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マイコミ将棋ブックス 角交換振り穴スペシャル |
[総合評価] B 難易度:★★★★ 図面:見開き4枚 内容:(質)A(量)A レイアウト:B 解説:A 読みやすさ:B 上級〜有段向き |
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【著 者】 東大将棋部 | ||||
【出版社】 毎日コミュニケーションズ | ||||
発行:2008年3月 | ISBN:978-4-8399-2803-2 | |||
定価:1,449円(5%税込) | 224ページ/19cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||
・【コラム】東大将棋部とレグスペ/学生将棋について |
【レビュー】 | ||||
レグスペを解説した本。 「レグスペ」──。正式名称は「白色レグホーンスペシャル」らしい。「白色レグホーン」とは卵を産む鶏の代表的品種であるが、本書ではそれが創始者のニックネームなのか戦法の特徴なのかはよく分からないとされている。とにかく、本書で解説されている戦法を「レグスペ」と呼ぶ。(書名が「レグスペ」でないのは、さすがにそれでは売れないと思ったから?) さて、レグスペとはどんな戦法か。基本図までの手順は ▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △8八角成 ▲同 銀 △2二銀 ▲4八銀 △3三銀 ▲6八玉 △4二飛(左図) そして組みあがった一例が右図だ。3筋以外の歩を突かずに穴熊に潜り、向飛車に振り直している。 レグスペとは、本書の定義に沿うと、 (1)後手番の戦法 (2)▲7六歩△3四歩▲2六歩から角交換して飛車を振る (3)△4二飛と一旦停止し、駒組みを進めてから△2二飛と振り直す (4)振飛車穴熊に潜る といった感じだ。なお、『奇襲大全』(1989)や『新版 奇襲大全』(1999)に載っている「大窪流角換わり四間穴熊」もよく似たオープニングであるが、大窪流は△4二飛型のまま△4四歩〜△4五歩と伸ばして戦うのが特徴らしい。一方、レグスペは主に2筋(+3筋)での戦いになるのが違っている。また、メディアなどで角交換振飛車全般がレグスペであるかのように書かれたこともあるようだ。 レグスペは後手番戦法だが、本書では便宜上先後逆でレグスペ側が手前で解説される。 序章は、レグスペという戦法の特徴と、基本の狙いの攻め筋(6パターン)を解説。これらの攻め筋は本書の中で何度も現れるので、必ず読んでおこう。また、プロの実戦でも現れた「△4二飛を省略する指し方」についても触れられているが、本書では推奨されていない。 第1章は、居飛車が堅さを同等にしようと相穴熊を目指す場合。実はレグスペにとっては比較的くみし易く、居飛車が悪くなる変化が多い。 第2章は、銀冠対策。銀冠の理想形、振飛車側が3筋で一歩交換することの利、それを△7四歩で牽制された場合のさらなる反撃筋について解説。 第3章は、角交換している(⇒角のニラミがない)ことを生かし、居飛車が平矢倉に組む対策。本書ではレグスペの強敵とされているので、今後レグスペ対策はほとんどこの平矢倉となるだろう。主に△6五銀+△4四角を組み合わせた攻めに対して、レグスペが以下に反撃するかを解説。 レグスペ対策をしたければ、まずレグスペを知ること。本書ではレグスペの狙い筋が、全編に渡り、同じようなセット手順が何度も出てくる。わずかな形の違いや、彼我の玉型の違いで成否が変わるので、混乱しないように注意したい。狙いが分かれば、対策は自分で考えることも可能だ。 ただ、本書は図面は多いが、構成が少しまずい部分があり、ページを繰り戻して該当局面図を探す回数は結構多かった(再掲図が少ない)。本筋の図よりも参考図のほうが多いせいかもしれない。 わたしもレグスペを指してみたことがあるが、個人的には合わないと思った。歩がぶつかる箇所が少ない将棋が好きではないせいだと思う。ただ、本書を読んで「レグスペも面白い部分がたくさんあるなぁ」と感じた…が、やっぱりあまり指さないだろうな(笑)。 よく研究してあると思うし、類書が少なくレア度も高いと思うが、ややレグスペ側に偏った内容と形成判断に気になる部分があった。AとBの境目だと思うが、あえてBで。(2008Jun02) ※本書を読み終え、いくつか疑問に思う箇所があったので挙げておきたい。もし分かる方があれば、掲示板で教えてくださると助かります。
※誤植:p66「参考1図からは△4四角〜」→「参考2図からは△4四角」 |
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【他の方のレビュー】(外部リンク) ・守谷将棋 ・Amazon.co.jp: カスタマーレビュー ・ビーケーワン ・振り飛車日誌 どっと.NET |