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谷川流寄せの法則 基礎編 |
[総合評価] S 難易度:★★★ 図面:見開き4枚 内容:(質)S(量)A レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:A 中級〜有段向き |
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【著 者】 谷川浩司 | ||||
【出版社】 日本将棋連盟 | ||||
発行:2004年7月 | ISBN:4-8197-0376-5 | |||
定価:1,365円(5%税込) | 231ページ/19cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||
◆内容紹介 |
【レビュー】 |
終盤の基本と囲いに関する本。 本書の目玉はなんといっても第2章の「何があれば詰み?」。簡素な配置の盤面に対して、詰む持ち駒・詰まない持ち駒を答える。全12問と少ないようだが、1問につき5〜8種類の持ち駒を考えるので、実際の問題数は83問に等しい。第1章でも少し触れられているが、「何を持てば敵玉が寄るか、何を渡しても自玉は大丈夫か」を常に考えるようにすると、終盤力は飛躍的に上昇する。さらにこのような“実戦詰む将棋”を多くこなすことで、その効果は倍加する。 このように「詰む・詰まない」形をたくさん知っていることは大きな強みになる。現在は将棋ソフトにより詰みの有無は簡単に分かるので、ソフトを利用して終盤のデータベース化を図ることも可能だろう。そのうち、第2章を発展させたようなサイトが出現するかと思う。(ていうか、もうあるかも?) 第1章では、詰み・一手スキ・二手スキなど終盤の基本的な手数計算をを解説。これは『谷川流・将棋は終盤』(池田書店,1985)などいくつかの棋書で解説されているので、すでにマスターしている人はさらっと流してよい。もちろん、初めての人には有用なのでじっくり読むべし。 第3章は、いろいろな囲いの特徴を紹介し、「堅さ・組みやすさ・実用度」をそれぞれ5段階で評価している。まるで棋書ミシ○ランみたいだ(違)。囲いの本といえば『序盤戦!! 囲いと攻めの形』(横田稔,高橋書店,1990)だが、本書のほうが長所と短所を的確に解説していてはるかに分かりやすい。この十数年で生まれたトーチカ・中原囲い・藤井システムなどにも対応している。なお、崩し方は書いていない(次巻以降で詳解されると思う)。 第4章は、谷川の実戦から「終盤次の一手」を問う。『谷川浩司の戦いの絶対感覚』(河出書房新社,2003)の終盤編だけを抜き出した感じだ。 本書は“基礎編”ながら、第2章と第4章は結構難しい。やや難易度にアンバランスさがあるが、級位者から有段者まで役立つだろう。「何があれば詰み?」のためだけに読んでみてもいいかと。(2004Oct11) |