zoom |
スーパー将棋講座 角交換振り飛車 ネット将棋で流行の戦法! |
[総合評価] B 難易度:★★★★ 図面:見開き4枚 内容:(質)B(量)B レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:B 上級〜有段向き |
||
【著 者】 畠山成幸 | ||||
【出版社】 創元社 | ||||
発行:2005年7月 | ISBN:4-422-75100-X | |||
定価:1,260円(5%税込) | 222ページ/19cm |
【本の内容】 | ||||||||||||
◆内容紹介 |
【レビュー】 |
後手番2手損角交換向飛車の戦法解説書。(最近は単に「角交換振り飛車」ということも多い) この戦法が流行りだしたのは2003年ごろだったかと思う。ネット(主に24)で指され、それがプロの実戦に現れ、先手番でやられた棋士が、自分が後手番のときに試し…という流れで広まっていったと記憶している。 オープニングはいくつかの種類がある。 (1)▲7六歩△3四歩▲2六歩△4二飛▲2五歩△8八角成▲同銀△2二銀▲6八玉△6二玉〜△3三銀〜△2二飛(第1章) (2)▲7六歩△3四歩▲2六歩△4二飛▲6八玉△8八角成▲同銀△2二銀▲7八玉△6二玉〜△3三銀〜△2二飛(第2章) (3)▲7六歩△3四歩▲2六歩△8八角成▲同銀△2二銀▲4八銀△3三銀▲6八玉△4二飛(『角交換振り穴スペシャル』(東大将棋部,MYCOM,2008)に掲載の順) ほかにもいくつかのパターンがあるが、基本は (1)序盤早々、後手から角交換をする (2)飛車先(2筋)の受けは△2二銀〜△3三銀(この間の飛先交換は△3三角の反撃があるので無効) (3)△4二飛としたあと、△2二飛とさらに振り直す(△4二飛は▲6五角の両成りを防ぐため) (※なお、いきなり△2二飛という「ダイレクト角交換向飛車」の作戦もあるが、▲6五角とすると大乱戦となりやすい。ある程度定跡化はされているが、本書には掲載なし。) さらに(4)穴熊に潜る、が追加されると、いわゆる「レグスペ」(『角交換振り穴スペシャル』に掲載)になる。後手から角交換しているので1手損、△4二飛と一旦停止しているのでさらに1手損、合計2手損という訳だ。 本書では、後手番2手損角交換向飛車の玉型を美濃囲いと穴熊の2つに分けて解説し、それぞれ▲5六歩型と▲4六歩型の2つに対して、後手がどう戦うかを解説していく。また第3章では、いきなり乱戦になる場合と先手が角交換を拒否した場合の戦い方を解説していく。基本的に後手番視点なので、図面や棋譜は便宜上先後逆になっている。 第1章は美濃囲い。第1図から高美濃で戦うパターンが多い。穴熊とは陣形の広さと立体感が違うため、戦い方も多少変わってくる。 第2章は穴熊。いわゆる「レグスペ」とほぼ同じだが、レグスペ本では端歩を受けていない。本書では「穴熊の端歩を受けるかどうか、どれが良いか現時点では分からないが、本書では受ける形で解説」(p148の内容)。少なくとも本書では端攻めされる展開ではない。通常の感覚では、穴熊の端歩を序盤から積極的に受けることは少ないのだが、端歩を受けないと手が進みすぎるからだろうか? 第1章や第2章を読む前に、第3章の「いきなり乱戦型」を読んだ方が良いと思う。基本的に先手がハマるのだが、この戦法は「角交換後の▲6五角が成立するか否か」が序盤の非常に重要な課題なので、先に疑問を消しておくべきだろう。 創元社が得意とする「図面と解説文が一致した構成」なので、レグスペ本に比べると非常に読みやすいのは良いところ。一方、戦法の狙いや駒組みの方針をまとめたページがないため、戦法の全容が分かりにくいのが欠点。本書を最初にザッと読んだときは、何をしたい戦法なのかがもうひとつピンと来なかったが、レグスペ本を読んだあとにはかなり理解できた。2冊セットで読むのがオススメ。(2年8ヶ月も後に出た本とセットというのも変な話だが(笑))(2009Mar10) |
【他の方のレビュー】(外部リンク) ・守谷将棋 ・なみノート ・白砂青松の将棋研究室 ・遠山雄亮のブックスペース@wiki ・Amazon.co.jp: カスタマーレビュー |