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新・東大将棋ブックス 定跡道場 一手損角換わりVS腰掛け銀 |
[総合評価] B 難易度:★★★★☆ 図面:見開き6枚 内容:(質)A(量)A レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:B 有段者向き |
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【著 者】 所司和晴 | ||||
【出版社】 毎日コミュニケーションズ | ||||
発行:2010年2月 | ISBN:978-4-8399-3464-4 | |||
定価:1,470円(5%税込) | 224ページ/19cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
◆内容紹介 |
【レビュー】 |
後手一手損角換わり・相腰掛け銀の定跡書。 一手損角換わりが世に出て早6年。後手が手損をすることで、飛車先の歩を△8四歩で保留できることのメリット─すなわち△8五桂と跳ねることができるメリットは、比較的早くから知られていた。そのメリットが最大限に生かされるのが相腰掛銀である。 純正角換わり相腰掛銀の形では、桂頭を狙う▲7五歩は仕掛けに必ず含まれる定跡の一手であり、桂頭を守るための△6三金も必要な一手であるが、一手損角換わりは△8五桂とできるため、必ずしも桂頭を守る必要がないのである。よって、先手の仕掛けの形も、後手の反撃の形も純正とは違うものになる。わずか一手の違いが、非常に大きな違いになっている。 これまで、一手損角換わり相腰掛銀は『将棋定跡最先端 居飛車編』(所司和晴,MYCOM,2005.12)『後手番一手損角換わり戦法』(青野照市,創元社,2009.07)などで部分的に解説されているが、一冊丸ごと一手損角換わり相腰掛銀を解説しているのは本書が初めて。 目次を見ただけで図面が浮かぶ人はほとんどいないと思うので、チャートを作成してみた。なお、本書p5にチャートが載っているが、非常に分かりにくい(と思う)ので、棋ミシュ形式で再構成しておく。ついでに、各章の変化で必修だと思われる手筋を添えておいた。 各節とも本筋は一本道(※なので、これ以上の分岐チャートは作成しません)。有力な分岐については、1〜2pをとって別途解説があり、小分岐については文章内での解説となる。 2010年11月現在、純正角換わり腰掛け銀は「富岡流」一本に絞られている感があるが、一手損の場合は目次のように非常に多彩。考える必要があるのは、少なくとも以下の4点がある。 (1)居飛車のまま▲4五歩(△6五歩)と仕掛けるか (2)右四間(▲4八飛or△6二飛)としてから仕掛けるか (3)入城(▲8八玉or△2二玉)するか、しないか (4)△8五桂をいつ実行するか なお、オビには「腰掛け銀で撃破せよ」と、いかにも「一手損角換わり破り」のようなキャッチコピーが入っているが、従来の東大将棋ブックスと同様、形勢判断はほぼ公平。ただし、非常に細かい差でも「先手不満」「後手不満」などと書かれているので、自分の棋力に応じて「『○○不満』なら『実戦的にはほぼ互角』」などと読み替えるとよいだろう。 後手でこの戦型を狙うには、(純正に比べやや損といわれている)先手の同意が必要なので、アマでの実現率は低い戦型だ。ただし、プロではタイトル戦でも時おり現れる戦型なので、この戦型限定の観戦ガイドとしては最適。コアなファンなら持っておくべき一冊だと思う。(2010Nov16) ※誤字・誤植(第1版第1刷で確認) p156 B図 ×「▲2四歩△2三歩」 ○「△2四歩」(2筋の突き捨てが入っている) |