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将棋パワーアップシリーズ 7手詰将棋 |
[総合評価] A 難易度:★★☆ 〜★★★☆ 見開き2問 内容:(質)A(量)A レイアウト:A 解答の裏透け:A 解説:B 中級〜向き |
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【著 者】 高橋道雄 | ||||
【出版社】 創元社 | ||||
発行:2010年10月 | ISBN:978-4-422-75125-2 | |||
定価:1,050円(5%税込) | 208ページ/18cm |
【本の内容】 |
・7手詰=202問 ※以下は囲いの分類。(囲いが崩れた形を含みます) 矢倉=29問(第1問〜第29問) 美濃囲い=31問(第30問〜第60問) 木村美濃=1問(第61問) 舟囲い=18問(第62問〜第79問) 銀冠=17問(第80問〜第96問) 居飛車穴熊=9問(第97問〜第105問) 居玉、中住まい、など超急戦や横歩取りで現れる形=13問(第106問〜第118問) いちご囲い=7問(第119問〜第125問) 中原囲い=7問(第126問〜第132問) 雁木=8問(第133問〜第140問) カニ囲い=9問(第141問〜第149問) 金無双=10問(第150問〜第159問) 振飛車早囲い=12問(第160問〜第171問) 右玉=6問(第172問〜第177問) かなり崩れた居飛車の囲い=45問(第178問〜第202問) ◆内容紹介 同シリーズ『5手詰将棋』の読者からの強い要望により第2弾が登場。「実戦の終盤戦を指しているような気分で詰将棋を楽しめる」がテーマのオール7手詰め202問。配置してある玉の位置も実戦と同じように盤面の右上にあったり、左上や真ん中にあったりと、囲いの名残りを残していて、臨場感たっぷりの構成。思わず解いてみたくなる実戦形の問題がそろっている。7手詰め集としてこれまでにはない珠玉の問題集。 |
【レビュー】 |
7手詰オンリーの詰将棋問題集。 「本当の実戦形」で、5手詰オンリーで好評だった『5手詰将棋』(高橋道雄,創元社,2009)からほぼ一年。今度は7手詰オンリーの詰将棋問題集である。 前作と同様、大部分の問題が実戦で現れる囲い(または囲いが崩れたもの)であり、易しく実戦的な詰め手順が多く含まれている。配置も非常に実戦的で、囲いの原型が分かるものが多い。そして、やはり必ず一つは捨て駒や好手の類が含まれ、実戦的に質駒を取って詰める問題もある。また、5手詰ではどうしても表現しきれないような手順も出てくるので、前作を解いた人も新鮮な気持ちで取り組めるだろう。 なお、「非常に実戦的」とはいっても「詰将棋」なので、駒余りになる問題はない。(解いてみて駒余りになった場合は、玉方の最善手順ではないということ) 登場する囲いの比率は下図の通り。『5手詰将棋』と並べて比較してみた。 |
大きな違いは、 ・矢倉の問題数が大幅up ・いちご囲い、中原囲いが登場(一手損角換わりの流行、横歩取り8五飛戦法の復活が影響?) ・木村美濃の問題数が大幅down といったところ。「その他」(囲いがかなり崩れて原形が分からない形)が大幅downしていることもあり、「囲いを意識した詰将棋本」の色がさらに強まっているといえる。 レイアウト上の裏透け対策もバッチリ。あえて難を挙げるなら、見開き2問になっているため、上段の問題の解答を見るときに、下段の解答も見えるおそれがあることくらい。(この点は、山海堂(すでに倒産)の「MAN TO MAN BOOKS」シリーズが秀でていた) 個人的に難しかったのは、第19問、第50問、第53問、第57問、第125問、第191問。その他の問題は比較的サクサク解けたが、どの問題もそれなりに歯ごたえがあった。おいしい料理というのはこういうものだろうか。 前作のコンセプトはそっくりそのままで、質・量・構成ともにまったく期待を裏切らない、「さすが」といえる出来である。作品・パズルとしての詰将棋としては物足りなさがあるが、実戦での詰め力を普段のトレーニングで磨いておくには絶品の一冊といえるだろう。(2010Nov04) |