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■逆転の3手詰(将棋連盟文庫)

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逆転の3手詰(将棋連盟文庫)
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将棋連盟文庫
逆転の3手詰
[総合評価] A

難易度:★★☆
   〜★★★

見開き2問
内容:(質)A(量)S
レイアウト:A
解答の裏透け:B
解説:A
中級〜向き

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【著 者】 森信雄
【出版社】 日本将棋連盟/発行 マイナビ/販売
発行:2012年12月 ISBN:978-4-8399-4547-3
定価:1,155円(5%税込) 416ページ/16cm


【本の内容】
第1章 2006年1月号〜2006年10月号
第2章 2006年11月号〜2007年8月号
第3章 2007年9月号〜2008年6月号
第4章 2008年7月号〜2009年4月号

◆内容紹介
「ややトリッキーな手順ですが、気付きにくい発想や終盤の奥深さを味わってほしい」(まえがきより)

将棋世界40カ月分の詰将棋が一冊に!!将棋世界巻末の人気連載「あっという間の3手詰」の文庫化第2弾です。収録問題は驚きの400問!短手数ながら、森信雄七段ならではのトリッキーな詰み筋が満載です。

序盤から積み上げてきた有利、不利が最終盤で一瞬にしてひっくり返るスリルが将棋の醍醐味。詰みに気付かず逆転負けをした苦い経験、反対に相手の気付かない詰みを見付けて勝ちを拾った経験は誰にでもあるはずです。
本書の問題に繰り返しチャレンジすれば、今まで知らなかった数々の詰み筋を覚えることができるはず。逆転を呼ぶ終盤力が身に着くとともに、将棋の面白さを再発見できるまさにお買い得の一冊です。


【レビュー】
3手詰のみの詰将棋問題集。「将棋世界」誌に連載されている「あっという間の3手詰」から、2006年1月号〜2009年4月号の問題を収録したもの。

同様に連載をまとめた本としては、『あっと驚く三手詰』(森信雄,講談社,2000)、『あっという間の3手詰(将棋連盟文庫オリジナル)』(森信雄,日本将棋連盟発行,MYCOM販売,2010)がある。

本書の問題は、3手詰としてはやや難しめ。難易度を10段階で分けると、Lv.5〜Lv.9くらいになる。トリッキーな手順や、不安定な詰め上がりが非常に多く、
 「王手している駒が守備駒で取れそうなのに、線駒が間接的に玉をにらんでいるので取れない」
 「直接玉に触っている駒はないのに、合い利かずのために詰み」
といった形が頻出する。そのため、有段者でもウーンと考え込むことが多いだろう。

よく見られるパターンは、他の過去作と同様で、

 ・両王手2連発
 ・大駒の細かい限定移動
 ・守りの線駒の利きを遮断 (← 特にこれが多いように感じた)
 ・二枚角の利きを最大限に使った詰め上がり
 ・龍の大転回

など。


過去作との違いを列挙してみると、こんな↓感じになる。

 ・一冊全体の難易度は3作とも大体同じ。
 ・問題数が大幅増の400問。

   『あっと驚く〜』:200問
   『あっという間の〜』:180問
 ・レイアウトが見開き二問二答に。
   『あっと驚く〜』:「見開き4問(A)→見開き4問(B)→(A)の解答→(B)の解答」のループ
   『あっという間の〜』:見開き一問一答
 ・解説が精緻になった。前半はいくつかの失敗手の解説、後半は正解手に対する2手目の応手+3手目(詰め上がり)。応手が複数ある場合は、ちゃんと網羅されている。
   『あっと驚く〜』:約100字で本書よりやや少なく、作者の感想やコメントの文が多い。(解説は少ない)
   『あっという間の〜』:やや不親切な解説もある。レビュー参照
 ・問題図の右側に一行ヒント、難易度表示あり(5段階)。ヒントのレベルは適切。それでも見たくない人は、栞で隠そう。
   『あっと驚く〜』:ヒント、難易度表示はなし。
   『あっという間の〜』:問題図の下側に一行ヒント、難易度表示あり(5段階)。ときどき過剰なヒント。


実際に解いてみたところ、3手詰とはいえ、やはりこのレベルで400問は結構時間がかかった。ちゃんと計ったわけではないが、少なくとも計5時間以上はかかっていると思う。3手詰×200問の『3手詰ハンドブック』(浦野真彦,日本将棋連盟,2005)は、答の確認も含めて30分強で解けているので、以下に本書のボリュームがあるかお分かりだろう。

一日10問とか、5問とか、棋力に合わせてコツコツやっていくと良いだろう。3手詰と分かっているので、挫折しにくいはずだ。

最後に、わたしがどうしても解けなかった問題をご紹介。〔右図〕は第125問。初手の平凡さ?と詰め上がりの不安定感がどうしてもイメージできなかった。似たコンセプトの問題は他にもあって(第230問など)、そちらは解けているのだが……、本問は完全に盲点に陥ってしまったようだ。

ちなみに本問の難易度は☆3。本問を数秒〜数分くらいで解けた方、または答を知って「おおっ!」と思った方には、本書はちょうど良いレベルになる。

  答: [ ▲4六金 △同と ▲4五龍 まで。 ] ←反転してください

一方、見た瞬間(1秒以内)に解けた人には物足りないだろう。また、答を見ても「なぜ詰んでいるのか分からない」という人は、他の3手詰や1手詰の本を先に取り組んだ方が良いと思う。(2013Jan11)

※なお、本書の発売と前後して、書名に「逆転の〜」と銘打った棋書が複数出版されたが、本書との関連はない。

2012-03 将棋・ひと目の逆転(マイナビ将棋文庫SP),週刊将棋編,マイナビ
2013-01
逆転のメカニズム,山崎隆之,マイナビ
2013-01
終盤 逆転の妙手 基本編,戸辺誠監修,マイナビ

そもそも、本書も「逆転」とは関係がない。(詰め力がupすることで、負け将棋を逆転することはあるだろうが、それは詰将棋本全般にいえることであり、本書が逆転力をテーマにしているというわけではない)



【関連書籍】
 『
あっという間の3手詰(将棋連盟文庫オリジナル)
 『
あっと驚く三手詰

[ジャンル] 
詰将棋
[シリーズ] 
将棋連盟文庫
[著者] 
森信雄
[発行年] 
2012年

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