イブニングKC(22) 父ちゃんの王将 全1巻 |
[総合評価] C 絵:B ストーリー:B 構成:B キャラ:B |
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【著 者】 水島新司 | ||||
【出版社】 講談社 | ||||
発行:2003年2月 | ISBN:4-06-352022-6 | |||
定価:514円 | ページ/18cm |
【本の内容】 |
・第一局/第二局/第三局/第四局/解説/「父ちゃんの王将」を読んで=田中寅彦 ・特別短篇(1) 「巨人がなんぼのもんや」(ヤングマガジンKANSAI掲載) ・特別短篇(2) 「雨に唄えば」(ヤングマガジンKANSAI掲載) ◆あらすじ 中田歩(なかた・あゆむ)は生意気ざかりの小学五年生。その棋風は真田九段そっくり。「死んだ父ちゃんの形見の王将駒」を片手に、小学生名人戦をラクラク制覇。特別棋戦に招待された歩は、真田九段の娘・香子と出会う。さらに強くなるため、歩は真田九段の弟子になるが・・・。 |
【レビュー】 |
野球漫画の巨匠・水島新司が描く将棋漫画。 本作品は、イブニング創刊時の目玉の一つとして、大御所・水島新司に「野球以外のものを」と頼んで描かれたもの。意外にも水島は将棋好きだそうで、ほぼ同じ時期の『ドカベン プロ野球編』にも、棋士出身のプロ野球選手が登場したり、山田太郎が詰将棋を解く姿が出てきたりする。 (以下ネタバレの内容を含みます。反転してご覧ください。) 主人公・歩(あゆむ)の口が悪かったり、帽子をかぶっていたりする(対局中はツバを後ろに向ける)のは、やや『月下の棋士』の影響を受けているようだが、水島独特の絵柄とテンポでまったく違う印象になっている。 歩はトントン拍子で強くなっていき、ついには特例でプロ編入試験を受けることになる。その編入試験の是非について棋士総会で議論される場面があるが、これはなかなか迫真に迫っていて面白かった。特に中堅棋士が反対するシーン(汗)。ただ、いきなり大物が出てきて一局限りの試験対局というのは特例すぎるかも?(本作品は「瀬川問題」以前に描かれたものなので仕方ないか) タイトルの「父ちゃんの王将」の秘密は中盤に明かされ、結末は第四話で語られる。 ただ、特に完結宣言もなかったが、いつの間にか連載がストップしていた。連載中は第四話以降も続きそうな雰囲気だったし、本書にもはっきり「1」と書いてあるので、単行本が出た時点では続ける予定だったのだろうか?わたしは他の水島作品も好きだし、本作を結構楽しみにしていたのでとても残念だった。 なお、他に2つの短編が載っているが、これは野球作品。『あぶさん』に出てきそうな話で、個人的には本編よりも面白いくらいだが、将棋は全然出てこないのでここでは割愛する。(2008Apr04) ※冒頭1ページ目で、歩が路上のタイルに描かれた詰将棋を見ながら「ああいく、こうくる、こうする。あは、読んだー」と微妙な用語を使うのでいきなり脱力しそうになるが、これは「詰んだ」か「読み切った」「読めた」の誤植と思われる。 ※大平名人と矢切二冠は、どうみても土門と犬神でしょう(笑)。 |