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ビッグ・コロタン(112) よくわかる将棋入門 |
[総合評価] B 難易度:★☆〜★★ 図面:見開き3〜6枚 内容:(質)B(量)B レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:A 初心者向き |
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【著 者】 古作登 【監 修】 渡辺明 | ||||
【出版社】 小学館 | ||||
発行:2008年8月 | ISBN:978-4-09-259112-7 | |||
定価:893円(5%税込) | 199ページ/18cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||||||||||||||
【まんが】 村田ヒロシ 【編集】 吉川藤三郎(小学館) 【編集協力】 橋森紀夫 ・【巻頭カラー口絵】これがプロ棋士の世界だ!/めざせ、小学生将棋名人/「将棋の町」天童/将棋会館へ行ってみよう
・【コラム】(1)将棋のルーツはインドだった
(2)平安時代に伝わり、江戸時代に栄えた将棋/棋士の生活/人間とコンピュータの対決/将棋と脳科学 |
【レビュー】 |
初心者向けの将棋入門書。 全ての漢字(漢数字を除く)にルビ付きで、子どもに対応している。文体は特に子どもを意識した書き方ではなく、普通のですます調で、大人でも違和感なく読めるような感じ。ただし、小学校で習う漢字以外はひらがなを使用しているので(例:「特徴」の「徴」など)やはり子ども向けか?また、藤子不二雄風のイラストと図面を適度に使用しているので、読み疲れにくい構成になっている。ときどき書かれている「ポイント」が極太ゴシックで目立つのは○。 第1章は基本ルール、詰みの概念、対局マナーについて。入門書としてはかなり駆け足で解説しているので、まったくの初心者には少し難しいかもしれない。友達にルールを教えてもらって一応ゲームができるようにはなっている、という人にはちょうど良い。 第2章は実戦の流れとメジャーな囲いを解説。玉、歩、飛、角だけという「小田切式八枚落ち」(鬼斬転輪(小田切秀人指導棋士のHP))と、平手(相掛かり原始棒銀、四間飛車vs棒銀)という簡単な定跡を追っていく。初めて棋書を読む人は、まだ棋譜に慣れていないのでここはかなり苦労するだろう。素直に盤を使って並べた方がよい。また、実戦譜の前に必至(本書では「必死」)の概念と練習問題があるが、この時点で必至を解説した入門書は初めて見た! 第3章は代表的な駒の手筋。分量は多くなく、かなり基本的な手筋に絞って解説されている。 第4章は戦法解説。第2章の続きのような感じで、易しい定跡手順を終盤の入口まで解説している。 第5章は基本的な格言とインタビュー。格言は「玉の守りは金銀3枚」「攻めは飛角銀桂」「突かれた歩は取る」「三手の読み」「王手は追う手」「玉は包むように寄せよ」の6つ。本格的な将棋を目指すならいずれも基本となる考え方だ。後半のインタビューでは、将棋が強くなるためには、最初は詰将棋よりも実戦と定跡の定跡の暗記を推奨。 第6章は次の一手問題。問題図の上部に、図の背景とテーマの解説。問題図の下部には2コママンガが描かれ、これが大事なヒントになっている。ヒントは見ないようにする人もいると思うが、このマンガは考え方の養成になるので読んでおいた方がよい。 第7章は、実戦を指せる場所の紹介と、将棋用語の簡単な解説。 全体的に、入門書としてはややレベルの高い解説だと思う。すでにクラス内で実戦を経験している小学生の人にジャストフィットしそう。値段が安いのも良い。 ただ、同じ子ども向けで値段も安くて…となると『将棋の必殺ワザ』(先崎学,ポプラ社,2003)や『やまと先生の入門!将棋教室』(高橋和,日本文芸社,2003)の方に軍配が上がるかな…。個人的には、本書は駒の損得や形成判断の話をあまりしないまま実戦解説を進めるところが残念だと思う。(2008Dec03) |