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将棋の鬼 | [総合評価] − | ||
【著 者】 坂口安吾 | ||||
【出版社】 青空文庫 | ||||
発行:2012年9月 | ISBN:---------- | |||
定価:0円 | 151KB,Kindle用電子書籍 |
【本の内容】 |
本文=約6000字(500字/頁で12p) 〔出典〕 1948-04 オール読物 第三巻第四号 1998-07 坂口安吾全集06,筑摩書房 |
【レビュー】 |
作家・坂口安吾による、木村義雄と升田幸三についてのコラム。Kindle用電子書籍として無料配布されており、Kindle端末や、KindleアプリをDLしたiPhone、Android、iPadで読むことができる。 坂口安吾 − Wikipedia 坂口安吾は、『堕落論』『白痴』などで知られる無頼派。薬物の常用者でもあった。本コラムでは「将棋を知らない」と書かれているが、名人戦の観戦記も多く、Wikipediaによれば、「木村義雄が千日手を回避して敗北したときに木村を厳しく批判した『散る日本』、大山康晴を主人公にした小説『九段』」など将棋関連の作品もある。 1955年2月没で、現在はすべての作品の著作権が切れており、本コラムは青空文庫としてKindle用電子書籍で無料公開されている。 本コラムの内容は、木村vs升田三番勝負について。要点を箇条書きにしてみた。 ・升田将棋は理屈に沿っている。(升田将棋を力将棋だと言う人に対して) ・木村が「前名人」のプライドのまま指すのは良くない。胸を貸す立場ではないのだから、プライドを捨てて「勝負の鬼」に徹するべし。 ・升田もハッタリを捨てて(※前夜祭では会場の端と端で木村と升田が言い争いをしていた)、体調を整え、「勝負の鬼」になるべし。 ・坂口は、「木村vs升田」の時代が続くと予想した。(実際は1952年に木村が引退し、ほどなく「升田vs大山」の時代になった) 前夜祭で「ナマモノ」を見てきたリアリティが面白い。坂口自身を投影していた升田への評価が高く、ひそかに応援もしている様子が伺える。他作品(『坂口流の将棋観』など)と併せて読むと、もっと生々しさが味わえるんじゃないだろうか。(2013Feb20) |