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将棋必勝シリーズ なんでも棒銀 |
[総合評価] B 難易度:★★☆ 図面:見開き4枚 内容:(質)B(量)B レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:A 初級〜上級向き |
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【著 者】 森下卓 | ||||
【出版社】 創元社 | ||||
発行:2004年4月 | ISBN:4-422-75102-6 | |||
定価:1,260円(5%税込) | 208ページ/19cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||||||
※より詳しい内容紹介は個別ページを参照してください。
◆内容紹介(創元社HPより) |
【レビュー】 |
棒銀戦法の定跡書。ただし級位者向け。 表紙のマルの中に「…奇襲的なものを集めました」とあるが、本書に載っている棒銀戦法は、比較的オーソドックスなもの(第1章・第4章)と奇襲的なもの(第2章・第3章・第5章)に分類できる。 第1章は相掛かり▲棒銀。一般的には「原始棒銀」と言われるもので、飛と銀の協力(+合わせ歩)でシンプルに飛車先を突破する例の解説がメイン。初級者は、とにかくこの「守り駒よりも多い駒数で攻めれば突破できる」「基本は安い駒が先鋒、大駒は後方」を覚えると良い。ただし、相掛かりはアマでの出現数自体が少なく、さらに後手番を持つような人で、単純に棒銀でつぶされる人はまずいないため、なかなか得意戦法にはしづらいだろう。なお、章末にはプロで流行している「棒銀で後手の陣形を制限し、一転持久戦に切り替える」という手法も紹介されている。 第2章は筋違い角棒銀。2筋突破の例と、8筋逆襲の例を紹介。筋違い角による1歩得と、飛+銀+角という戦力増強により、攻撃力は相当高い戦法だ。先手番なら筋違い角にできる機会は相当多いので、得意戦法にするのも面白い。ただし、玉を固めるのは難しいので、とにかく攻め将棋の人にオススメ。 第3章・第5章は対振り飛車の端攻め棒銀。攻めの構えはだいたい同じだが、囲いが穴熊・美濃囲い・金無双によって、力を溜めるか、すぐ切り込むか、一転して逆サイドを仕掛けるかなどの判断が変わる。「穴熊でも美濃でもやられるのなら金無双で」というのは、考えられる発想(特に級位者なら多そう)なので、金無双にまで言及してあるのは○。 第4章は対▲三間飛車。わざわざ振飛車が待っている7筋を仕掛けていくので、有段者以上ならまずダメと考えてしまう。普通の対△四間飛車に比べて振飛車側が2手多く指すことになるが、手得したほうが必ずしも有利…ではない。また、級位者なら細かい損得よりも、いつも得意な形で仕掛けられることのアドバンテージは大きい。 オビに「有段者の方は読まないでください。」とまで書いてあり(笑)、対象棋力を級位者に限定しているスタンスは、むしろすがすがしい。確かに有段者から見れば、相手の対応がぬるく感じる箇所もあったが、あからさまなココセは少なく、なかなかよくできた戦法書だと思う。特に端棒銀は参考になる筋も多かった。 ある程度指しこなせるようになると、本書の内容では物足りなくなってくると思うので、評価Bにとどめておくが、「なんでも三部作」(他は『なんでも中飛車』,『なんでも矢倉』)の中では一番オススメだと思う。(2008Jun28) |