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■定跡裏街道 〜角交換振り飛車編〜

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定跡裏街道 〜角交換振り飛車編〜
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定跡裏街道
〜角交換振り飛車編〜
[総合評価]
初版 
B
第2版以降 A

難易度:★★★☆
    〜★★★★

図面:見開き4枚
内容:(質)A(量)A
レイアウト:B
解説:A
読みやすさ:B
上級〜有段向き

【著 者】 松田基弘
【出版社】 (個人出版)
発行:2012年5月 ISBN:
定価:800円(5%税込) 226ページ/(電子書籍)


【本の内容】
第1章 四間飛車 ・ノーガード四間穴熊
・343戦法
・432戦法
・無理矢理343戦法
78p
第2章 三間飛車 ・無理矢理升田式
・353戦法
・魔界三間飛車
68p
第3章 中飛車 ・ノーガード中飛車穴熊
・引き中飛車
・一手損ゴキゲン中飛車
56p
第4章 向飛車 ・無理矢理向飛車 20p

◆内容紹介(こちらから引用)
角交換振り飛車に関する11個の新戦法を紹介した電子書籍です(226ページ)。
・四間飛車…4戦法
・三間飛車…3戦法
・中飛車……3戦法
・向飛車……1戦法
あまり書籍化されていなかった戦法への研究紹介と、
まだどこにも紹介されたことのない切れ味のある新戦法の紹介をしています。
いずれも初心者から高段者まで通用する戦法となっています。

■おすすめ対象者
ゴキゲン中飛車、石田流、升田式石田流、立石流、△3三角戦法、2手目△3二飛、端歩突き越し角交換振り飛車、ダイレクト四間飛車などの角交換振り飛車を指す人には必読の一冊です。後手番戦法に困っている人や、新しい戦法を求めている人には非常におすすめです。

・著者のHP=
将棋定跡研究所


【レビュー】
角交換系振り飛車のさまざまな戦法を解説した本。電子書籍(PDF形式)で、DL-MARKETから有料ダウンロードで入手することができる。(※2013年6月現在は、Amazon Kindleストアに移動しています。)

本書では、特に角交換を主体とした、後手番の振り飛車戦法を解説。モノによっては先手番で使えるものもある。既存の戦法に趣向を加えたものもあれば、あまり考えつかないような指し方もある。共通しているのは、あとがきにあるように、以下のような特徴。

 (1)2筋は受けなくてもよい
 (2)手損をしても争点を作る
 (3)2筋の仕掛けは△2二銀で受かる(場合によっては△2二飛)
 (4)場合によって2筋を逆襲する

●レイアウト
・本のレイアウトは、マイナビ系の棋書に準じていて〔右図(スクリーンショット)、読みやすさはまずまず。行間、文字の大きさなども見慣れた感じで読みやすい。
・各戦法の冒頭で、[攻撃力][防御力][挑発度][意外性]をA,B,Cの3段階で表示しているが、これはあまり気にしなくてよさそう。
・指し手は濃い赤、各ページの題字は濃い青になっており、カラーリングも良し。これは既存の紙ベースの棋書(入門書以外はほとんどモノクロ印刷)にはない利点。
・図面の配置に不満あり。本書では、各ページの指し手のスタート図は前のページにあり、指し手の最終手の図が同一ページにある。これだと、前ページの図を記憶していないと頭の中で駒を動かせないのがつらい。昔の棋書ではこういうレイアウトもあったので、慣れの問題かもしれないが、最近の棋書ではほとんど「指し手のスタート図は同一ページ」に統一されている。


●入手方法
本書は紙媒体ではなく、電子書籍なので、ダウンロードで入手する。ダウンロードするには、DL-MARKETでダウンロード会員になる必要がある(会員登録は無料)。決済はクレジットカードなどで可能。PDF形式のファイルをダウンロードし、Adobe Readerなどで閲覧する。パスワードが登録時のメールアドレスになっているので注意。(※2013年6月現在は、Amazon Kindleストアに移動しています。)

本書より先に発行された電子書籍『ゴキゲン中飛車超急戦研究 第1章 【超急戦回避】超急戦を指す必要性』(山木耕路,2011.04)では、ファイルを開くと、ページ最上段に「会員ID」「ご購入者名(実名)」「ご購入日」「ご購入店名」が自動的に挿入されていたが、本書には特にそういった再配布防止(?)の記入はないようだ。

各戦法をチャートを添えて紹介していこう。

●ノーガード四間穴熊
後手の作戦。角道を開けたまま四間飛車に振り、一目散に穴熊に潜る。普通の角交換振飛車穴熊との違いは、「2筋はノーガードで穴熊に組み、自分からは角交換をせずに手得を目指す」(p5)というところ。先手が飛先を交換してきても、無視して△8二銀とハッチを締めるのが斬新な一手。また、少し固めてからの飛先交換にも、「飛を成りたければどうぞ」の態度が面白い。



●343戦法
島ノート 振り飛車編』(島朗、講談社,2002)で一躍メジャーになった戦法。△石田流の一種で、△3五歩〜△4二飛〜(囲ってから)△3二飛の動きが名前の由来である。手損が気になるためか、プロはほとんど指さないが、後手でも石田流を指したい人にとっては(2手目△3二飛が出てくるまでは)救世主的な存在だった。

本節では、「△3二飛の瞬間に▲2四歩で手得を狙う」対策に対する対策を紹介。先手の飛先交換に対して、よくある△2二飛ではなく、一見凡手の△2二銀が新鮮。2筋をいったん収めて逆襲を狙っていく。



●432戦法
角道を開けたまま△4二飛と振り、△3二飛(升田式石田流狙い)〜△2二飛(急戦向飛車)と飛を移動させていく。343戦法では、▲6六歩と角道を止められると△3五歩が負担になりやすいのに対し、本節の432戦法は狙いが次々と変遷していき、振飛車側からは非常に分かりやすい。本節では△3二銀型向飛車からの仕掛けを詳しく解説しているが、△3二金型も有力だ。



●無理矢理343戦法
角道オープン四間飛車から強引に升田式石田流を狙う戦法。343戦法、432戦法では相手に角道を止められると升田式にできないが、本節では角道を止められる前に角交換して升田式を目指す。通常の升田式と違って、振飛車側が手損になるため、相手が升田式を阻止しようとする変化は生じる。本節では、升田式に組めた場合は割愛し、この戦法独特の変化を解説。

この戦法くらいヒネってくると、「なんで“無理矢理343戦法”というのですか?」という問いへの答えがすごく長くなってくる(笑)。後手で升田式を指したい人は、本戦法と2手目△3二飛戦法(次節)のどちらが自分に合っているかを比較検討するとよい。



●無理矢理升田式
すっかりメジャーになった2手目△3二飛戦法。最近では、これを嫌って初手▲2六飛と突くプロも増えたくらいだ。2手目△3二飛は、穏便にいけば後手でも升田式に組める戦法であるが、4手目△6二玉は超急戦や9筋を絡めた大乱戦があり(9筋を詰められるのを甘受する手はある)、4手目△4二銀は升田式には組めない(代わりに角交換振り飛車にできる)という難所がある。

本節では、2手目△3二飛+4手目△4二金とする。角交換〜▲6五角には前もって対応できており、飛先交換には△2二銀を用意している。▲2三歩の筋には注意が必要だが、それほど難易度は高くない。後手番でどうしても升田式を狙いたい人にはオススメできそう。



●353戦法
△ゴキゲン中飛車の出だしから、5手目▲4八銀に△3二飛と振って升田式を狙う。近年大流行の「超速」では5手目▲2五歩なので、本戦法はできない。5手目▲4八銀は現在は少数派なので、使える機会は非常に限られているが、ゴキゲン中飛車党の変化球として知っておくのも悪くない。

また、本戦法は丸山ワクチンに対しても応用できる。ゴキゲン党で持久戦系が嫌いな人はご一考を。



●魔界三間飛車
▲7六歩△3四歩▲2六歩△3二金…という、いかにも一手損角換わりになりそうな展開から、いきなり△3五歩と突いてくる。定跡党ほどビックリして動転するだろう。「魔界四間飛車」という戦法がある(本書には載っていない。詳細はググってください)が、その三間飛車バージョンだ。△3四金と出ることで、2筋3筋を制圧するのが狙いになる。なお、序盤に角交換が発生する場合は、三間にこだわらずに四間飛車や向飛車に振る柔軟性が必要だ。得意であれば、立石流も選択肢に入れよう。



●ノーガード中飛車穴熊
出だしは角道オープン四間飛車穴熊と同じ。▲6五角対策のため、いったんは四間に振り、その後中飛車に振り直して5筋歩交換を狙う。ゴキゲン中飛車vs超速の相穴熊と違い、上手くいけば振り飛車側だけが穴熊に組むことができる。



●引き中飛車
ゴキゲン中飛車から△5一飛と引いておく。普通は5筋歩交換をしてから手順に△5一飛としたいところだが、何もせずに△5一飛。これで2一が守られているため、先手の飛先交換に対して2筋逆襲が狙える展開になる。猫も杓子も「超速」で来る現状では使いづらいが、いろいろな場面で応用できるかもしれない。



●一手損ゴキゲン中飛車
序盤は「端歩位取り角交換四間飛車」の出だし。いったん超速や超急戦を防いでおいて、先手が5筋を突いた段階で中飛車に振り直す。これで一手損ながら5筋交換型の中飛車になりやすい。先手中飛車は好きだけど、後手ゴキゲン中飛車はあんまり…という人にはオススメだ。



●無理矢理向飛車
▲2六歩△3四歩▲2五歩△3二銀!から始まる戦法。▲2四歩と突かれた場合、場合によっては向飛車に転回して2筋を逆襲する。2手目△3四歩に▲2五歩を決めるプロはほとんどいないが、アマでは形を決めさせる意味でたまに指す人もいる。本戦法が成立すると、5手目に▲2四歩と突けないため、後手で飛先不突き矢倉ができる。

基本的な狙いは居飛車で、限定された条件のみで向飛車となるので、戦法名としては不適切かもしれないし、角交換振り飛車の範疇ではないかもしれない。ただし、面白い指し方なので、▲2六歩△3四歩▲2五歩に△3三角と上がるのが不本意だった矢倉党ならやってみる価値は十分にある。

なお、節末には▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩▲2五歩△3二銀!から似た展開になる手法も紹介されている。後手が矢倉党ならこの手順はありえないだろうが、どうしても後手で飛先不突き矢倉をやってみたい人や、乱戦大好きの人には面白そうだ。



●総括
既存の本にはほとんど載っていない戦法が多く、面白かった。特に、最近は個人的に角交換振り飛車を多用しているので、興味のある部分が多く、いろいろな発想に感心した。

本書は大学将棋部出身のアマチュアが書いた本(電子書籍)であるが、週刊将棋編の戦法本とほとんど遜色ない出来だと思う。これなら1,300円くらい払っても惜しくはない。(※最近の222p四六版の戦法本は定価1,575円が増えてきたが、ちょっと高すぎると思います……)

ただ、誤植等が多いのが気にかかった(下記参照)。この点で評価をBとした。幸い、本書は電子書籍なので、修正は比較的容易かと思う。これらが修正されたら、評価をAにしたい。

〔2012Aug25追記〕第2版では、誤植は全て修正されていましたので、評価をAにしました。初版をダウンロードした方の再ダウンロードについてはこちら


※誤字・誤植等(2012-05-29ダウンロード版で確認):
p8 ×「参考1図以下▲2一角成…」 ○「参考1図以下▲2一馬…」(すでに成っている)
p27 ×「…▲3六歩2二歩▲同歩成…」 ○「…▲3六歩△2二歩▲同歩成…」
p31棋譜 △「△3三角 ▲3三角成」 ○「△3三角 ▲同角成
p31本文 △「△3三角には▲3三角成が自然だ」 ○「△3三角には▲同角成が自然だ」
p50 ×「第1図以下の指し手A」 ○「基本図以下の指し手A」
p79 ×「▲2三角成△同銀▲同飛成▲2八龍」 ○「▲2三角成△同銀▲同飛成△2二歩▲2八龍
p90棋譜 △「▲2四歩△同歩▲2四飛」 ○「▲2四歩△同歩▲同飛
p121 ×「再掲第3図以下の指し手@」 ○「再掲第3図以下の指し手A
p148 ×「第14図から…」「第14図以下の指し手@」 ○「第16図から…」「第16図以下の指し手@」
p149 (p148と同様)
p187 ×「第2図で▲6八銀を…」「再掲第2図以下の指し手A」「第2図で▲3六歩は…」+図面(再掲第2図
    ○「第9図で▲6八銀を…」「再掲第9図以下の指し手A」「第9図で▲3六歩は…」+図面(再掲第9図
p189 △「△4五歩▲4五桂△8八角成…」 ○「△4五歩▲同桂△8八角成…」
p215 ×「先手は▲1一角成と駒を補充して…」 ○「先手は▲1一馬と駒を補充して…」(すでに成っている)
p215 ×「実践的に先手を持ちたい人は…」 ○「実戦的に先手を持ちたい人は…」

※2012-08-23版(第2版)では、上記誤植はすべて修正されています。
 ○新規ダウンロードの方 ⇒ そのままで第2版(以降)をダウンロード可能。
 ○第1版をダウンロードしている方 ⇒ 再ダウンロードの設定が必要。(
「将棋定跡研究所」の該当記事
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【関連書籍】
 『
定跡裏街道 陽動振り飛車編

[ジャンル] 
角交換振飛車
[シリーズ] 
[著者] 
松田基弘
[発行年] 
2012年

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