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■ゴキゲン中飛車超急戦研究 第1章 【超急戦回避】超急戦を指す必要性

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ゴキゲン中飛車超急戦研究 第1章
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ゴキゲン中飛車超急戦研究 第1章
【超急戦回避】超急戦を指す必要性
[総合評価] CB

難易度:★★★★☆

図面:見開き5〜7枚
内容:(質)A(量)C
レイアウト:B
解説:A
読みやすさ:B
有段向き

ゴキゲン中飛車超急戦研究 第1章
この電子書籍をDL-MARKETで見る

【著 者】 山木耕路
【出版社】 (個人出版)
発行:2011年4月 ISBN:
定価:250円(DL販売) 55ページ(電子書籍)


【本の内容】
第1章 【超急戦回避】超急戦を指す必要性
 第1節 △9四歩型=26p
 第2節 △6二玉型=22p

※著者のMmusculusさんより、「
第2章以降の販売方法は、各章毎に単品で販売し、全てが揃った時に加筆修正して別個販売する予定です。

◆内容紹介(
こちらから引用)
本書はゴキゲン中飛車▲5八金右超急戦の定跡書です。
今回は、
後手の超急戦回避策をまとめた第1章を公開します。後手の超急戦回避策は、主に▲5八金右に対して△9四歩と△6二玉が主流です。
△9四歩では、先手が9筋を受けた場合にのみ起こる超急戦の▲9七角や、9筋突き越しに対する急戦と持久戦。△6二玉では、向かい飛車からの急戦策や、角筋を通したまま駒組みを進める指し方を紹介しています。
どちらも超急戦の必要性を肌で感じる事ができると思いますので、是非お手にとってご覧下さい。

◆著者紹介(
こちらから引用)
ゴキ研」というブログにて、将棋のゴキゲン中飛車戦法の研究を公開しています。
また、TwitterにてMmusculusというアカウントでつぶやいています。
プロフィール 超急戦や▲3七銀急戦(郷田流や超速・星野流)の研究を数多く公開しており、にほんブログ村の将棋ランキングで1位を獲得。
超速▲3七銀急戦の飛車銀交換は、羽生善治名人が初めて採用する前から部分的に発見していました。


【レビュー】
△ゴキゲン中飛車vs▲5八金右超急戦の定跡研究書。電子書籍(PDF形式)で、DL-MARKETから有料ダウンロードで入手することができる。

ゴキゲン中飛車にとって、▲5八金右超急戦は非常に重要なテーマである。▲5八金右の狙いは、「2筋の歩を交換する事と、玉を舟囲いに収める(スムーズに囲う)事」(p7)である。この形で後手が妥協せざるを得ないとすれば、後の作戦の幅がかなり限定されてしまう。それゆえ、ゴキゲン中飛車が登場してから、かれこれ10年以上も、トップ棋士を含めて戦われている戦型である。

本書は、そのゴキゲン中飛車vs超急戦のうち、後手が決戦を回避する2つの作戦(△9四歩型、△6二玉型)を解説している。結論から言うと、「△6二玉型の一部は後手も戦えるが、居飛穴を阻止できず不満がある」ということで、超急戦(決戦)を回避するのは厳しいとのことだ。

各節の内容を、チャートを添えて紹介していこう。なお、この戦型で有名な本としては『中飛車道場 第一巻 ゴキゲン中飛車超急戦』(所司和晴,MYCOM,2004)があるので、随時比較していく。

第1節は△9四歩型。この形は『中飛車道場@』には全く載っておらず、他書でもあまり見た記憶がない。端歩を突き合ってから決戦すれば、玉が広いというのが後手の主張だが、突き合いを生かした▲9七角〔右図〕という手が出てくる(本書が初出らしい)。正しく戦えば後手良しだが、かなり裏技的な要素がある。

端歩を突き合うと先手不利なので、先手は端を詰められるのを甘受する。しかし、居飛穴を目指しても、急戦でも先手良し。

第2節は△6二玉型。比較的初期からある形で、激しい戦いを避けて曲線的に指す狙いがある。ただし、角交換振飛車や4手目△3三角戦法の影響を受けており、『中飛車道場@』の変化とはかなり違っている。

具体的には、先手は居飛穴を狙い、後手は角交換から△4四角や、△2五桂ポンで居飛穴を阻止しようとする。節末の実戦例リストによれば、2008〜2010年にトップ棋士や新鋭棋士が指しており、古くて新しい戦型である。



なお、各節末にはプロの実戦例の一覧とチャート(図面付き)が添えられている。棋譜は付いていないので、将棋年鑑や棋譜サイトで探そう。

さて、本書は紙媒体ではなく、電子書籍なので、ダウンロードで入手する。ダウンロードするには、DL-MARKETでダウンロード会員になる必要がある(会員登録は無料)。決済はクレジットカードなどで可能。PDF形式のファイルをダウンロードし、Adobe Readerなどで閲覧する。パスワードが登録時のメールアドレスになっているので注意。

ファイルを開くと、ページ最上段に「会員ID」「ご購入者名(実名)」「ご購入日」「ご購入店名」が自動的に挿入されている。これにより、再配布を防止しているようだ。

こういう電子書籍は、本来はPCやiPadなどで閲覧するものかと思う。わたしは結構アナログ人間なので、印刷して読んでみた。

わたしの場合、2in1で印刷し、二ッ折にして冊子状にしている。分岐が見開きでまたがっていることもあるため、これはなかなか当たりだった※1。画面で見るときも、2in1表示(見開き表示)にした方がいいかもしれない※2

また、印刷時に[ページの拡大/縮小]の設定が「なし」or「大きいページを縮小」になっていると文字が小さくて読みにくいので、「用紙に合わせる」を選択するとよい。

レイアウトは、本文の文字の間隔が広く、少し読みにくく感じた。行間はちょうど良いと思う。また、ときどきメモ欄や空白の図面(おそらくメモ用)が出てくるが、少なくともわたしには必要ではない。書き込みを行う人には必要かもしれない。


さて、総括。本書はアマチュアが書いた本(電子書籍)であるが、プロの実戦などをベースに、既存の棋書には載っていない部分が多く書かれており、内容的には満足。250円なら十分出す価値がある。このクオリティで通常の棋書と同じくらいの量(220p前後)があれば、Aでもいいかな、と思う。

ただし、前述のとおり、文字間隔が広くて読みにくいという点に加え、誤植等がかなり多いのが気にかかった。レビューの末尾に添えておくが※3、仮に222pの棋書なら『電撃!! イナズマ流次の一手200題』の誤植数を超えてしまうだろう。この点で評価をCとした。

幸い、本書は電子書籍なので、修正は比較的容易かと思う。これらが修正されたら、評価をBにしたい。(2011Apr18)

〔2011Apr20追記〕
2011/04/19にmus-musculusさんからユーザー宛に修正版が送られてきました。指摘の部分はすべて修正されていました。DL版も直っていますので、評価をBにします。

※1 ^ 二ッ折にする場合は、できればA4横目紙を使った方が折りやすく、読みやすい。ただし、プリンタによっては横目の薄紙はジャムることもあるので要注意。大きくても構わない人は、A4縦目紙で両面印刷にするとよい。

※2 ^ ただし、Adobe Readerで普通に見開き表示にすると、奇数ページが左、偶数ページが右に来てしまう。本書の場合、偶数ページが左、奇数ページが右に来ると適切なレイアウトになる。

※3 ^ 誤植・誤字等(2011-04-15ダウンロード版で確認): ※2011-04-19版ではすべて修正されています。
p10 B図の左隣 ×「A図からの指し手」 ○「B図からの指し手」
p11 (誤植ではありません)参考1図の▲8二飛が鬼手だが、△7二銀と受けると?
→同じ疑問を持たれた方がいるようで、
「ゴキ研」のコメント欄に載っていました。以下mus-musculusさんのレスを引用:「▲8二飛に△7二銀は、▲8一飛成△同銀▲5四桂△7二玉▲6一馬と進めて後手陣は崩壊するでしょう。
p13 参考2図 ▲4六飛が太字になっていない
p13 途中図 馬が2枚ある。△3三馬は不要
p16-L1 p15-L1と同じ文章がある。
p21 ×「次に▲4一銀成〜▲4一飛」 ○「次に▲4二銀成〜▲4一飛」
p25 △「後手に有効な攻めが無く先手優勢です」 ○「後手に有効な攻めが無く先手優勢です。」(句点を追加)
p29 B図 互いの持ち駒に飛がない。
p36-L5など ( )の禁則処理をしてほしい。(かっこ閉じが行頭に来ないようにする)
p41 D図 後手の持ち駒の歩の向きが変
p44 F図 後手の持ち駒の歩の向きが変
p49 「第13図からの指し手@」の中 ×「▲7五馬」 ○「▲7五角成」
p50 L図とM図の配置が逆
p55 第14図 後手の持ち駒に角がない



【関連書籍】

[ジャンル] 
中飛車
[シリーズ] 
[著者] 
山木耕路
[発行年] 
2011年

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