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■「将棋世界」誌の付録:2017年

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表紙 タイトル・著者・発行 内容 備考
定跡次の一手
攻めて楽しい雁木戦法
ツボにはまれば破壊力満点!攻撃志向の秘伝の布陣

北島忠雄
2017.11
雁木戦法を解説した本。

アマでは以前から指されていた雁木戦法。『雁木伝説』(1991)や『雁木でガンガン!!』(1999)など書籍も出版されているが、プロでは否定的な考え方が主流だった。

ところが、近年はコンピュータによる研究の進化により、雁木が見直されている。「銀が桂で狙われる位置にいない」「左桂の活用ができる」など、長所が言語化されたことで、優秀性が再認識されたようで、2017年のプロ公式戦で大流行中である。

雁木の形も現在は2種類あって、本誌の増田講座では〔左上図〕の4七銀型、北島講座と本書では〔右上図〕の5七銀型を扱っている。本紙の北島講座が[基本編]、本書(付録)が[応用編]という位置づけなので、あわせて読んでおこう。

本書の雁木では、〔右図〕のように▲6五歩と角筋を通しておくのがポイント。△7三桂で狙われているが、取らせても戦えると考えている。

No.2〜15 ▲6五歩を△7三桂で狙ってきた場合
No.16〜39 引き角から8筋歩交換してきた場合



「堅さは正義」ではなくなりつつある現代将棋。そのハシリである雁木について、従来とは違う感覚を修得しておく意義は大きい。現状ではまだ参考書籍がそろっていないので、本書(付録)と本誌の講座をチェックしておこう。(2017Oct21)
振り飛車穴熊 終盤のトリック
あっと驚く奇手妙手!起死回生の次の一手

森信雄
2017.10
「穴熊の終盤戦における大技を集めた次の一手集」(はしがきより)。

実戦形式の次の一手問題が39問。ヒントは1行、解説は200〜260字。

詰めろ逃れの詰めろが半分くらいを占める。他には、自玉がZの状態での寄せ・必至問題や、受けの問題も数問ある。中には、受けて手数が進むと詰めろ逃れの詰めろになっているようなものもあり、明確な線引きは難しいです。

難易度的には、平均的には三段〜四段クラスが多いように感じた。中には初段・二段クラスの易しめのものや、高段者向けのものもある。難易度表示はないので、自分で納得いくまで考えたら答えを見よう。

振り穴ならではの技が利いたものも多い。系統だった整理はされていないので、とにかく39問に触れて感覚を養おう。(2017Sep11)

※誤字・誤植
p24 ×「▲3九金△七桂以下…」 ○「▲3九金△3七桂以下…」
p36 ×「また△3一金の打受けなら」 ○「また△3一金打の受けなら」
p40最終行 ×「…△2九竜▲同馬で」 ○「…△2九竜▲同角成で」
実戦次の一手
藤井聡太 29連勝の軌跡
師匠も驚く奇跡の一手!幼少時代から連勝記録達成までの39題

杉本昌隆
2017.09
藤井聡太四段の実戦から出題した次の一手問題集。

藤井四段は、2016年12月のデビュー戦以来、公式戦29連勝を達成した。週刊紙やテレビなどのメディアでも連日大きく採り上げられ、定時のニュースや速報も出るほどのフィーバーぶりだった。

本書は、藤井の小学1年生の研修会から奨励会、「炎の七番勝負」、公式戦29連勝達成までの実戦から、師匠の杉本が次の一手問題として出題するものである。

No.1〜No.5 小学1年生(研修会)〜三段リーグ
No.6〜No.8 AbemaTV「藤井聡太の炎の七番勝負」
No.9〜No.39 公式戦29連勝の軌跡


TVなどでは、「藤井四段はAIの申し子」のように語られることが多かったが、藤井本人や師匠の杉本は否定的。本書で語られる藤井将棋の特徴は、以下のようなものである。

・「伝説「羽生の▲5二銀を髣髴させる銀捨て」(p6)
・「自玉が薄くなっても全く怖がらない指し回し」(p10)
 ※穴熊も指すが、玉の薄さを厭わない
・「受けに自信がある」(p20)
・「安全を追わない」(p32)
・「角を使う手に特徴がある」(p68)
・「詰んでいる玉は、全く緩まず詰ます」(p72)
・「アクロバティックな攻め方や、人の気がつかない発想」(p78)


まるで、羽生・大山・升田・谷川…など、歴代の大棋士の特長を「いいとこどり」しているようだ。要するに「とても強い」んですよね。本書の39題を鑑賞するだけでも、藤井将棋の一端に触れることができるので、ぜひ試してほしい。

なお、本書の問題は絶対的な正解があるとは限らず、あくまで「藤井が指した手」が正解なので注意してください。(2017Aug21)

※誤字・誤植
p52 ×「しかし▲4五桂で…」 ○「しかし▲3四角で…」
極限 早繰り銀戦法
あふれるスピード感と圧倒的な破壊力!

佐藤慎一
2017.08
「極限 早繰り銀戦法」を解説した本。

本作戦は、2017年の名人戦第3局に登場して、にわかに注目度が高まっている戦法。というものの、この戦法名は著者が即席で名付けたもので、いま現在はまだ浸透していない。

・「自陣の守りを最小限に済ませて、一目散に後手の角頭を狙います」(はしがき)が特徴。
・出だしは▲2六歩△3四歩▲2五歩△3三角。以下▲7六歩△2二銀と角換わり模様になったら、▲4八銀△3二金▲3六歩!〜▲3七銀〜▲4六銀。
・普通の角換わり▲早繰り銀では、2四で銀交換した時の王手飛車対策として、▲1六歩や▲6八玉の1手が必要だが、本譜は居玉で▲3五歩と仕掛ける。〔右図〕
・場合によっては、大駒を見捨てる覚悟も必要。
・▲3四歩の拠点が確保できた場合は、ゆっくり指す。△2二銀(壁銀)に触らない。
・△飛先交換型では、▲8七歩と受けずに▲4六銀。

No.1〜8 △角交換拒否型
No.9〜12 △角交換型
No.13〜28 △飛先交換型
No.29〜39 実戦編(@2016.11、C2 A2016.06、叡王戦 B2017.05、名人戦3)


アマでも△角換わりを指す人が増えている現状では、初手から4手が入ればそこそこ高い確率で本戦法に誘導できそう。決まれば即必勝というわけではなく、結構危ない橋を渡ったり、緩急の切り替えが必要で、指しこなすには力が要りそうだが、早くチョッカイをかけるのが好きな人には適した戦法だ。(2017Jul22)

※誤字・誤植
p74 ×「いきおい△8八歩成▲8四歩△8九歩成」 ○「いきおい△8八歩成▲8四歩△8九と
内藤國雄の短編詰将棋
全部詰めたら“九段”? 5手〜13手詰39題

内藤國雄
2017.07
5〜13手詰の詰将棋問題集。

表紙の「全部詰めたら“九段”?」の不思議な文言は、はしがきに説明がある。要約すると、詰将棋に精通したプロ九段が「これは詰まない」と思ってしまうような詰将棋を、まだ将棋に慣れきったとはいえないアマ初段が解くことがある。そういった問題を、内藤は「詰ませばアマ初段〜九段」と表現していたことがあるのだそうだ。

そういう経緯から、本書では「面倒な変化もないのに解きにくと思う短編」(はしがき)を出題している。

解いてみると、なるほど、スルッと解けてしまうこともあれば、袋小路に迷い込んで脱出できないもの(そして解答を見ると「なんだそうか!」と感じる)、妙手と凡手が入り混じって手順が見えにくいものなど、確かに解きにくいものが多かった。5〜7手程度でも、ひと目で解けたものはなかったかと思う。逆に言えば、しっかり読みを入れるには良い題材である。

解説はあっさり2〜3行だが、「解説補足」として変化手順なども書いてあるので、分からなければ諦めて解説を見てみるのも良い。そして二巡目を解いてみよう。おそらく、少し時間が経っていれば、何回解いても苦戦するはず。長く楽しめそうな一冊である。(2017Jul01)
新手年鑑 2017年版
左美濃急戦、角換わり新型、勇気流、角頭歩……
ライバルの先を行く最新ガイド!

勝又清和
2017.06
2016年度の新手を解説した本。

コラムも含め、載っている戦型をピックアップしていくと、

◎矢倉
 ・対矢倉△居角左美濃急戦
 ・5手目▲7七銀の復活
   ・△早繰り銀〜腰掛け銀への繰り替え
   ・先手に飛先交換させて△早繰り銀
◎角換わり
 ・△6二金-8一飛型
 ・△4二玉型での△6五歩 (先手番でも同様の仕掛け筋)
 ・第4の戦型「超速▲4五桂」
◎四間飛車藤井システム
 ・銀冠〜▲6六角〜居飛穴に潜る
◎ゴキゲン中飛車
 ・超速対策1、△3二銀型で△5六歩
 ・超速対策2、△4二銀型
◎▲中飛車
 ・△角道不突き左美濃
◎横歩取り
 ・佐々木勇気流▲6八玉
◎4手目△3三角戦法と▲2六歩△3四歩▲2五歩△3三角▲7六歩
◎△角頭歩戦法


となる。また、「多くの戦型において△6二金-8一飛型がトレンドになっている」という話も書かれていた。

今回は、既存の戦型の新手より、新しい戦型が次々と登場してきたという印象が強い。これらのうち、いくつかは単行本化していないものもあるので、早めに取りいれて得意戦法を育てるチャンスかもしれない。(2017Jun03)
終盤力を鍛える手筋問題集
終盤のメカニズム
“スーパーあつし君”が仕掛ける終盤のマジック39題

宮田敦史
2017.05
創作次の一手の問題集。

全39問すべてが部分図の次の一手問題。互いの玉が関係していることも多い。

また、2〜4問がセットになっているものもある(No.13以降はほとんどがセット問題)。わずかな違いで正解が変わってくることを楽しもう。

次の一手問題としてのジャンルは非常に幅広い。

【攻め】 寄せ(必至の一歩前)/必至/詰み(駒余り)
【受け】 王手への対応/詰めろ逃れ/詰み逃れ(頓死逃れ)
【両方】 攻めをなくさない合駒選択/攻めか受けか


中には難易度の高い問題もある。丁寧な解説が付いているので、分からなかった場合はしっかり熟読しておこう。

こういった、ジャンルの幅広い次の一手問題集は、本書のような40問くらいがちょうど良いと思う。(2017Jun03)

※誤字・誤植等:
p32 ×「▲8八玉と逃げられるのが…」 ○「▲9八玉と逃げられるのが…」
p56 ×「▲6九銀の犠打は利がず」 ○「▲6九銀の犠打は利かず
二枚落ち新定跡 居玉突貫棒銀
野獣直伝! 居玉上等! 攻めて攻めて攻め倒せ!

泉正樹
2017.04
二枚落ちの下手の新戦法を解説した本。

二枚落ちの定跡といえば、二歩突っ切りや銀多伝などが有名である。これらはどちらも序盤で3筋と4筋の位を取ることが共通している。

もちろん、その指し方は棋理にかなったものであるが、二枚落ち特有の指し方でもあるため、違和感を感じている人も多いだろう。その違和感は、特に攻め将棋の人に多いようである。

そこで、飛香落ちなどで速攻作戦を提案してきた泉八段が、二枚落ちでも居玉で攻める新手法を発表したのが本書である。

この[居玉作戦]は、以下のような特徴がある。

角道を開けるのを保留し、飛先の歩を伸ばすのを優先。
 隙があれば飛先交換から横歩(5四歩)を取る。(表紙の局面)
 上手が慎重に指せば、銀多伝などで上手の左の金銀を固定させるのと同じ効果が出る。

玉は囲わず、居玉のまま。左右の金もなるべく動かさない。
 大駒の打ち込みには強いので、場合によっては飛車切りも考える。

3筋の位を早めに取る。
 銀桂の進出がスムーズになる。
 多くの場合、飛先交換よりも3筋の位を優先。
 本作戦では4筋の位はマストではない。

上手の出方によって、攻めを使い分ける。
 棒銀、1筋攻め、早繰り銀、カニカニ銀風など。
 (タイトルは「居玉突貫棒銀」だが、いろいろな攻め筋がある)


決して下手が従来定跡よりも楽に勝てる作戦というわけではない。プロを相手にこの作戦で完勝するなら、やはりアマ三段くらいの棋力が必要だろう。ただ、攻めっ気が強い棋風の人にはオススメの作戦だ。定跡が整備されていないので、手将棋を好む人にもオススメ。ぜひ試してみてください。

なお、エルちゃん(愛犬)の近況報告は健在だ(笑)。出題後にいきなりブッこんできたり、愛がハンパない。(2017Mar16)
初段 常識の手筋U
将棋センスをブラッシュアップ

及川拓馬
2017.03
初段向けの次の一手問題集。

No.1〜22 見開き2問、部分図
No.23〜29 見開き1問、部分図
No.30〜50 見開き1問、全体図


取り上げられているテーマは、すべて初段必修といえるようなもので、だいたい3手〜7手くらいがちゃんと読めれば解ける。

どのような手筋が出題されているか、一部を列挙しておこう(順不同)。

〔手筋〕
継ぎ歩/突き違いの歩/銀バサミの避け方/端攻め/端攻めの受け/合わせ歩/焦点の歩/角頭の受け/焦点の歩/垂れ歩/銀捨てからの飛金両取り/駒を取られそうでも逃げない/玉頭を押さえる/早繰り銀での敵玉位置の違い/四間vs棒銀の切り返し/横歩取りでの角の捕獲/大駒は近づけて受けよ/
〔戦法〕
角交換振飛車/石田流本組/角換わり/向飛車/相掛かり/相穴熊/四間飛車玉頭銀/角換わり腰掛銀/雁木/中飛車/矢倉



初段を自認する方なら、6割は解けてほしい。また、三段〜四段の自信がある方も、実戦では見逃すことも多いと思うので、どれだけ解けるか確認しておきたい。ちなみに私は2問ほど詰まってしまいました(汗)。(2017Feb13)
実戦次の一手
村山聖の振り飛車
村山聖九段が指した振り飛車の妙手を厳選。公式戦データ収録

久保利明/監修

一瀬浩司/編集協力
炬口勝弘/表紙写真
2017.02
故・村山聖九段の実戦から、振飛車の次の一手35問。

居飛車党のイメージが強い村山だが、振飛車も結構指している。本書に登場する振飛車は、向飛車、陽動振飛車、三間飛車、四間飛車、立石流、相振飛車、中飛車と非常に幅広い。

局面は超序盤から最終盤まで取り上げられているが、終盤の鋭い踏み込みは当然ながら、卓越した大局観も注目したい。振飛車党必須の「○○が捌ければ良し」だけでなく、「駒損でも、相手の○○の働きを悪くしているので良し」というパターンが何度か登場する。村山の振飛車を見ていると、「捌くだけが振飛車じゃないんだな」と思えてくる。

巻末には、村山の全公式戦データが掲載されている。データは、対局の日付、棋戦名、勝敗、対局者名。不戦敗も当然記録されているので、いつごろが体調不良がきつい時期だったのかが偲ばれる。(2017Feb04)
実戦次の一手
村山聖 魂の一手
順位戦を中心に村山聖九段珠玉の妙手を厳選。昇級の記収録

森信雄/監修

一瀬浩司/編集協力
中野英伴/表紙写真
2017.01
故・村山聖九段の実戦から、振飛車の次の一手35問。主に順位戦からの出題。

本書では、村山は基本的に居飛車側を持っている。大半が矢倉(と思われる)の将棋で、相掛かり・角換わりもある。一部の対抗形でも村山は居飛穴などを採用。1局だけ変則的な出だしからの相振飛車があった。

No.1〜4 1987年度C級2組(順位戦のデビュー年。C1へ昇級)
No.5〜7 1988年度C級1組
No.8〜11 1991年度C級1組(B2へ昇級)
No.12〜15 1992年度B級2組(B1へ昇級)
No.16    1993年度B級1組
No.17〜19 1994年度B級1組(A級へ昇級)
No.20〜22 1995年度A級
No.23    1996年度A級(B1へ陥落)
No.24〜27 1997年度B級1組(A級復帰)
No.28〜31 1992年度王将リーグ(唯一のタイトル挑戦したリーグ)
No.32    1998.02.28 NHK杯(vs羽生。『聖の青春』でも取り上げられた将棋)
No.33    1998.03.06 竜王戦1組(vs木村。絶局)


なお、将棋世界5月号に毎年掲載される「昇級 喜びの声」が、初昇級4回分が当時のそのままで掲載されている。(A級復帰時のものはない)

解説は約150字で、付録としてはかなり多め。ただし、局面もかなり難解なものが多いので、何度もページを繰る必要がある。(※電子版で2画面表示で見られる環境なら問題なし)

次号と併せ、ぜひ村山の妙技を味わってください。(2017Feb28)


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