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マイコミ将棋文庫SP 将棋・ひと目の端攻め |
[総合評価] A 難易度:★★ 〜★★★ 見開き1問 内容:(質)A(量)A レイアウト:A 解答の裏透け:C 解説:B 初級〜上級向き |
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【編】 週刊将棋 | ||||
【出版社】 毎日コミュニケーションズ | ||||
発行:2008年1月 | ISBN:978-4-8399-2731-8 | |||
定価:1,050円(5%税込) | 416ページ/16cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||||||
( )内の数字は問題数です。
◆内容紹介(MYCOMホームページより) |
【レビュー】 |
端攻め専門の次の一手問題集。 端(1筋・9筋)は、最初から桂香が守っているところなので、初心者はまず端を攻めようとは思わない。しかし、将棋が上手くなればなるほど、端の重要性に気がつくようになる。 ところで、端攻めは定跡書や手筋本(特に歩の手筋を解説した本)でもある程度覚えることができるが、端攻め専門の棋書は(わたしが知る限り)『将棋・端攻め全集』(大内延介,日本将棋連盟,初版1979年)しかなかった。『端攻め全集』もなかなかの本だったが、出版が古いために穴熊や金無双への端攻めはほとんど載っていなかった。本書はおよそ30年を経ての「二代目・端攻め専門書」となる。 本書は基本的に次の一手形式。第1章〜第3章は部分図で、第4章〜第5章は全体図となる。1行ヒントと難易度表示(5段階)あり。全体的に比較的簡単で、難易度1は初級レベルで、難易度5でも初段レベルだと思う。 「比較的簡単」とはいえ、わたしも参考になったのがいくつかあった。 ・第56問の「かんぬきの歩」という手筋の名前は、本書で初めて知った(ググっても0件だった)。難易度3だったが、必至を読み切る手順は有段者でも参考になるだろう。 ・南九段創案の矢倉攻め(第106問〜第107問)は、筋自体を知らなかった(あとで確認したら、『速効!矢倉の手筋』(飯塚祐紀,MYCOM,2002)にも載ってた…orz)。スズメ刺しで▲1七香〜▲1八飛とせずに仕掛け、結果的に「スズメ刺しで角を切った形+2筋の歩が手持ちになる」というもの。2筋の歩が消えるのは利点ばかりではないが、知っておくと幅が広がる。 ・対金無双の端攻め(第117問〜第124問)も参考になった。多くの相振り定跡書に載っているのでマスターしたつもりでいたし、実戦でも何度か使っていて「この攻めが入れば必勝」くらいに思っていたが、金無双側が最善の辛抱をした場合、B面攻撃を絡めないと攻め切れないことが分かった。 部分図の問題が多いので、「まず端攻めの手筋を知ろう」という人には入りやすい。ただ、実戦のどういう場面で使えるのか、またどういうタイミングで事前工作が必要なのかは、本書だけでは習得しきれない。しかし、他書や棋譜並べなどで端攻めを目にする機会は多いので、本書でいったん部分手筋をマスターしてしまえばだんだん使いこなせるようになるだろう。 寄せについての名著で『寄せの手筋168』(金子タカシ,高橋書店,1988)がある。さまざまな寄せの手筋問題を選集し、精緻な解説を加えたもので、絶版ながら現在でも人気のある本だ。本書は解説が並なので『寄せの手筋168』ほどの高評価には至らないが、端の手筋を集めた良書として、かなり良いものだと思う。(2008Apr01) ※第191問は1手必至とのことだが、5手必至だと思う。解答図以下、△3一金(銀)▲1三香△同桂▲3一金までで必至、かと。 |
【他の方のレビュー】(外部リンク) ・将棋の棋書レビュー ・将棋レビュー2.0 ・棋書解説&評価委員会 ・Amazon.co.jp: カスタマーレビュー ・白砂青松の将棋研究室 |