zoom |
最強将棋21 #01 最前線物語 |
[総合評価] S 難易度:★★★★☆ 図面:見開き4枚 内容:(質)S(量)S レイアウト:B 解説:A 読みやすさ:B 有段〜高段向け |
||
【著 者】 深浦康市 | ||||
【出版社】 浅川書房 | ||||
発行:2003年9月 | ISBN:4-86137-000-0 | |||
定価:1,400円 | 254ページ/19cm |
【本の内容】 | ||||||||||||
◆内容紹介(浅川書房HPより) |
【レビュー】 |
総合定跡書。「最前線シリーズ」の第2冊目で、完全書き下ろし。出版社が変わったが、著者と編集者はそのままである。編集者である浅川氏が独立して設立した浅川書房の、記念すべき1冊目の棋書となった。 前著『これが最前線だ!』(1999)と比べて、選ばれた戦型は大きく様変わりした。前著では比較的小さな扱いだった四間飛車藤井システムと横歩取り△8五飛戦法が二大テーマにまで成長。藤井システム関連で2000年に流行を見せた「ミレニアム」も新興戦法ながら3テーマを占める。一方で、長年の中枢戦法であった矢倉はわずか2テーマ、対振飛車の舟囲い急戦系も縮小した。従来とは異なる発想の戦法が大流行し、「新手一勝」「昨日の勝着は今日の敗着」という、戦法的に激動の時代が始まったのである。 基本的な構成は前著と同じ。各テーマの冒頭1ページで、テーマ図の説明、背景、考え方、思想、現在の傾向と対策などをひとまとめにし、解説ページでは基本変化と実戦例、考え方や今後の展望など。レイアウトも基本的に同じだが、本書では見開きの左端に各図の短評が示されている。これは「浅川氏編集」の定跡書で時々見られる手法で個人的には好きだが、本書の場合は図面と短評が離れているのでやや読みづらい。 本書は「最前線シリーズ」の2冊目ということで、ベーシックな内容はかなり減り、最新(1999〜2003年)の実戦解説が増えて、“最前線”的な色が濃くなってきた。実はわたしは本書を出版直後に飛行機の中で一気読みしたのだが(今までレビューを保留し続けてゴメンナサイ)、ついていけない戦型が多くてため息が出たものだ。逆に現在(2006年9月)の目で見ると、前著以上に消えていった形が多いことに驚く。特に横歩取り△8五飛とミレニアムは選択肢としては残っているものの、かなり斜陽化した。 本書は、前著よりも必携度はわずかに低いかもしれない。しかし戦法史の流れを理解していくには最適の書であるし、後々重要な資料となることは間違いない(『消えた戦法の謎』(勝又清和,1995)のように)。わずかな違いで戦型が復活することもよくあることで、そのときに簡単に引っ張り出せることを期待して、本書を入手・一読しておくことをオススメする。(2006Oct18) |