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将棋連盟文庫 羽生の頭脳(3) 最強矢倉 |
[総合評価] A 難易度:★★★★ 図面:見開き4枚 内容:(質)A(量)A レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:B 上級〜有段向き |
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【著 者】 羽生善治 | ||||
【出版社】 毎日コミュニケーションズ | ||||
発行:2010年6月 | ISBN:978-4-8399-3619-8 | |||
定価:1,155円(5%税込) | 448ページ/16cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
◆内容紹介 |
【レビュー】 |
相矢倉の定跡書。 ==(以下、しばらく『羽生の頭脳(1) 四間飛車破り(文庫版)』とほぼ同じです== 「羽生の頭脳」全10巻(1992〜1994)は、トップ棋士が書いた定跡書シリーズの金字塔である。代表的な戦型を網羅し、都合の良い変化を排除して公平に検討した。そのため、定跡が進化しても「基本は『羽生の頭脳』で覚えられる」とされ、異例のロングセラーを記録している。 本書は、シリーズの第5巻「最強矢倉・後手急戦と3七銀戦法」と第6巻「最強矢倉・森下システム」を合本し、文庫化したものである。 基本的に内容はオリジナル版とまったく同じ。右図のように前半がオリジナル5巻、後半がオリジナル6巻の内容になっている。2冊をそのまま貼り合せたような構成になっていて、6巻部分の目次は本体の真ん中にある。 変化した点はわずかで、以下の2つくらい。 (1)文庫化に合わせてフォントサイズ、盤面図が小さくなっている (2)文庫化用のまえがきの追加 ==(ここまで)== 本書は矢倉の二大本流「▲3七銀戦法」と「▲森下システム」がメインで書かれている。膨大な矢倉の変化を削りに削って本筋に絞った感じだが、それでも「羽生の頭脳」シリーズの他の巻と比べて、非常に分岐が多い。また、急戦については、早囲い・△5五歩交換型・△6二飛戦法に絞っている。 ※数多くある後手急戦は本書にはあまり書かれていないが、「将棋世界」誌に連載された「変わりゆく現代将棋」(1997〜2000)〔2010.04に単行本化、上巻 下巻〕に詳しく書かれている。本書で書けなかった部分を特に重点的に書いているようだ。 ▲3七銀戦法編は、基本的に「4六銀-3七桂の形を作らせては後手が面白くない」というスタンスで書かれている。現代では先手が居飛穴に潜る形あり、宮田新手▲6五歩あり、などかなりテーマ局面が変わってきているが、現代矢倉の下地を知りたい人には良いだろう。 また、森下システムも深浦新手の登場以降、以前ほどの流行ではないが指されている。 単行本版を読んだときは、「それぞれ1冊ずつではちょっと使いにくいかな、流行も変わったし」と思ってBにしたが、2冊合本だといっぺんにまとまりのある本に見える。「『矢倉の急所』(森内俊之,浅川書房,2008)などで矢倉を学んだけど、ちょっと前の矢倉ってどうだったんだろう」と興味のある方には良書である。 本書は分岐が多いので、チャートにしてみた。参考にしてください。 チャート長っっ…(´・ω・`) アーツカレタ さすがに2冊合本だとすごく網羅的な感じがする。(2010Jul07) |