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■必至基本問題集

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必至基本問題集
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必至基本問題集 [総合評価] B

難易度:★★★☆
   〜★★★★

第2章:見開き2問
第3章:見開き1問
内容:(質)A(量)B
レイアウト:A
解答の裏透け:A
解説:B
上級〜有段者向き

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【著 者】 武市三郎
【出版社】 毎日コミュニケーションズ
発行:2010年6月 ISBN:978-4-8399-3586-3
定価:1,260円(5%税込) ページ/cm


【本の内容】
・必至問題=計116問+α
第1章 必至の考え方 §1.必至とは(1)(2)
§2.必至の考え方(1)(2)
§3.詰めろのパターン(1)(2)(3)
§4.詰めろ逃れ(1)(2)
§5.必至のパターン(1)(2)(3)(4)
16p
第2章 1手必至
3手必至
・1手必至(第1番〜第10番)=10問  
・3手必至(第11番〜第50番)=40問
50p
第3章 5手必至 ・5手必至(第51番〜第116番)=66問 134p

・【コラム】(1)必至の規約 (2)珍しい入玉型の必至 (3)私の好きな作品

◆内容紹介
実戦の終盤に強くなるために、欠かせないのが「必至」の問題です。必至問題とは、玉方を受けなしの状況に追い込むための最善の攻め方を問う問題のこと。
著者は指導のうまさに定評がある武市三郎六段。本書は月刊誌「将棋世界」で連載している懸賞必至など、過去の出題作に加筆修正して単行本化したものです。必至の考え方をわかりやすく解説して、
1手、3手、5手の必至問題計116問を収録しています。
1題の必至を解くには、何通りもの詰み筋を読む必要があり、終盤力をつけるにはうってつけの問題集と言えます。この本でライバルに差をつけましょう!


【レビュー】
1手〜5手必至の必至問題集。「将棋世界」誌の懸賞必至を再構成してまとめたもの。

最近、必至本のブームが来ている。特に1手必至・3手必至の本はかなり充実してきたが、実戦での必至感覚を身につけるには、もう少し長い手数のものも必要だろう。

本書は、1手必至・3手必至を押さえながら、標準レベルの5手必至を多く掲げた問題集である。

第1章では、必至のかけ方について非常に論理的に解説している。武市は『将棋の力をつける本』(武市三郎,MYCOM,2000)で、詰みや必至の仕組みについて論理的に解説しており、それは本章でも健在。「(あまり意味のないものも含めて)詰めろは何通りあるか」「玉の“弱点”はどこか」「受け方が詰めろを外す手は何か」など、必至本の序章としては最強レベルの解説である。

第2章〜第3章は必至問題。第2章は1手必至・3手必至で、見開き2問ずつ。第3章は5手必至で、見開き1問になっている分、解説量も増えている。また、5手必至編は難易度表示がついたり(☆1〜☆3の3段階)、1行ヒントがついたりしている。ただ、第1章並みの精緻な解説を期待したが、スペースの都合からか多少省略された解説になっている。『寄せの手筋200』(金子タカシ,浅川書房,2010)と比べるとちょっと薄いくらい。


さて、「基本問題集」と銘打ってあるので、易しい問題集かと思っていたが、そうでもなかった。必至の基本形といえば、「挟撃基本形」、「数で勝つ」、「持駒が金桂で玉頭を押さえる」、「二つの詰み筋」、「両王手が受からない」などがある。しかし、たとえば挟撃基本形が本書で初めて出てくるのは第64問でかなり後の方。

つまり、本書の問題は、これら基本形をマスターしているのが前提であり、基本的にはきっちり読みを入れる必要がある。特に、「玉方の最善の受け」については徹底的に読むべし。

実際に解いてみたところ、特に3手必至が難しかった。下記にわたしが誤答した問題を掲げておくが、大部分が3手必至の問題である。(×は解けなかったもの、△は筋は合っていたが完全には読みきれなかったもの、( )内は必至の手数)

 第4問(1) ×手は狭いが、詰み筋が分からず。
 第6問(1) ×
 第21問(3) △手は正解したが(「これしかないだろう」という感じで)、必至図での詰み筋が読めず。
 第22問(3) △玉方の最善の受けが読めず。
 第25問(3) ×
 第30問(3) ×
 第34問(3) ×
 第38問(3) ×
 第39問(3) △3手目▲2五桂は△1四歩でダメ。
 第45問(3) ×
 第47問(3) △
 第49問(3) △
 第50問(3) △
 第51問〜第79問(5☆〜☆☆) ○29問連続正解でちょっと調子に乗るヽ(´ー`)丿…が、第80問以降は正答率が半分程度にorz
 第80問(5☆☆) △狙いはすぐに分かったが、玉方の受けをうっかり。
 第81問(5☆)  △
 第87問(5☆☆) △
 第88問(5☆☆) △
 第89問(5☆☆) ×
上下挟撃形(『寄せが見える本【応用編】』問題1-1の解説p18、『寄せの手筋168』第25問、『寄せの手筋200』第30問など)の応用筋。そうか、実戦ではこうやって使うのか・・・
 第90問(5☆☆) ×4問連続の誤答で少しへこむ。orz
 第92問(5☆☆) △
 第94問(5☆☆) △
 第99問(5☆☆) ○実戦ですぐ使えそうな筋。
 第102問(5☆☆) ×
 第103問(5☆☆) ×
 第104問(5☆☆) ×正解図以下△2二香ならどうなる?
 第105問(5☆☆) ×また4問連続不正解orz
 第109問(5☆☆) 
×
 第113問(5☆☆☆) × 第107問〜第116問は☆3が9問あるが、意外にも誤答は第113問だけだった。

一方、5手必至は比較的易しく感じた。特に5手必至☆1はひと目で解ける問題も多い。玉方の受けを考えることに慣れてきたからかもしれないが、比較的易しい詰み筋で収束する感じがした。なので、3手必至編で苦しく感じたら、先に5手必至の☆1や☆2を解くといい。特に5手必至前半の第51問〜第80問は気持ちよく解けた。実際、こういう5手必至ができるようになると、実戦での勝率もアップするだろう。

なお、第81問〜第105問の☆2は結構苦戦したが、第107問〜第116問の☆3はほとんど解けた。ただし、☆3は手順前後などをすると意外な受けで凌がれることもあり、人によっては難しいのかもしれない。

タイトルの「基本」という言葉に惑わされて、必至問題の入門者が本書から始めるとかなり厳しいので注意。『寄せが見える本<基礎編>』(森けい二,浅川書房,2004)などで基本を押さえた人が、次のレベルアップを目指すにはちょうど良さそうな本である。

最後にひと言。5手必至ってこんなに面白かったんだー。(2010Jul10)

※誤植(初版第1刷で確認):
第8問 ×(持駒の表記なし) ○「持駒なし」
※p132「ひと目「挟撃の狙い」とわかれば相当な感覚で、必至通と言えるかもしれない。」
→ひと目で分かったので「必至通」を自称することにします(笑)ヽ(´ー`)丿 誤答しましたけど…orz



【関連書籍】

[ジャンル] 
必至問題集
[シリーズ] 
[著者] 
武市三郎
[発行年] 
2010年

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