う」と宣言。佐藤康光を相手にこの形を2局戦い、中盤まで十分な態勢を築いている(結果こそ出なかったが…)。なお、その棋聖戦で現れた「▲5六角に△5四角」という手は残念ながら本書には載っていない。 第2章・第3章は、後手が飛車先を突いてこなかった場合の戦い方を解説。代表として△6二銀型が出てくるが、他の形でも「角道を止めて本組を目ざせばだいたい同じ」(=わざわざ突っ張って超急戦・乱戦をする必要がない)とのこと。アバウトだなぁ…とは思うが、実戦的には確かにそんな感じだと思う。ただ、1手形が違えば、攻め筋も変わってくることが多いので、流れや基本的な筋を参考にするのが良い。 なお、第3章のは「ダイヤモンド美濃は少し苦しい、▲7七角戦法がオススメ」ということになっているが、▲7七角戦法での形勢判断はかなり楽観的。「大優勢」⇒「まだ難所はあるがやや有利」、「指せる」⇒「ちょっと苦しいがまだやれる」くらいに読み替えるとちょうどいいと思う。(2007Jul24) ※例によって、役立ちそうな文言をメモ。 ・「(角道を止めて)▲7六飛と浮いたら、玉の囲いは後回しにして▲6八銀〜▲6七銀を急ぐのがポイント。」(p86) ・「石田流の序盤は、△6五歩、△7二飛、△7二金という、三つの急戦策との水面下での争いでもある。」(p96) |