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■「将棋世界」誌の付録:2017年

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表紙 タイトル・著者・発行 内容 備考
極限 早繰り銀戦法
あふれるスピード感と圧倒的な破壊力!

佐藤慎一
2017.08
「極限 早繰り銀戦法」を解説した本。

本作戦は、2017年の名人戦第3局に登場して、にわかに注目度が高まっている戦法。というものの、この戦法名は著者が即席で名付けたもので、いま現在はまだ浸透していない。

・「自陣の守りを最小限に済ませて、一目散に後手の角頭を狙います」(はしがき)が特徴。
・出だしは▲2六歩△3四歩▲2五歩△3三角。以下▲7六歩△2二銀と角換わり模様になったら、▲4八銀△3二金▲3六歩!〜▲3七銀〜▲4六銀。
・普通の角換わり▲早繰り銀では、2四で銀交換した時の王手飛車対策として、▲1六歩や▲6八玉の1手が必要だが、本譜は居玉で▲3五歩と仕掛ける。〔右図〕
・場合によっては、大駒を見捨てる覚悟も必要。
・▲3四歩の拠点が確保できた場合は、ゆっくり指す。△2二銀(壁銀)に触らない。
・△飛先交換型では、▲8七歩と受けずに▲4六銀。

No.1〜8 △角交換拒否型
No.9〜12 △角交換型
No.13〜28 △飛先交換型
No.29〜39 実戦編(@2016.11、C2 A2016.06、叡王戦 B2017.05、名人戦3)


アマでも△角換わりを指す人が増えている現状では、初手から4手が入ればそこそこ高い確率で本戦法に誘導できそう。決まれば即必勝というわけではなく、結構危ない橋を渡ったり、緩急の切り替えが必要で、指しこなすには力が要りそうだが、早くチョッカイをかけるのが好きな人には適した戦法だ。(2017Jul22)

※誤字・誤植
p74 ×「いきおい△8八歩成▲8四歩△8九歩成」 ○「いきおい△8八歩成▲8四歩△8九と
内藤國雄の短編詰将棋
全部詰めたら“九段”? 5手〜13手詰39題

内藤國雄
2017.07
5〜13手詰の詰将棋問題集。

表紙の「全部詰めたら“九段”?」の不思議な文言は、はしがきに説明がある。要約すると、詰将棋に精通したプロ九段が「これは詰まない」と思ってしまうような詰将棋を、まだ将棋に慣れきったとはいえないアマ初段が解くことがある。そういった問題を、内藤は「詰ませばアマ初段〜九段」と表現していたことがあるのだそうだ。

そういう経緯から、本書では「面倒な変化もないのに解きにくと思う短編」(はしがき)を出題している。

解いてみると、なるほど、スルッと解けてしまうこともあれば、袋小路に迷い込んで脱出できないもの(そして解答を見ると「なんだそうか!」と感じる)、妙手と凡手が入り混じって手順が見えにくいものなど、確かに解きにくいものが多かった。5〜7手程度でも、ひと目で解けたものはなかったかと思う。逆に言えば、しっかり読みを入れるには良い題材である。

解説はあっさり2〜3行だが、「解説補足」として変化手順なども書いてあるので、分からなければ諦めて解説を見てみるのも良い。そして二巡目を解いてみよう。おそらく、少し時間が経っていれば、何回解いても苦戦するはず。長く楽しめそうな一冊である。(2017Jul01)
新手年鑑 2017年版
左美濃急戦、角換わり新型、勇気流、角頭歩……
ライバルの先を行く最新ガイド!

勝又清和
2017.06
2016年度の新手を解説した本。

コラムも含め、載っている戦型をピックアップしていくと、

◎矢倉
 ・対矢倉△居角左美濃急戦
 ・5手目▲7七銀の復活
   ・△早繰り銀〜腰掛け銀への繰り替え
   ・先手に飛先交換させて△早繰り銀
◎角換わり
 ・△6二金-8一飛型
 ・△4二玉型での△6五歩 (先手番でも同様の仕掛け筋)
 ・第4の戦型「超速▲4五桂」
◎四間飛車藤井システム
 ・銀冠〜▲6六角〜居飛穴に潜る
◎ゴキゲン中飛車
 ・超速対策1、△3二銀型で△5六歩
 ・超速対策2、△4二銀型
◎▲中飛車
 ・△角道不突き左美濃
◎横歩取り
 ・佐々木勇気流▲6八玉
◎4手目△3三角戦法と▲2六歩△3四歩▲2五歩△3三角▲7六歩
◎△角頭歩戦法


となる。また、「多くの戦型において△6二金-8一飛型がトレンドになっている」という話も書かれていた。

今回は、既存の戦型の新手より、新しい戦型が次々と登場してきたという印象が強い。これらのうち、いくつかは単行本化していないものもあるので、早めに取りいれて得意戦法を育てるチャンスかもしれない。(2017Jun03)
終盤力を鍛える手筋問題集
終盤のメカニズム
“スーパーあつし君”が仕掛ける終盤のマジック39題

宮田敦史
2017.05
創作次の一手の問題集。

全39問すべてが部分図の次の一手問題。互いの玉が関係していることも多い。

また、2〜4問がセットになっているものもある(No.13以降はほとんどがセット問題)。わずかな違いで正解が変わってくることを楽しもう。

次の一手問題としてのジャンルは非常に幅広い。

【攻め】 寄せ(必至の一歩前)/必至/詰み(駒余り)
【受け】 王手への対応/詰めろ逃れ/詰み逃れ(頓死逃れ)
【両方】 攻めをなくさない合駒選択/攻めか受けか


中には難易度の高い問題もある。丁寧な解説が付いているので、分からなかった場合はしっかり熟読しておこう。

こういった、ジャンルの幅広い次の一手問題集は、本書のような40問くらいがちょうど良いと思う。(2017Jun03)

※誤字・誤植等:
p32 ×「▲8八玉と逃げられるのが…」 ○「▲9八玉と逃げられるのが…」
p56 ×「▲6九銀の犠打は利がず」 ○「▲6九銀の犠打は利かず
二枚落ち新定跡 居玉突貫棒銀
野獣直伝! 居玉上等! 攻めて攻めて攻め倒せ!

泉正樹
2017.04
二枚落ちの下手の新戦法を解説した本。

二枚落ちの定跡といえば、二歩突っ切りや銀多伝などが有名である。これらはどちらも序盤で3筋と4筋の位を取ることが共通している。

もちろん、その指し方は棋理にかなったものであるが、二枚落ち特有の指し方でもあるため、違和感を感じている人も多いだろう。その違和感は、特に攻め将棋の人に多いようである。

そこで、飛香落ちなどで速攻作戦を提案してきた泉八段が、二枚落ちでも居玉で攻める新手法を発表したのが本書である。

この[居玉作戦]は、以下のような特徴がある。

角道を開けるのを保留し、飛先の歩を伸ばすのを優先。
 隙があれば飛先交換から横歩(5四歩)を取る。(表紙の局面)
 上手が慎重に指せば、銀多伝などで上手の左の金銀を固定させるのと同じ効果が出る。

玉は囲わず、居玉のまま。左右の金もなるべく動かさない。
 大駒の打ち込みには強いので、場合によっては飛車切りも考える。

3筋の位を早めに取る。
 銀桂の進出がスムーズになる。
 多くの場合、飛先交換よりも3筋の位を優先。
 本作戦では4筋の位はマストではない。

上手の出方によって、攻めを使い分ける。
 棒銀、1筋攻め、早繰り銀、カニカニ銀風など。
 (タイトルは「居玉突貫棒銀」だが、いろいろな攻め筋がある)


決して下手が従来定跡よりも楽に勝てる作戦というわけではない。プロを相手にこの作戦で完勝するなら、やはりアマ三段くらいの棋力が必要だろう。ただ、攻めっ気が強い棋風の人にはオススメの作戦だ。定跡が整備されていないので、手将棋を好む人にもオススメ。ぜひ試してみてください。

なお、エルちゃん(愛犬)の近況報告は健在だ(笑)。出題後にいきなりブッこんできたり、愛がハンパない。(2017Mar16)
初段 常識の手筋U
将棋センスをブラッシュアップ

及川拓馬
2017.03
初段向けの次の一手問題集。

No.1〜22 見開き2問、部分図
No.23〜29 見開き1問、部分図
No.30〜50 見開き1問、全体図


取り上げられているテーマは、すべて初段必修といえるようなもので、だいたい3手〜7手くらいがちゃんと読めれば解ける。

どのような手筋が出題されているか、一部を列挙しておこう(順不同)。

〔手筋〕
継ぎ歩/突き違いの歩/銀バサミの避け方/端攻め/端攻めの受け/合わせ歩/焦点の歩/角頭の受け/焦点の歩/垂れ歩/銀捨てからの飛金両取り/駒を取られそうでも逃げない/玉頭を押さえる/早繰り銀での敵玉位置の違い/四間vs棒銀の切り返し/横歩取りでの角の捕獲/大駒は近づけて受けよ/
〔戦法〕
角交換振飛車/石田流本組/角換わり/向飛車/相掛かり/相穴熊/四間飛車玉頭銀/角換わり腰掛銀/雁木/中飛車/矢倉



初段を自認する方なら、6割は解けてほしい。また、三段〜四段の自信がある方も、実戦では見逃すことも多いと思うので、どれだけ解けるか確認しておきたい。ちなみに私は2問ほど詰まってしまいました(汗)。(2017Feb13)
実戦次の一手
村山聖の振り飛車
村山聖九段が指した振り飛車の妙手を厳選。公式戦データ収録

久保利明/監修

一瀬浩司/編集協力
炬口勝弘/表紙写真
2017.02
故・村山聖九段の実戦から、振飛車の次の一手35問。

居飛車党のイメージが強い村山だが、振飛車も結構指している。本書に登場する振飛車は、向飛車、陽動振飛車、三間飛車、四間飛車、立石流、相振飛車、中飛車と非常に幅広い。

局面は超序盤から最終盤まで取り上げられているが、終盤の鋭い踏み込みは当然ながら、卓越した大局観も注目したい。振飛車党必須の「○○が捌ければ良し」だけでなく、「駒損でも、相手の○○の働きを悪くしているので良し」というパターンが何度か登場する。村山の振飛車を見ていると、「捌くだけが振飛車じゃないんだな」と思えてくる。

巻末には、村山の全公式戦データが掲載されている。データは、対局の日付、棋戦名、勝敗、対局者名。不戦敗も当然記録されているので、いつごろが体調不良がきつい時期だったのかが偲ばれる。(2017Feb04)
実戦次の一手
村山聖 魂の一手
順位戦を中心に村山聖九段珠玉の妙手を厳選。昇級の記収録

森信雄/監修

一瀬浩司/編集協力
中野英伴/表紙写真
2017.01
故・村山聖九段の実戦から、振飛車の次の一手35問。主に順位戦からの出題。

本書では、村山は基本的に居飛車側を持っている。大半が矢倉(と思われる)の将棋で、相掛かり・角換わりもある。一部の対抗形でも村山は居飛穴などを採用。1局だけ変則的な出だしからの相振飛車があった。

No.1〜4 1987年度C級2組(順位戦のデビュー年。C1へ昇級)
No.5〜7 1988年度C級1組
No.8〜11 1991年度C級1組(B2へ昇級)
No.12〜15 1992年度B級2組(B1へ昇級)
No.16    1993年度B級1組
No.17〜19 1994年度B級1組(A級へ昇級)
No.20〜22 1995年度A級
No.23    1996年度A級(B1へ陥落)
No.24〜27 1997年度B級1組(A級復帰)
No.28〜31 1992年度王将リーグ(唯一のタイトル挑戦したリーグ)
No.32    1998.02.28 NHK杯(vs羽生。『聖の青春』でも取り上げられた将棋)
No.33    1998.03.06 竜王戦1組(vs木村。絶局)


なお、将棋世界5月号に毎年掲載される「昇級 喜びの声」が、初昇級4回分が当時のそのままで掲載されている。(A級復帰時のものはない)

解説は約150字で、付録としてはかなり多め。ただし、局面もかなり難解なものが多いので、何度もページを繰る必要がある。(※電子版で2画面表示で見られる環境なら問題なし)

次号と併せ、ぜひ村山の妙技を味わってください。(2017Feb28)


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