将棋必勝シリーズ なんでも矢倉 |
[総合評価] B 難易度:★★☆ 図面:見開き4枚 内容:(質)B(量)B レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:A 初級〜中級向き |
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【著 者】 森下卓 | ||||
【出版社】 創元社 | ||||
発行:2004年9月 | ISBN:4-422-75103-4 | |||
定価:1,260円(5%税込) | 208ページ/19cm |
【本の内容】 | ||||||||||||
◆内容紹介(創元社HPより) |
【レビュー】 |
級位者向けの矢倉本。「なんでもシリーズ」三部作の一つで、「有段者お断り」だ。 振飛車でも居飛車でも矢倉に組もう、というのが本書の趣旨。文体はですます調で統一され、易しくて明快で考え方重視の解説なので、定跡書が苦手な人でも読みやすい。駒の損得勘定や駒の働きなど、ある一定の形勢判断ができる人なら十分理解できるレベル。 第1章の矢倉引き角棒銀は、対四間飛車の戦法で、数十年前にはプロでもよく指されていたもの。玉が角筋に入るのが気になるが、舟囲いでは薄すぎるし、今じゃ左美濃も居飛穴も楽に組めやしない…とお悩みの人は、一度試してみる価値はある。 第2章は玉頭位取り戦法。矢倉囲いから発展するわけではないので、これを「矢倉」と言ってしまうのはちょっと疑問のような…。 第3章はいわゆる「後手無理矢理矢倉」。田中寅彦九段が同名の棋書を出しており、森下も本文中で触れているのに、なぜわざわざ「強引矢倉」と名前を変えたんだろう? 3つとも現代のプロでは少し損と見られている戦法なのだが、比較的分かりやすく戦えるというのは魅力的。ただし、本書では相手が最善の対策をしているとは言い難いので、ちょっと強い人には勝てないかもしれない(まぁ「有段者お断り」なので仕方ない…)。同クラス相手にはかなりの威力を発揮するだろう。 実際に得意戦法にするというよりは、「定跡入門」の一冊として読むとよさげ。読んでるうちに、いろんな手筋や考え方を吸収できると思う。(2006Sep14) |