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将棋必勝シリーズ 四間飛車で居飛車穴熊退治 |
[総合評価] B 難易度:★★★★ 図面:見開き4枚 内容:(質)A(量)B レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:A 中級〜有段向き |
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【著 者】 鈴木大介 | ||||
【出版社】 創元社 | ||||
発行:2003年7月 | ISBN:4-422-75087-9 | |||
定価:1,260円(5%税込) | 222ページ/19cm |
【本の内容】 | ||||||||
◆内容紹介(創元社ホームページより) |
【レビュー】 |
四間飛車vs居飛車穴熊の定跡書。四間飛車側の居飛穴対策にはいろいろあるが、本書では「玉が堅くて」「攻撃力がある」戦型に限定。 目次には細かい分岐はまったく書かれていないので、自分で抜き出してみた(個別ページ参照)。「東大将棋ブックス」などのように細かい樹形図ではなく、有力そうな指し手を2つずつ挙げ、その変化を解説していく構成になっている。基本的には、1番目がすぐにやりそうな手、2番目がちょっとひねった手。また、階層が深いほど本筋に近いといえよう。なお、第2章は四間飛車が後手番であるが、便宜上先後逆の図面で解説されている。 第1章は対居飛穴の「浮き飛車戦法」。▲6六飛〜▲7六飛から石田流に組み、自陣は左銀を引き付けてダイヤモンド美濃に囲うというもの(【第1図】)。立石流にも似た筋が出てくるが、まったく別物の戦法と考えてよい。先後の差がやや大きいので、本書では先手番専用と位置づけされている。 第2章はいわゆる「鈴木システム」。居飛穴に対して、基本的には銀冠に組み上げ、△4四銀型から中央突破を狙う(【第2図】)。昔からある形ではあるが、序盤で少しずつ牽制をして居飛穴に一方的な好形を作らせないところに工夫がある。『島ノート』や『最前線物語』でも紹介されていたが、本書が一番詳しくて読みやすいと思う。 また、単純な中央突破だけでなく、本書では1筋攻め(解説図では9筋)の新構想(【第3図】)も披露。玉から一番遠いところを攻めるので意外な感じだが、結構有力そうだ。 「振飛車が先手番のときはスピード重視の浮き飛車、後手番のときは“型”のよい▲6七銀型を覚えてほしいのである。」(104p)とあるが、両方覚えるのが面倒な人は鈴木システムだけでいいかも。 解説はやや大雑把なところもあるが、それよりも明快さがうれしい。『島ノート』『最前線物語』を読んだときは、「で、鈴木システムって?」と疑問な部分が残ったが、本書を読んで氷解した。また、居飛穴側が欲張ったとき(端歩を受けてなお穴熊、無理やり四角い穴熊をめざす等)の咎め方にも触れていて、「鈴木流入門」として非常に分かりやすい構成になっている。 戦型が2つに限定されていることと、発展的内容が別途必要なのでBにとどめたが、思ったよりも良かった。(2006Aug31) |